教科書の演出を見抜く子どもたち
理科の「種の発芽」の学習。
芽がでるためには光は必要ないということを
子どもたちは自分たちの実験で証明しました。
真っ暗にした種はどの種も茎がぐ~~んと伸びて日向に置いた種の
およそ3倍です。
「この栄養分とは一体なんだろうか?」
と子どもたちに聞きました。
すぐに出るのは「デンプン」です。
これは4年生の時にジャガイモでやっているからです。
経験したことは忘れませんね。
そのほかは出てこなかったので、5つの選択肢を
出しました。
1 でんぷん
2 脂肪
3 ビタミン
4 リゲイン(当時はやっていた)
5 炭水化物
理科の本を読んでいる子はすぐに「でんぷん」と
答えました。
僕は子どもたちに言いました。
「理科の本を見たでしょ!」
その子は「見た」と言えずに口ごもってしまいました。
僕はさらに続けました。
「見ていいんです。教科書は使わなければね。
見ていいのです。みましょう。」
その子は「見てはいけない」と言われると
思ったらしく僕の言葉にきょとんとしています。
教科書は見事にヨウ素液で紫色に染まった種の写真が
あります。
僕は子どもたちに追い討ちをかけます。
「ね。紫色に染まる。ところが、こううまくは染まらないのです。」
「え?じゃあ、教科書、うそ、書いてある?」
もちろん、教科書は「ウソ」ではありません。
でも、ここで考えさせるのです。
本当の「追求力」「科学する力」はここからです。
「あ、わかった!発芽して栄養分を使うからそこだけ色がつかない。」
I 君が発言しました。
「素晴らしい!」実に素晴らしい考えです。
教科書を元にさらに考える。
―――-これが本物の理科なのです。「考える力」なのです。
「ところどころ色がつかない」というY君のような考えも出ました。
これもすんばらしいと僕は大袈裟に褒めました。
このようにして5つの考えが出ました。
(図表子どもたちの板書ノートから)
このA~Eの5つの説をそれぞれ名付けて、検討したのです。
そして実際に次の時間にヨウ素液で試してみることになりました。
教科書は嘘ではないが、演出があります。
そんなことも子どもたちは見抜き、「事実」にこだわる姿勢を
この時から創り上げていくのです。
知識を教えることでなく「モノの考え方」を教えていくのが学校でやることです。
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