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もし俺が謝ってこられてきてたとしたら

最近は仕事を終えてから寝るまでの数時間を意図的にClubhouseを立ち上げて色んな部屋を覗く(聴く)ようにしています。(*執筆当時)

もちろん業界関係者から「〇〇時からこういうテーマで話すから松山さん入って」というリクエストをいただいてゲストとしてスピーカーを務めることの方が多いのですが、たまに見かける『ゲーム業界志望の学生が集まる雑談部屋』などに意識的に入るようにしています。

黙って学生さんの話を聞いているだけのことも多いのですが、やはりそういう部屋は専門学校の先生が生徒を誘って立ち上げていることが多くて、だいたい先生から「あ、松山さんがいらっしゃる!せっかくだから話を聞こう」とお誘いを受けて結局スピーカーとして話すこともしばしば。

実はここ最近はなかなか日本全国の専門学校や大学に直接訪問する機会も減っていて全てが全てオンラインで講演をやることが多いので、「学生さんと直接雑談をする機会が減ってきたな」と思って半分は取材がてらClubhouseを使って話をするようにしているのです。

そんな中で先日とあるゲーム系専門学校の学生と話をした時のエピソードを紹介します。

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その部屋には同じゲーム系専門学校に通う学生さんが8名いました。

早速「なにか聞いておきたいことはありますか?」と話を振ってみたらこんな質問が飛び出してきました。

「今、我々はチーム制作でゲームソフトを作っていて完成まであと2週間というタイミングなのですが、最後の闘いに向けたアドバイスをください」

なるほど、この質問に答えるためにはいくつかこちらから確認しなければならないことがあるなと思い、まずはヒアリングを行いました。

要約すると以下のような感じでした。

・制作中のゲームソフトは3Dアクションゲーム
・チームメンバーは8人
・ゲームはほぼ完成しつつある状態でここからしっかりと仕上げていきたい

開発中のゲームソフトはシステムやアイデア含めてかなりしっかりとしているようで、意外と制作に関するアドバイスは出来なそうというか、あまり言うことも無いなと感じたので(そもそもゲーム画面も見えないし)「チームマネジメントに関するアドバイスだけでもやっておくか」と思いこんなことを伝えました。

「聞いてる限りだとゲーム制作に関するアドバイスは特に必要だとは思わないので、これからの最後の闘いに向けて経験上のアドバイスをさせていただきますね」

「チームメンバーでこの6か月間くらい一緒にゲーム開発をやって来たのでその期間を振り返ってもらったら心当たりもあると思うけど、8人もメンバーがいれば結局のところ大活躍している人間が3人くらいで残りの5人くらいはほぼあんまり役に立っていなかったんじゃないかと思うんです」

「あ、別にそれは決して悪いことでも無くて正直プロの世界でも8人いればみんなが同じくらい活躍するなんてことは無くて結局のところその能力には差がつくものなんです」

「そしてクリエイティブの世界で大事なことは活躍できない5人をなんとかしよう!ということではなくて最後まで大活躍している3人の力を最大化するためにはどうしたらいいのか?ってことを徹底的に考えて実行することなんです」

「なので最後の闘いに向けて言えることは仲良しこよしじゃなくて突き抜けた能力者の力を限界まで引き出すことなのでそこに特化した考え方でお互いの役割を理解した上で支えあってください」

我ながら学生時代には絶対に見えてこなかった(見えないだろう)視点でのアドバイスのつもりで、調子よく伝えたつもりだったのですが学生のリーダーからは思いがけない言葉が返ってきたのでした。

「あの、お言葉を返すようで大変恐縮なのですが……今、松山さんがおっしゃったようなことには僕らはなっていません。メンバー8人が同じくらいの能力でそれぞれがお互いを尊重し助け合って開発を行ってきました。このメンバーの中に足手まといは1人もいませんし、誰かが突出した能力者でその人にオンブに抱っこなんてこともありません。全員がそれぞれでその役割を果たしてくれています」

もう、ね、返す言葉も無くなりましたね。

一瞬の沈黙の後に

「あ、そう、へぇ、そーなんだ、それは凄いね、じゃあ、そうね、特に言えることは無いかな、うん」

とか言っちゃいましたからね。

その後にも『ゲーム会社に入った後の研修の流れ』や実際の『査定の話』なんかも質問されたので答えましたが、話をしながらも終始その学生たちから感じたのは【綺麗な魂】でした。

