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詩 | 谷川俊太郎 | 道

詩 | 谷川俊太郎 | 道
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その道は誰の道
そうして私たちは歩いていった
その道はもくせいの匂う道
夜 野良犬のこっそり駆けてゆく道
昼 雑木林の風に鳴っている道
そうして私たちは歩いていった
その道は誰の道
乾いた砂埃の白く続き
空はいつまでもその上にあった
その道は誰の道
誰でもが歩いてゆくより他のない
その道は誰の道
春 黄色い蝶は舞い
冬 どこかで雪のどさっとおちる道
いつも遠い山の中腹に町は光り
人声が風に乗って聞こえる道
その道は誰の道
通りゃんせ
太陽の輝いている道
星の降る道
通りゃんせ
誰の道でもない道
通りゃんせ

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