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『ピエール瀧の23区23時』〜セカンドシーズン 目黒区編

ピエール瀧が東京23区の各区を夜中に散歩したら一体何が起こるのか?!という自由徘徊実験企画。決まっているルールは“23時になったら写真を撮る事”“100円自販機を見つけたら興味本位で味見をする事”のふたつ。それ以外は基本行き当たりばったりのゆるゆる企画。ファーストシーズンは2010年に開始。その模様は『ピエール瀧の23区23時』(産業編集センター/刊)として2012年に書籍化されている。10年後の2020年、セカンドシーズンがスタート。

目黒区編

東急東横線「祐天寺」駅スタート

東急東横線 祐天寺駅

ー今日は目黒区です。目黒区内には様々な国の大使館があります。各国建物に特色が出ていると思うので、夜にプチ旅行気分がてら歩いて見てみようかと。今日のルート上には7カ国の日本大使館が点在しているので、この企画的にもちょうど良い感じの数ですね。

瀧:見るだけね。入った瞬間に亡命っていうことになるとヤバいから(笑)。最初はどこ?

祐天寺の近くにモーリタニア大使館があるので、まずはそこから行きましょう。

瀧:モーリタニア大使館!?

ーそうです。実際には大使館が一番多いのは港区なんですけどね。

瀧:ああ、それはなんかわかるなあ。後はどの国を回っていく感じ?

ーモーリタニアから始まって、セネガル、エジプト、ポーランド 、アルジェリア、パプアニューギニア、最後がネパールですね。

瀧:なるほどね、結構あるんだなあ。じゃあ歩き始めよう。なんでもいいからさ、モーリタニア情報をくれないかな? なるべく思いを馳せながら向かいたいんだけど。

ー場所はアフリカ大陸のセネガルの上。もうゴリゴリのサハラ砂漠ですね。国土のほとんどが砂漠で、地図を見ると西アフリカの端っこの方で出っ張ってるところがモーリタニアです。

瀧:はあ。他には何があるの?

タコがたくさん取れる。

瀧:なるほど。アフリカの明石的なとこか。

ー人口は世界125位で、500万人弱。アラビア語を喋る。タコはめっちゃ有名だけど、モーリタニアの人はタコを食べないそうです。

瀧:輸出産業なのか。まあ見に行ってみようか。今歩いてるのは祐天寺商店街。あれ? これスタジオの近くだ。よく電気のレコーディングで使う録音スタジオSomewhere。スタジオの近くにモーリタニア大使館があるなんて、知らなかったわ。

Studio Somewhere

意外な立地! モーリタニア大使館!


ー目黒区は仕事以外でいらっしゃることあります?

瀧:結構来るよ。中目黒で飲んだりとかするし。学芸大学も目黒区だもんね。その辺にご飯食べに行く感じかな。目黒不動尊のとこにウナギ食べに行ったりもしたな。後、たまに家族で「東京旅行だ!」って言って、雅叙園に泊まったりすることもある。雅叙園の部屋って浴室にミストサウナがついてんのよ。

ーへえ~。

瀧:それがいいってことになって、家族で泊まってサウナ入ったり、ゲーム機持っていってダラダラして過ごすことはあるね。

ーこの角を右折するとモーリタニア・イスラム共和国大使館です。

完全に住宅街

瀧:ここを曲がるの? 完全に住宅街じゃん。しかも割と高級そうな街角だね。

ーこちらですね。

瀧:あったあった。本当だ。ぱっと見は家っぽいけど、国旗もちゃんとそこに掲げてあるもんね。

モーリタニア・イスラム共和国大使館

瀧:どういう生活をしてるのか全然想像つかないな、モーリタニアの人って。

ー(ネット見る)首都はヌアクショット。サハラ交易の要所。9割砂漠。もう砂漠としか言いようがないです(笑)

瀧:9割砂漠ってすげえなあ。

ー後はタクシー代わりにロバとか使ってるらしいです。

瀧:タクシー代わりにロバ? 荷物を運んだりとかもするよね。人も荷物も運ぶんじゃ、もうロバが主要な移動手段と言っていいんじゃん。

日本人は16名ぐらいいるみたいですね。

瀧:16名しかいないんだ。開発とかで行ってんのかな、それかNPO系。もうお手上げだね。本当は昼間にここに来て、直接聞くのが一番いいんだろうけどね。どんな国なんですか? って。見たことない国旗だわ。

ーかっこいいですね。

瀧:そうね。笑ってるようにも見える。

ーモーリタニアは日本に一番タコを輸出してるみたいなんで、多分16名中6名くらいは商社とかの人でしょうね。

瀧:そうかもね。コンビニのおでんに入ってるタコとかさ、モーリタニア産だったりするんじゃないの? 普通のたこ焼き用とかのカットしたやつも冷凍で売ってるもんね。もしかしたらモーリタニアなくしては、たこ焼き産業が成立しないのかもしれないな。まあ、わかりました。1カ国目モーリタニア、クリアです。

歩いてみないとわからないもの

瀧:次はどこの国?

