エッセイ | 数学はなぜ発展するのか?
数学では、一度完全に正しい定理が証明されたなら、未来永劫、その正しさは変わることがない。
科学も似たようなところがあるが、過去に正しいと認められていた事実が修正されたり、覆されることがある。
数学においては、証明の過程に誤認がない限り、覆されることはない。
誰にも明らかで、疑いようのない「公理」(axiom)や明確な定義から出発する、という理屈は分かるのだが、なぜ公理や定義の堂々巡りになることなく、新たな定理にたどり着くことができるのだろう?
なぜトートロジーに陥ることがないのか?
思うに、数学的な発展には大別すれば、2つあると考えている。
ひとつは、たとえば、中学生で学ぶ二元一次方程式(連立方程式)を学べば、三元一次方程式も、それ以上の多元方程式も解ける。
二元一次方程式くらいなら、普通に消去法や代入法を駆使すれば解くことができるが、「表記」の面で煩雑になるから「行列」があったほうが良い。
雑な言い方をすれば、行列はなくてもなんとかなるが、行列を使ったほうがスッキリした表記になる。
行列ではなくても、普通の一次方程式だって、言葉を使えばできなくもないが、数字や等号という記号があったほうが効率が良い。
このような「省力化」は、数学的発展と言っていいだろう。
もう1つの数学的な発展とは、私が思うに「再定義」によるもの。
自然数の四則計算から始まって、負の数にも、矛盾なく自然数の時に成り立ったことと整合性のとれた四則計算を拡張する。
累乗も最初は同じ数字を掛け合わせた回数として定義するから、指数は正の整数だけである。
その時に導き出される「指数法則」と整合性がとれるように「再定義」することにより、無理数の指数や負の数の指数も扱えるようになる。
「e^iθ=cosθ + i sinθ」も虚数の指数の定義のようなものだ。具体的なことから抽象化へと拡張される過程で、再定義されて一般化され発展していく。
数学の発展と言うと、ギャンブルや保険の分野における必要から確率統計学が発展してきたこと、物理学における必要性からベクトルという考えが発展したことなどが想起される。
この記事では、主に、数学はなぜトートロジーに陥ることなく、発展していくんだろう?、ということを考えてみた。
無矛盾性が担保される限り、定義から再定義され、具体から抽象へと一般化されるから、ということを1つの答えとして提示してみた。
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