![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/162847640/rectangle_large_type_2_c4904cd7c27c106c63d2fe6f152f04f3.png?width=1200)
そこの平成生まれ、「じゃりン子チエ」を見るのです……
筆者は現時点で3話までしか観てないので、一応その時点での感想を述べます。
普段あんまりアニメを観ないんだけど、じゃりン子チエの1〜3話がyoutubeに上がっていたからつい見てしまった。
なお3話までの時点で既に内容が濃い。
まるでホルモン焼きのタレ原液を一気飲みした感覚に襲われる。
昭和の大阪の下町が舞台。
主な登場人物は、無職で博打と喧嘩に明け暮れるテツと、彼の代わりにホルモン屋を切り盛りする少女・チエ。
母は家出していて別居している。
一概に昭和と言っても戦後すぐの高度経済成長期なのかそれ以降なのか定かではない。
だが1話で「昭和50年」と書かれた小銭が出てくるので、恐らくは昭和50年代の大阪を描いているんだと思う。
ただなんか観てるとどうも昭和30年代〜40年代前半くらいなのかな?チエちゃん下駄履いてるし。平成生まれなのでどの辺の昭和かイマイチピンとこないけど、昭和をリアルタイムで生きていた人は一体どう思うのかな。
なお、大大大前提としてこの町の人々は概ね柄が悪く、ヤクザに博打屋に品性が下劣なおっちゃん達が山ほど出てくる。
そんな、めちゃくちゃな大人に囲まれた世界でチエは健気に生きている。
自分が視聴した3話時点で数少ない常識人ポジが学校の先生と実の母くらいしか居ない、たいへん異常な環境。
おばあちゃんは息子のテツにブチ切れてるからマトモか。
いやあれはあれで得体の知れない怖さしかないよ、うん。
チエは、ホルモン屋の切り盛りで宿題やら友達付き合いやら、「小学生だからできること」を犠牲にして生計を立てている。
チエの幼い見た目からは想像できないくらい達観してサバサバした発言は、子供でありながらも大人として生きなければいけない環境下に置かれているからだと思う。
もはやヤングケアラー。
桃鉄に例えるならば、チエは、テツという貧乏神を引き連れながら健気にホルモンで財産を築いている存在。
昭和に生きた人たちは一体このアニメをどんな気持ちで見ていたんだろうね。現代なら間違いなく児相行き確定。
でも、チエもチエで周りの大人に屈したりせず、メンタルが強い子なのだ。
境遇を嘆くこともあれど、その現状に屈せず一日一日を一生懸命生きている。そんなチエの姿に「頑張れ!」って言いたくなる。
それでもチエにも人間らしいところがあり、2話で授業参観にテツが来てしっちゃかめっちゃかにされて大泣きする話は心がキュッとなった。実際あんな親持ったら私なら自殺すると思うよ……
3話ではチエが、別居する母とこっそり会っていた。
普段チエがテツの前では見せない子供らしさは、母になら安心して見せれるのかもしれない。
マジで親権とかどうなってんのか余計不安だ。
……とまぁ、とにかくどのシーンを切り取っても心が穏やかではないとんでもないアニメであることはわかった。
私がこの記事で言いたいのは、このアニメ、昭和を知らない平成生まれにこそ見てほしいということ。
じゃりん子チエは、サザエさんのような「世田谷にでかい一軒家を構える実は裕福な一家」では決して見えてこないアウトローな昭和なのだ。
そのアウトローさの中にも時折見せるテツの義理人情、関西弁で喋るキャラそのものの温かさ、平成狸合戦ぽんぽこみたいなギャングな動物同士の掛け合いなど、現代人が忘れ去った荒削りな昭和的温かさ、コミカルさがあると思う。
もう、私としては昭和レトロでサブカルぶってる奴らにこれを義務教育ビデオとして見せたいくらいだ。
一見チエが不憫でたまらない展開なのだが、不思議にチエちゃん頑張れ、テツは働け、と読者が登場人物に声をかけたくなる不思議な作品、それがじゃりん子チエなのかもしれない。