読書エッセイ | 発音・アクセントについて。
黒田龍之助(著)、
「ロシア語だけの青春」(現代書館)
先日、書店を歩いていたら、黒田龍之助さんの著書が目に入った。はじめて見る装丁だったから手に取ってみると、数年前に購入して読んだ「ロシア語だけの青春」(現代書館)という単行本(ヘッダー)が文庫化されたものだった。
パラパラっと、単行本にはなかった解説だけ眺めて、家に帰ってから「ロシア語だけの青春」の単行本を再読してみた。
黒田さんの著書は「はじめての言語学」(講談社現代新書)を読んで以来、目についた本はほぼ全て購入して読んでいるが、「ロシア語の青春」ほど、黒田さんがロシア語を具体的にどのように学んできたかを詳細に記述した本はない。
「ロシア語の青春」を読むと、黒田さんとロシア語との出会い、ミール(ロシア語の語学学校)での授業の様子、ロシア語教師・通訳になってからのエピソードなど、語学への真摯な向き合い方を知ることができる。
単行本のオビにも書いてあるが、一言でこの本のメッセージを表せば、「ひたすら発音、そして暗唱。他のやり方は知らない」ということ。
「ударение」(ウダレーニエ)
この本の中でとくに私の印象に残ったのは、アクセントと発音のお話。
ロシア語の単語は、音節のどこか一箇所が他に比べ強く、少しだけ長めに発音される。これを「ударение」(ウダレーニエ、英語のアクセントのようなもの)というが、黒田さんが通ったミールというロシア語学校では、ことさらウダレーニエを強く発音することを求められたという。
どうしてそんなに、ウダレーニエを強く発音しなければならないのか、という疑問に対して先生は次のように語ったという(前掲書、p103)。
「ロシア語のウダレーニエとは、実に強いものなのです。そりゃ実際に話すときは、もっと弱くなりますよ。でも普段から弱いようでは、本番ではもっと弱くなってしまいます。それではダメだから、授業中は意識的に、強く発音する練習をするのです」
言われてみれば確かに、英語を話す場合も大袈裟なくらいアクセントを強く発音する練習をしておかないと、日本人の場合はとくに平板な読み方をしてしまう。
これは私見だが、英語を話すときに大切なのは、「L」と「R」とを区別して発音できることと同じかそれ以上に、「アクセント」と「声の大きさ」ではないだろうか?
外国語を話すとき、自信のなさや度胸のなさによって、小声になったり、日本語を話すときのように平板に発音してしまい、外国人には聞き取りにくくなったり。
中学生・高校生の頃も、間違った発音をすると笑われたりして、トラウマになった人もいるかもしれない。
女の子が「どばぁどばぁ」?
「ロシア語だけの青春」には、黒田さんがロシア語講師をしていた頃の苦労話も書かれている。
生徒がおかしな発音をしても決して講師は笑ってはならない。どんなにおかしくても我慢しなければならない。
黒田さんが女生徒にロシア語を教えていたとき、その女生徒は「22」を次のように発音したという。
どばっつぁち・どばー
ロシア語で「22」は、
двадцать два
[ドゥヴァッツァチ ドゥヴァ]
дваはアルファベットに転写すれば
[dva]なので「d」と「va」の間には、「母音」がないので「どばぁ」ではなく「ドゥヴァ」と発音する。
しかし生徒には難しかったようで、
「どば、どばー」と聞こえてしまって、黒田さんは腹がよじれそうだったという。
たしかに女の子が目の前で
「どばぁどばぁ」と言っていたら可笑しいですよね😊。
けれど講師たる者、決して笑ってはならない!!
ロシア語だけの青春
この「ロシア語だけの青春」は、ロシア語だけでなく、英語その他の外国語を学ぶ人にとって、非常にモチベーションになる本です。
外国語学習に興味のある方だけでなく、何か新しいことを学ぶ人にとって、とても興味深い内容になっています。
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記事を読んで頂き、ありがとうございます。お気持ちにお応えられるように、つとめて参ります。今後ともよろしくお願いいたします