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動詞なのか、それとも形容詞なのか?

「動詞」(過去分詞あるいは現在分詞)なのか、それとも「形容詞」なのかを判断する基準に、「very」で修飾されるのか、それとも「much」で修飾されるのか、という基準がある。
 「very」も「much」も、「とても」という意味の「副詞」だが、「very」は形容詞の意味を強めるときに使い、「much」は動詞の意味を強めるときに使う。
 


たとえば、次のような2つの文があるとき、「very」が適切だろうか?
それとも「much」が適切だろうか?

(a) He was ( very, much ) surprized by her conduct. 
(b) He was ( very, much ) surprized at her conduct. 

どちらも「was surprized」が使われているので、表面上は「受け身形」だ。
しかし、(b)の文では、「at」が使われており、「at her conduct」は「驚いた」という彼の様子を描写する一要素に過ぎない。換言すれば、主眼は「彼」であり、「彼女のおこない」(her conduct)は、いわば「添え物」に過ぎない。「at her conduct」はなくても(b)の文は成立する。

それに対して、(a)の文では、「by her conduct」は「彼女のおこない」が「by」で強調されており、事実上の主語は「her conduct」であるとも言える。
すなわち、(a)の文は、能動態を用いた
Her conduct surprized him.とほとんど等価であると言ってよい。

このように考えると、
(a) の文の「surprized」は「surprize」が「動詞」として使われていることがわかる。
それに対して(b)の文の「surprized」は、本来の「動詞」としての「surprize」が忘れさられて、「形容詞」として機能していることがわかる。

つまり、(a)では「動詞」を強調するわけだから「much」が適切であり、(b)では「形容詞」を強調するわけだから、「very」が適切であることになる。

ただ、この違いはややこしいので、どちらの文でも、動詞の強調にも形容詞の強調に使える「very much」をひとかたまりとして使うのが無難かもしれない。

最後に、
文法規則的に正しい文を「⭕」で、
誤った文を「❌」で整理
しておく。

⭕ He was much surprized by her conduct. 
❌ He was very surprized by her conduct. 
⭕ He was very much surprized by her conduct. 
⭕ He was very surprized at her conduct. 
❌ He was much surprized at her conduct. 
⭕ He was very much surprized at her conduct. 


「surprized」の他に、「excited」のように、動詞として生きている「excited」と、形容詞化した「excited」という区別がある単語がある。

「very」を使うべきか、「much」を使うべきかで迷った場合には、動詞の強調にも形容詞の強調にも使用できる「very much」を使っておくのが無難だろう。

 最後にどんでん返し的なことを言えば、本来「much」を用いるべきところで「very」を使っても、その逆に「very」を用いるところで「much」を使っても、相手に意味は伝わることだろう。

 口語でコミュニケーションをとるときには大問題になることはない。しかし、書き言葉で使うときには、正しい文法にのっとった語法に従ったほうがよいだろう。


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