一語の宇宙 | くまのプーさん🐻と目的論 | teleology
teleology は「目的論」という意味。
目的論に基づくと、ある事象を説明するときに「~するために、こういうふうになっている」という言い方になります。
たとえば、雑草の生えている道を歩くと、ズボンに雑草の種子がくっつくことがありますね。
「ズボンに種子がくっつくのはなぜか?」という質問に「ズボンにくっつくのは、種子をなるべく遠くに運ぶためです」と説明されることがあります。これは目的論の考え方に基づいています。
タンポポの種子にハネがついているのは、「風に乗って種子をなるべく遠くに運ぶためだ」というのも目的論の説明です。ウィルスの増殖の仕方も、目的論で説明されることが多いですね。
植物の種子やウィルスは、「仲間の繁栄させよう」という意思を持っているわけではありません。ウィルスは単細胞ですらありません。考えるための頭脳をそもそも持っていません。だから、少なくても、自らが熟考した結果として現在のような姿になったわけではない、と言えるでしょう。
「目的論」に対して、「機械論」(mechanism)という考え方があります。ザックリ言うと、物理学的な考え方です。物体の動きになんらかの目的があると考えるのではなく、因果関係を観察するだけです。意思の介在を認めない立場と言えます。
機械論に基づく考え方とは、簡単に言えば、y = ax という比例式の
「x」に具体的な数字を代入すれば、「y」の値が決まるようなイメージです。
ここには、「~だから」という理由や意思はありませんね。端的に、原因(x)とその結果(y)があるだけです。
人間を関数とみれば、超複雑な式になりそうです。
機械論的な考え方を突き詰めれば、すべての出来事は決定づけられていて、人間の自由意思(理由づけ)が入り込む余地はありません。それゆえに、機械論は科学的だと言えるでしょう。
ただ、人間を単なる物理的な存在に過ぎないという機械論の考え方には、抵抗感を持つ人も多いですし、科学者でさえ、普段は「目的論」的な考え方に基づいて行動したり、説明したりすることがあります。
自然科学では、機械論が優勢だと思いますが、人文科学や心理学では、目的論に基づく考察が多いように思います。
アドラー心理学は、明らかに「目的論」的な心理学ですね。
私は基本的には、機械論が正しいと思っていますが、完全に目的論的な考えを捨てているわけでもありません。
機械論というと、無機質で冷たい感じがしますが、必ずしもそうとも限りません。
「とんぼのめがね」という童謡があります。
「赤い夕焼けの中を飛んだから、とんぼの眼鏡が赤色なのだ」という理由づけは、機械論的な説明ですよね。私は情緒のある歌詞だと思うんですけどね。
アリストテレスと「くまのプーさん🐻」
私がteleologyという単語を知ったのは、サンデル教授の著書("Justice")を読んだときでした。何年か前に、NHKの「白熱教室」が流行ったことがありました。
サンデル教授は著書の中で目的論を説明するときに、アリストテレスをもとに書いていますが、科学的な考え方が主流だと思われている現代においても、目的論的な考え方は根強いことを主張しています。サンデル教授は、目的論的な考え方として、「くまのプーさん」を例に挙げていました。
https://ameblo.jp/sepharad/entry-10550805440.html
teleology (目的論)↔️mechanism (機械論)
「一語の宇宙」では、英単語を1つ取り上げて、エッセイを書きます。
こちらのマガジン(↓)に収録していきます。
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