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英文法 | 連鎖動詞句

I like to read in bed.
という文の「to read」は、規範文法(学校文法)では「不定詞の名詞(的)用法」だと説明される。名詞(的)用法というのは「~すること」という名詞のような意味を帯びているからである。

すなわち、
I like (to read in bed).のように、
「to read in bed」(ベッドで本を読むこと)を1つの名詞として扱うということである。

このような説明によれば、
I like to read in bed. と
I like apples. とは、SVO(主語+動詞+目的語)という同じ構文ということになる。つまり、どちらも「like」は「他動詞」ということになる。

しかし、
What do you like? という疑問文の答えとして、
I like apples. は適切だが、
I like to read in bed. という答えは引き出せない。
I like to read in bed. という答えを引き出したいのなら、 
What do you like to do? 
と尋ねなければならない。


このことから言えることは、
I like (to read in bed). と考えるのではなくて、
「like to read」を1つの塊(1つの動詞)だと考えるほうが適切だということである。


このことは動名詞と比較してみるとわかる。

I like to watch TV and physical exercises. 
(私はテレビと運動を見ることが好きだ)
では、「like to watch」が1つの動詞のはたらきをして、
「TVとphysical exercises」を目的語にしている。

I like watching TV and physical exercises.
(私はテレビを見ることと運動が好きだ)
では、「watching TV」と「physical exercises」が like の目的語になっている。


以上の説明は、中島文雄(著)英語の構造(上)」(岩波新書)をもとにして書いた。
中島先生がいうには、「like to do」のような「不定詞句」は名詞(的)用法でも副詞(的)用法でもなく、「動詞(的)用法」というのが適切だ。


規範文法では、動詞は「自動詞」と「他動詞」の2つに分けて考えるが、上の「like」のように自動詞とも他動詞とも決めかねるような動詞を「連鎖動詞」(catenative)と呼べばスッキリする、というのが中島先生の提案である。


中島文雄(著)「文法の構造」(岩波新書)は、学校文法(規範文法)ではなく、「生成文法」によって英語の構造を説明している。

いままで、いろんな英文法書を読んできたが、生成文法による説明の文法書は初めて読んだ。
「なるほど!」と思えることも多いが、英語を学生に教えるとしたら、規範文法のほうが分かりやすいかな、とは思う。
しかし、規範文法では十分に説明できない部分を生成文法が補ってくれるように思える。

まだ、生成文法は学び始めたばかりだが、今までは少し違った角度から英語に向き合うことができて、最近ちょっと楽しい。楽ではありませんけどね。


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山根あきら | 妄想哲学者
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