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よせばいいのに。よせばいいのに。

いくら便利な世の中になったとはいえ、ぼくたちが本当に欲しているものはそんなに多くない。

いや、「欲しい」と思うことはいくらでもある。

でもそれってほぼ瞬間風速的に条件反射で思っただけで、数分数秒あけて考え直してみると「そうでもないな」と思いとどまることが多い。

ぼくの場合は特に食べ物に関してそんなことをよく思う。

たまに妻と一緒にスーパーに買い物に行くんだけど、ぼくはこのスーパーにめっぽう弱い。

スーパーって、野菜や肉、果物にお菓子。食べ物がいっぱい売っているよね?

当たり前のことを疑問系で投げかけてしまうことを「愚問」という。
その定義でいくと愚問中の愚問もいいところで、スーパーは食べ物を買うところ。

そしてスーパーがいやらしいのは(被害妄想です)、至るところ購買意欲が増すように設計されているところ。

野菜はいろどり豊かになるように配置されているし、お肉やお刺身売り場の照明は色がキレイに見えるように暖色系になっているし、お菓子売り場はあらゆる種類のものが大きな棚にぎっしりと詰められている。

また、買い物がしやすいようにお客さんの動線も考えられている。

ぼくらはそういったスーパーの思惑にまんまとハマっているのだ(被害妄想もはなはだしいぞ)

一度スーパーに入ったが最後、買おうと思っていたもの以外のものまであれよあれよとカゴに突っ込んでいて、しまいには本当に買いたかった物を買い忘れてしまったりして、もはやなんのためにスーパーに来たんだかわからなくなることもあると来たもんだ。


ぼくは、妻とスーパーに訪れると、まもなく迷子になる。

最初は妻について歩いているんだ。なぜならぼくにはほとんど買いたいものが存在しないから。だけど、スーパーの中を見て回るのが好き。

どんなものが売っているのか?

いくらで売っているのか?

この店の特徴はどんなところか?

みたいなことを考えながら、気になったものが出てくるとフラフラ〜っと妻の元を離れて見に行ってしまう。

大抵は「おいしそうだなー…」とながめておしまい。
なんだけど、見ている内にすこぶるお腹が空いてくる。

人間の食欲はあなどれない。

特にお腹が空いていなかったとしても、視覚、嗅覚、時には聴覚によって「おいしそうだな」と思った瞬間、即座に食欲が大発生してしまうのだ。

怖いよね・・・

だからぼくがスーパーに行くと大体お腹が空いてしまって、買い物の最中から「腹が減った」「腹が減った」と連呼している。
そういう日の夕飯は早めに食べることになる。

妻が食事の用意をしてくれている時にも「腹が減った」を念仏のように唱えているはずだ。もう無意識に吐いていると思う。


スーパーにいる間、ぼくがフラフラとさまよって迷子になったとしても、幸いにもぼくの身長は180cmあるので見つけやすいのだろう。本当に迷子になってしまうことは少ない。

スーパーの買い物はその建物内で完結するからまだ話は単純だし、傷も浅い。
せいぜい1時間くらいのことで、時間的にも「暇つぶし」といったところで済む。

これがたとえばネットショッピングのような無限に広がる世界になると、もうぼくは収集がつかなくなってしまう。

ただ単に物だけにとどまらず、どこかに旅行に行きたいだとか、お金を稼ぐ方法だとか。欲しいものの対象が次から次へと湧いてくる。


でも、行き着く先は決まって「そうでもないな」である。


この「そうでもないな」を見つけるまでがぼくのルーティン。
お約束のようなこの茶番劇をこれまでに幾度となく繰り返してきているんだけど、これ本当にムダな時間だよね。

わかっちゃいるんだ。わかっちゃいるんだけど、何かを「欲しい」と思う感情から次々に現れる欲求にいつも悩まされている。

よせばいいのに。

あなたの言いたいことはよく理解している。

そんなに欲しがるなら見なきゃいい。だけど、パソコンやスマホの画面を見ているとあらゆる欲求を掻き立てられる。

インスタグラムもtwitterも、ご丁寧に自分が欲している情報や広告をいつの間にか表示してくれるし、スーパーに行こうものならぼくにとっての御馳走の数々を目の前に差し出してくる(だから被害妄想!)

きっとぼくの人生も「よせばいいのに」の連続だ。


だけどよく考えてみよう。

欲求を捨ててしまうことは生きる活力を捨ててしまうことにも繋がるんじゃないかな?
食欲だって物欲だって、自分が「何かをしたい」と思うことの源泉なのだから。

「よせばいいのに」のムダと思われた時間も、こう考えると少しは報われる。


さて、自分を支配する欲求に対する自己弁護のようなこの記事になんの意味があるんだろうね。


よせばいいのに。


じゃあ、またね。


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