お客様目線を忘れないことが肝要
最近、お酒を飲む頻度をかなり減らした。
その分、惰性で飲むのではなく、
本当に飲みたいお酒を飲むようにと、
趣向を変えている。
以前は、体力に任せてビールもワインも
焼酎も、という感じであったが、
徐々に翌日まで残りやすくなってきた。
肝臓の数値が一時期悪化したこともあり、
飲む量を抑える必要も出て来た。
そこで、飲む回数や量を抑えつつ、
本当は好きなのだが酔いやすいために
避けていた日本酒を楽しむ方向へと
「路線変更」したのだ。
たまたま近いタイミングで、妻も、
少量ながらよく飲んでいたワインや
ビールをほとんど飲まなくなったため、
我が家でワインを空ける機会がめっきり
減ってしまった。
しかし、ワインというのも、ハマると
危険なお酒である。
今は日本酒にすっかり集中しているが、
元々ワインにも目がないのだ。
丁度1年近く前に、新潟の上越市にある
岩の原葡萄園を訪れた。
たまたま、ご縁あって私のセミナーを
受講して下さった方が、社長を務めて
いらっしゃるワイナリーなのである。
神田和明社長は、サントリーのご出身。
元々、岩の原葡萄園の創業者である
川上善兵衛氏を、サントリーの創業者で
ある鳥井信治郎氏がかなり支援したと
いう関係があり、株式会社化した際も
サントリーが共同出資しているなど、
関係が深い。
サントリーでは主に営業畑でご活躍されて
いた神田さん。
配属された先々でリーダーシップを強烈に
発揮し、数多の組織を再生してこられた。
その時の生々しい事例をまとめた著書も
出されていて、これがまた面白い。
サントリーは、神田さんのような優秀な
営業マンも勿論多いわけだが、
私には「マーケティング巧者」という
イメージが非常に強い。
日本マーケティング協会という組織も、
元々サントリーが中心になって設立し、
いまだにリーダー的な存在として運営に
関与されているはずである。
そんなサントリーで、マーケティング畑を
中心に歩まれ、現在は同社でワインカンパニー
の社長をされている吉雄敬子氏のインタビュー
記事が『致知』11月号に載っていた。
「仕事においてホームランを打つために大切な
ことはありますか。」という質問に対して、
「”お客様目線”に尽きます。」とズバリ回答
している。
さすがはマーケター!と思ったのも束の間、
その言葉に続いて
「いま消費者が何を求めているか、それを
企業やマーケティング視点ではなく、
一生活者の立場で考える。」
との言葉が続いている。
いきなりマーケティングを否定するかの
ように読める言葉が飛び出したことに、
一瞬頭が混乱した。
ただ、全体の文章を読んだ上で、
彼女の意図を汲むならば、
「マーケティング」というのはどこまで
行っても主体が企業側であるのを踏まえ、
主体、主語を消費者、生活者にしないと
真のニーズが掴めない、ということを
言いたかったのだろう。
そのように解釈すると合点がいく。
彼女の言う、「一生活者の立場で考える」
というのは、あくまでもマーケティング
活動の一部であり、マーケティングを行う
上で必要な心構えだと、私自身は考える
ところだ。
「一生活者の立場で考える」ことを
徹底するべく、プライベートの会話に
おいても友人たちを質問攻めにしている
らしきエピソードが紹介されている。
また、「オンオフ」という考え方ではなく、
常に「オンオン」、明確にオンとオフを
区別しないスタンスで生活しているという
考え方についても述べている。
この辺を踏まえれば、やはり、彼女の言う
「マーケティング視点」というのは、
単に「企業の側からの視点」の言い換えに
過ぎないのは明らかだろう。
「マーケティング」という言葉の定義に
関わる話になると、ついこだわりが出て
しまう。
何はともあれ、お客様目線、生活者目線を
常に忘れないことが肝要なことは、
疑いないところである。
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