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色黒のオジさんと色白のオバさんについて

 ひそかに私が普段、観察している人がいます。顔はよく見かけるけど、名前も住んでいるところも知りません。私がなんとなく観察しているのは、街中で見かける「色黒のおじさん」と「色白(と思われる)おばさん」です。


 特定の誰、というわけではありませんが、最近、色黒のおじさんが急増しているように思うのです。
 色黒のおじさんに季節は関係ありません。年がら年中、真っ黒なのです。公園や図書館など、無料で長時間いられるようなところに出没することが多い。

 私が色黒のおじさんのことが気になりだしたのは、数年前からです。
 「なんであんなに黒いんだろう?」とかねがね思っていました。ですが、単純に考えてみれば、外にいる時間が長いからですよね。昼間の大半の時間を外で過ごしているから、真っ黒になるのでしょう。

 なぜ、そうなるのか?
 おそらく、家の中に居場所がないのでしょうね。とくに仲の良い友だちもいなさそうです。家の中にいると息が詰まるのか、それとも追い出されてしまうのか、どちらかなのでしょう。

 勝手な想像ですが、定年後に家の中にいる時間が長くなると、家事も何も、自分自身の身の回りことが出来ない夫は、妻から見れば無用の長物。ただ、ボケーっと家の中でゴロゴロしてる男なんて、なんの魅力もありません。

 だから、男は妻の目を気にして、外に行くほかない。
 男は男で、職場の人間関係しか築いてこなかったものだから、定年後には誰からも声がかからず、虚しい毎日を過ごしているのでしょう。

 色黒のおじさんを見かけると、私の妄想が広がります。

「今まで、家庭をないがしろにしてきた報いなのよ」という気持ちと「今まで、頑張って仕事してきたのにねぇ」というアンビバレントな気持ちが、私の心の中で交錯します。


 色白(と思われる)おばさんも気になります。色黒のおじさんほど多くは見かけませんが、わりとよく見かけます。

 年がら年中、夏も冬もいつでも、これから「スズメバチの駆除」にでも行くかのようなかっこうをしています。
 帽子をかぶり、サングラスをかけ、アームカバー(っていうのかな?)を身につけ、ほとんど露出した肌が見える部分がありません。
 
 もちろん、肌が弱いとか、何かの病気という可能性は否定しませんが、私が見かける色白のおばさんは違う(と思う)。
 日に焼けることを極度に気にする女性はいるようですね。シミができることに異常な恐怖心をもっているようです。

 陽射しの強い日に、日傘をさしたり、日焼け止めを塗ったりするのは、多くの人が実践していると思いますが、あんなに「スズメバチ駆除」的な重装備をするのは、やり過ぎなのではないか、と。

 私がとやかく言う権利はないのですが、そこまで白い肌をつくっても、誰もそんなに見てないよ、と思ったりします。
 日に焼けることをまったく気にしないのはどうかと思いますが、プールにご夫婦二人でやって来て「あはは」と笑っている少し日に焼けたおばさんのほうが、私は好感がもてます。


 ふと今思ったのですが、「色黒のおじさん」も「色白のおばさん」も、少なくても私の見る限り、たいてい単独で行動しています。
 どちらも、どことなく孤独というか、社会から隔絶しているというか。
 別に悪くはないんですけどね。でも、私は「色黒のおじさん」にも「色白のおばさん」にもなりたくないな。


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記事を読んで頂き、ありがとうございます。お気持ちにお応えられるように、つとめて参ります。今後ともよろしくお願いいたします