バイクで美術館巡り:市原湖畔美術館
〒290-0554 千葉県市原市不入 75-1
https://lsm-ichihara.jp/
駐車場
バイク、自転車:専用の場所はないが問題なく駐輪できる
クルマ:無料駐車場あり
入場料:200 円 (常設展、JAF 会員は2割引)、企画展の入場料はその度に設定され、企画展チケットで常設展も観られる。
美術館は高滝湖のほとりにあり、周辺にはサイクリングロードが設定されていて、バイクツーリングも多い。圏央道の市原鶴舞 IC からなら、地図を見なくても看板にしたがえば美術館まで行ける。圏央道で来れば木更津から 30 分もかからないので、アクアライン経由の東京都心からは近い。ただアクアラインは混むときは混むし、迂回路になる千葉市の辺りは慢性的に渋滞しているので、訪問の時間は慎重に計画したほうがいいかもしれない。
美術館
2013年までは「市原市水と彫刻の丘」という名前で、美術品としては彫刻がメインだった事を示している。高滝湖は山間部のダム湖なので湖岸はどこも斜面になっており、したがって美術館は高滝湖の湖岸に建っているが、湖面からやや高いところにある。建物は外観も内装もコンクリート打ちっ放しで、三階建てではあるがさほど大きな建物ではない。しかし屋上、1階、地階の採光の違いを活かして展示が行なわれている。
彫刻作品は館内外の随所に配置してあり、湖周辺の観光地、あるいは鄙びた田舎といった雰囲気とは異質の、芸術性の高い空間を作っている。館の収蔵品は市原にゆかりのある深沢幸雄の版画などで、入換えで常設展を行なっている。企画展は現代美術が多いように思えるが、常設展も企画展も、圧倒的な迫力というよりは、自然なわかりやすい、静かに長く印象に残るような展示が多いように感じる。
湖面に、鳥や昆虫など、周囲の自然をモチーフにした大きな金属製のオブジェが立っていて、美術館の周囲の散策路やレストラン内に加え、圏央道の高滝湖パーキングエリアからも見える。貸ボートで湖上から見るのもよい。また養老地区で使われていた巨大な揚水機の一つが展望台として設置されている。そこそこの高さがあるが、足下の鉄板がところどころ錆びて穴が開きかかっていて、補修の後がさらに恐さを醸し出している。しかしその鋼鉄の建造物の中からだと、湖上のオブジェも面白い見え方をするように思える。
食事
敷地内に薪で焼く釜を備えた本格ピザレストランがある。10 卓あるかどうかであまり大きくないが、ビールもあり、コーヒーやジェラートもある。レストランからの湖の眺めがいい。というよりは、美術館の本館からは湖畔の景色は見えないので、湖畔としての景色を楽しむならレストランや展望台や散策路がいいと思う。散策路で弁当を食べている人もいる。
美術館から徒歩の範囲には飲食店は少なさそうだが、高滝湖のダムの堤防の西側の端にある高滝ダム記念館のレストランで、ダムカレーが食べられる。ビーフカツに加え高滝湖名物のワカサギの唐揚げがのっていることと、ダムの下流からカレーが押し寄せているように見えるところが、ここのダムカレーの特色である。なお高滝ダムの堤防はまっすぐで、湾曲はしていない。ダム湖の湖岸をまわればすし屋やそば屋などが点在しているが、営業時間や期間などは要確認である。
周囲:市原湖畔美術館から行く南総ツーリングガイド
房総半島の千葉市から南側は自転車でもバイクでもツーリングを楽しんでいる人が多い。特に美術館から南は楽しく走れるところがたくさんあり、二泊くらいして網羅したくなるレベルである。
高滝ダム記念館では、ダムに行った証拠になる写真を見せれば、ダムカードがもらえる (月曜休み)。またはダムの堤防に隣接している管理事務所なら写真がなくてももらえる (土日祝は休み)。ただ状況によっては配布がない事もあるので要確認である。