なんでしょう。なんて言ったらいいのかな。

たぶん、その部屋に界王神様がいらっしゃっても

「いい魂をお持ちですね」

って学生たちに言ったんじゃないかな。

もちろん音声通話だけなのでお互いの顔は見えませんでしたが、なんかスマホの向こう側にいる学生たちの姿がなんとなく眩しく感じました。

最近、色んな学生さんと話して感じる違和感というかフワっとした感じの正体がずっと掴めていなかったのですが、Clubhouseという視覚情報を遮断されたツールのおかげでより鮮明に見えてきたというか、ボンヤリと確信めいたものが私の中に生まれてきました。

それは現代の若者たちの魂は実に綺麗だということです。

え、伝わります?

直接話をしていてずっと感じていたのですが、不思議なくらいに彼らは人の悪口や陰口を言わないんですよ。

また同時に自分だけが褒められたりとかして人を出し抜こうなんて考えも無くて、みんな心が優しくてまっすぐで眩しい人達ばかりなのです。

ひょっとしたら私がたまたま出会った人たちがそんな感じだったのかな?と思っていた時期もありましたが、これだけ1年間の中で多くの学生と出会って(オンラインとはいえ)話をしていると、私の気のせいではないということに最近は気づいてきました。(Clubhouseのおかげ)

これは「だから今の若者は逆に打たれ弱い」とかそういったニュアンスの反対的な意見は微塵も無くて、ただただ我々のような大人の反省するきっかけというか材料になるんじゃないかと思っています。

穿った見方で物事の本質を捉えているつもりでも、それ自体の考え方と生き方がすでに古くってそもそも人の悪口を言ったり陰口を叩いたり、人を貶めようとか自分だけ美味しい思いをしようなんて邪な考え方を持っているのは30代40代50代60代とかのおっさんばかりのような気がしてなりません。(ネットやSNSで口の悪い発言をしているのはおっさんばかりで若者はそんなことは言わない)

年齢的に我々の遥か下にいる世代の今の若者の魂の多くは実に綺麗で透き通っていますよ。

ちょっとこれは本当に自分自身の襟を正して背筋を伸ばすいい機会というか、これをまた「どうせオレらにはこういう生き方しか出来ないし」とか凝り固まった意見ばかりを言い続けているとあっと言う間に老害の仲間入りですよ。

私は真正直に真正面から彼らのような若い世代と向き合って自分自身の行いや考え方を反省し改めるべきことは改めてバージョンアップしていかなければならないな、とClubhouseをやりながら冷や汗が出ました。

また突発的にどこかの部屋に出現して若者の話を聞くためにおじさんが出現するかもしれませんが、ぜひ勉強させてくださいね。

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さて、本記事のタイトルについてですがお気づきの通り漫才師である『かまいたち』さんのネタの文言です。

『M-1』で優勝された時のネタなので多くの方がこのフレーズというか言葉を覚えてらっしゃるのではないでしょうか。

「もし俺が謝ってこられてきてたとしたら、絶対に認められてたと思うか」

全文はこうなります。漫才のネタとしては『USJ』を『UFJ』と言い間違えたはずなのに絶対にその非を認めないという内容になります。

そのやりとりの中でまるで煙に巻くようにこのフレーズが飛び出してくるわけですが、こういった『自分の非を絶対に認めたくないみっともない大人の姿』が笑いとして昇華されているのは、こういった事柄やシチュエーションに心当たりのある大人が多いからなんじゃないかと思いました。

今回の記事を通じて現代の若者の『綺麗な魂の話』を書こうと思った時に、逆説的に頭の中に浮かんだのがこのフレーズだったので引用させていただきました。

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さて、ここからは私自身が感じている【これからのゲーム業界におけるビジネスの在り方と未来予想図】なんてものをテーマに書き連ねていこうと思います。

上でも述べているように昨今の若者の性質の変化だったり、コロナ禍における激動激変の現代の世の中の働き方やそれらが我々のいるゲーム業界に与える&与えている影響から予測する“きっとこれからはこうなる”という話をしてみようと思います。

同じエンタメ界隈でお仕事をしている人たちやこれからそういった業界で働きたいと思ってらっしゃる方々の何かしらの参考になれば幸いです。

それでは張り切っていきましょう!

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ゲーム業界のビジネス(働き方)と未来予想図

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