セネガル大使館ですね。

瀧:セネガルか。セネガルはサッカーのワールドカップで馴染みがあるねえ。

セネガル大使館の場所を検索

ーセネガル大使館まではちょっと距離があります。

瀧:OK、のたのた歩こう。なんかセネガル情報ない? 場所はアフリカ大陸なんだよね。

ーモーリタニアのすぐ南、首都はダカールです。

瀧:なるほど。実際の国同士も近いし、大使館もまあまあ近くに設置されてるのか。パリ・ダカール・ラリーが真っ先に思いつくな。セネガルは、砂漠だけということはない?

ー地図見るとちゃんと緑の部分もあるんですけど、セネガルの国土の中央部分にガンビアっていう別の国があります。細い口みたいな形で。そのガンビアの上部分が砂漠で、下部分が緑っていう感じですね。

瀧:なるほど。セネガルの主要産業は?

粟、落花生、鉱物燃料が代表的な産業みたいですね。

瀧:落花生、ピーナッツだよね。千葉と同じだ。割と一次産業に従事している人が多い感じがするね。お、ここアクセサリーミュージアムだって。

アクセサリーミュージアム

瀧:お店かな? 違った、本当にミュージアムだ。「1830年代から2000年代のコスチュームジュエリーの美術館5万点以上のコレクションを誇り、ビートルズグッズやスマイルバッチ、バブル期スタイルなど」ネックレスとか、バッチとかか。

瀧:「地下1階にはヒッピースタイルや渋カジ、今でも目にするブランドがいっぱい。ハリウッド黄金時代ゴージャスなアイテムがいっぱい」、へえ。入場料1000円

瀧:アクセサリーショップかと思ったら、本当にミュージアムだった。ヴィクトリア王朝のやつもあるみたいよ。館長田中元子さんって書いてある。個人のお宅をミュージアムにした感じなのかな。

ー目黒区のお宅、大きい一軒家が多いですね。

瀧:そうだね。小綺麗な印象。ちゃんと時期が来たら建て直してますよ、っていう感じのお宅が多いような気がする。

蛇崩川緑道

瀧:あれ、これ暗渠シリーズじゃない? この道、昔は川だったわけでしょ。この先を行って抜けられんのかな? 抜けてみようか。川の時代はここが蛇崩下橋っていう橋だったんだもんね。

瀧:この遊歩道綺麗だね。この暗渠に遊歩道をつくるときはさ、まだ下に水は流れてるわけじゃんか。だからなんとなくひんやりするよね。

ー確かにこの道を歩き始めて空気が冷たくなりましたね。

瀧:ね。目黒区ってさ、やっぱり目黒駅前の印象が強いっていうかさ、飲食店がたくさんある印象かな。

ー意外と数千円で、飲み食いできるお手ごろなお店も多いですしね。

瀧:うんうん。

ーこの後はセネガル大使館、エジプト大使館とアフリカの国が続きます。アフリカ大陸で行ったことある国ってあります?

瀧:モロッコ南アフリカ。北と南の端っこだね。南アフリカは、ワールドカップの日本対オランダ戦を見にダーバンへ。モロッコは、マラケシュに遊びに行った。砂漠ツアーに行こうってなって、車で5時間ぐらいかけて山をいくつも越えてサハラ砂漠も行ってみた。サハラ砂漠って言ってもワルザザートっていう街で、本当に砂漠の入り口だと思うけど。そこからラクダに乗せられて、2時間ぐらい行った先のテントに一泊して帰ってくるっていうツアーだった。とにかくテント泊がすごいのよ。麻袋みたいな布でできた雑なテントでさ。別に雨降らないからそれでいいんだけど。そのテントの中で一晩寝て、朝起きたらヤバいことになってた。一晩かけて細かいパウダー状の砂が降り積もるのよ、屋根の布の繊維の隙間から。室内に置いてあるものが全部真っ白くなっちゃってた。ビデオカメラにしろ、持っていったカバンにしろ、朝起きると全てがパウダーで真っ白くなってる感じ。その砂漠に泊まったのが思い出かな。あとマラケシュは、ミントティーが甘くて美味しかったっていう印象。野沢通りに出た。右折して真っ直ぐ? 野沢通り沿いに歩くんだね。

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