フィンランド🇫🇮チーズに恋して(食べ比べ)
10月も後半、ヘルシンキもすっかり寒くなってきました。
最近の日中の平均気温は10度前後でしょうか。
日本の温暖湿潤気候で育まれた私には今でも充分寒いのに、ここフィンランドで真冬は0度以下が平均気温なんて日も出てくるのでしょう。
「わたし、春まで家から出たくない」と窓の外の裸になりつつある樹々を眺めながら呟くと、フィンランド人のダンナがギョッとして「ムーミンじゃないんだから、、それは困るよ、、」と深刻な顔でマジレスしてくるので、こっちが困った今日この頃です。
フィンランドを代表するチーズ
さて、このチーズをご存知でしょうか。
「OLTERMANNI(オルタルマンニ)」という、フィンランドの家庭の冷蔵庫に一家にひとつはブロックで入っていると言っても過言ではない人気チーズです。
マヨネーズといえばだいたいキューピーが日本の家庭にあるような感じです(合ってるかな)。
このチーズが素朴でなかなかに美味しいのでフィンランドに来たときはぜひお試しいただきたいです。
わたしは、無駄に資格を幾つも取得している程度にワイン愛好家ですが、チーズは進んで食べるほど好きではないです。
どうしてもワイン好きの集まりでは気取ってチーズの盛り合わせなどを頼んでしまいますが"嗜む程度"で、どちらかというとピザに載ってるのとか、チーズフォンデュのような、お子様かよ、という程度に敷居が低いのが好きです。
オルタルマンニはそんな私の口にも合って、フレッシュでミルキーで、日本でも人気の「さけるチーズ」のような心地よい弾力があります。
初めてこのチーズに出会った時は、パンにも乗せず、スライスしては口に運ぶ無限ループに陥るほどハマりました。
オルタルマンニはブロックから削ってそのまま食べてもいいし、火があったらすぐにソーセージを焼きたくなるフィンランド人は、パンにオルタルマンニと焼いたソーセージを乗せて食べています。
ちなみにソーセージ突き刺し棒と、チーズスライサーはフィンランドでは必需品です。(※個人の感想です)
香ばしく焼けた肉汁溢れるソーセージに、爽やかなミルクの旨味が乗ったオルタルマンニチーズのコンビネーションは悪魔的な中毒性があります。
隣国ロシアでも爆発的人気商品で、最近は諸事情でフィンランドから輸出が出来ないようなので、早くオルタルマンニが食べられる平和な世の中になって欲しいと彼の国の民も願っているのではないでしょうか。
さて、そんなオルタルマンニはValioというフィンランド大手乳業メーカーから販売されています。
オルタルマンニ以外のチーズもたまたま食べる機会があったのですが、これがまた美味しくて色々食べてみたいと思いました。
日本では売られていないチーズのニッチな内容で、書いたところで誰得な情報ではありますが、いくつかポピュラーなフィンランドチーズを比較してみたので記録を残しておきます。
フィンランドの人気チーズを比較してみる
今回用意したのは以下のチーズです。
中身を並べて食べてみます。
ブロックで買うと量が半端ないのでスライスの少量パックを用意しました。OLTERMANNIはブロックでうちにあったのでそれをスライスして使います。
以下にざっくり概要と食べた感想です。
①OLTERMANNI
最も人気のあるフィンランドスタイルのクリームチーズ。
色はよく見るスライスチーズのオフホワイトです。マットな質感で不規則な形の小さな穴が所々開いています。
爽やかでほんのり甘いミルクの香りがします。
味わいはフレッシュでミルキー。酸味も少なく食べやすい。柔らかく少し弾力も感じますが荒ごしで食感がちょっともそっとする。(良い意味で)
②EDAM
110年以上の歴史を持つValioのベーシックなオリジナルチーズ。
色はよく見るスライスチーズのオフホワイトです。しっとりと光沢のある質感で丸く5mm程度の気泡の小さな穴が数箇所開いています。
爽やかなミルクの香りがします。
柔らかく弾力があり味わいはフレッシュでミルキー。酸味も少なく食べやすく後味もさっぱりしています。
オルタルマンニに比べるとツルッとした食感。
③POLAR
Valioの定番商品。フィンランドの北国からインスピレーションを得たオリジナルチーズ。
色はよく見るスライスチーズのオフホワイトです。しっとりと光沢のある質感で丸く1cm程度の小さな気泡の穴が数箇所開いています。
爽やかなミルクの香りがします。
柔らかく味わいはフレッシュでミルキー。後味に旨味とコクがある。
食感はオルタルマンニやエダムに比べてプリっとコシが強い。
④ALPPI KREIVI
ミルクの濃厚さが特徴のスイスのベルクケーゼ製法を取り入れたチーズ。
色は薄いきつね色です。マットでサラサラした滑らかな質感です。
クリーミーで熟成した乳製品の強い香りがします。
味わいはコクがあり熟成のある凝縮したミルク感。
噛むとフレークのようにホロっとした食感。
⑤KEISARINNA
イタリアのゴーダチーズの製法を取り入れ8ヶ月熟成したチーズ。
色は④よりも鮮やかな優しいきつね色です。マットでサラサラした滑らかな質感です。
熟成があり丸みを帯びた乳製品の香りがします。
味わいはコクがあり熟成した旨味やミネラル感のある苦味があります。
よくあるゴーダより水分量はあり、噛むとホロっとして結晶がサクッとした食感を作っている。
所感
①〜③が熟成のないフレッシュな味わいのチーズで、④〜⑤が熟成のあるチーズ(7、8ヶ月程度)です。
①〜③は色も香りも似ています。どれも私の好きなチーズです。味わいや食感にちょっとづつ変化があります。
私の好みは圧倒的に③POLARです。
①と②とも共通して、爽やかなカルピスのような乳製品の清々しい香りがあります。
味わいも新鮮なミルクを固形にして食べているような美味しさが共通であるのですが、POLARは噛めば噛むほど旨味が出てくる後味があり、①と②に比べて心地の良い弾力がハッキリとあるのです。
軽い食べ応えなのでツルツルといくらでも食べられます。
④〜⑤は熟成したナッツの風味があり、ゴーダチーズなどハード系チーズをライトに食べたい方にはおすすめです。
熟成した中にもフレッシュミルクの清々しさがあります。
そのまま食べるのも良いですがピザやトーストで溶かして食べるのにも向いています。
個人的には④ALPPI KREIVIが何となく濃厚なミルキーを彷彿させる味わいがあって好みです。
おわりに
最近、世界的にチーズの有名な国であるスイスに行くことがあって、せっかく有名なのだからと美味しいチーズをたくさん食べてきたので、チーズに少し興味がわいています。
フィンランドのチーズはスイスやイタリアのようにしっかり熟成させる奥深い味わいというより、気軽なフレッシュさを楽しむライトなチーズが多く、食べやすいので私のようなあまりチーズ食べない人間でも好きになれること間違いなしです。
フィンランド人はチーズ大好きなので、スーパーに行くと一面に国産チーズ(主にValio)が並んでいます。
フィンランドに来る機会があればぜひ試してみてください!