高滝湖の漁業資源は、漁協がワカサギの放流を行なったり乱獲を制限したりするなどの管理をすることでサステナブルに享受できるようになっているので、勝手に釣りなどをする事はできない。またそれとは別に、ダム管理事務所が釣りを制限している区域もある。漁協では観光サービスを提供していて、手漕ぎや足漕ぎスワンなどの貸ボート、釣りドームやボートでのワカサギ釣り (冬季) が楽しめる。ワカサギ釣りは完全に手ぶらで行って道具一式を借りたとしても 4000 円以下である。レンタサイクルもある。
湖畔に立つ高滝小学校は平成 25 年に廃校になっていたが、令和3年4月にそこにグランピング施設がオープンする。非常に快適なキャンプができる。
美術館の近くには、小湊鉄道の駅が二つある。里見と高滝である。レトロな駅舎と車両は、春は菜の花によく映え、写真を撮りに来ている人も多い。観光でにぎわう時期には店が出ていたりもするが、冬の間は寂しいもので、レンタサイクルなどの情報がウェブにあったりしても、可能なら電話で、あるいは現地で確認した方がよい。なお高滝駅のレンタサイクルはどうやら現地でセルフ精算のような気配である。高滝駅での自転車の様子を見るに、KURE 5-56 を持っていけば役に立つかもしれない。
アニマルワンダーリゾウト (リニューアルした市原ぞうの国とサユリワールド) も美術館から近く、市原鶴舞 IC と美術館の間にある。絵を描く象で有名だが、それだけではなく、とにかくたくさん動物に触れあえる。
圏央道の高滝湖パーキングエリアには、坂道を歩いて登るのに数分かかる展望台があり、高滝湖を一望できる。ただこの上下線共用の PA にはトイレと喫煙所しかなく、飲み物の自動販売機すらない。東関東道の佐原 PA でも自動販売機はあるので、そこ以下である。もう清々しいレベルの簡素さなのに、案外クルマが多くて驚く。
レトロな町並みで有名な大多喜まで美術館から 20 km 弱だが、その途中の 15 km 弱のところに BIG-ONE というバイク、自転車どちらのツーリングでもご用達の人気カフェがある。デカくてウマいハンバーガーが有名だが、インドカレーやロコモコもおいしい。そこに行く県道 172 号線はところどころ、狭くて路面も荒いが、BIG-ONE は人気があって時期や気候によっては混んでいる事もある。あまり待ちたくないときには、「山の駅 養老渓谷 喜楽里」に来ている移動販売 (常駐のキッチンカーとのこと) の方に行くとよい。美術館からすぐ湖を渡って左折し、養老渓谷を横目に県道 81 号をまっすぐ 15 km 下ったところにある。なおハンバーガーはむちゃくちゃデカく見えるが、バラさずにかぶりついても、ちゃんと綺麗に食べられる。「芯が通っている」のである。
美術館から養老渓谷までなら 10 km くらいで、小湊鉄道の養老渓谷駅には足湯があり、タオルの販売もある。また 81 号沿いの養老渓谷の手前にはチバニアンの名前で有名な天然記念物「養老川流域田淵の地磁気逆転地層」がある。
その大多喜を通って東に行くと、外房の大原漁港まで美術館から 30 km くらいである。おいしい網焼きや海鮮丼が食べられる。また大原から少し北に行けばサーフィンで有名な九十九里の一宮、南に行けばやはり海鮮のおいしい御宿である (たとえば白鳥丸とか)。御宿には大ヒット歌謡「月の沙漠」のモデルになった砂丘があり、記念館がある。これら外房の町はどこも、日の出が綺麗に見られる。
大多喜からは国道 297 をまっすぐ南に行けば勝浦まで 20 km くらいである。勝浦には漁港と名物の朝市、遠見岬神社の階段にびっしり並ぶひな人形、海中展望台、海水浴場と楽しいところがたくさんあるが、漁港から 7 km くらいのところにSGT美術館がある。江戸から近代の絵画や工芸品を収蔵していて、小さい割に見ごたえのある美術館である。
美術館から内房側に行くと、木更津まで 30 km である。また房総半島の内陸としては、東京ドイツ村まで 15 km 強、マザー牧場まで 40 km くらいである。
木更津から館山道に乗れば (乗らなくても)、60 km くらいで鋸山美術館であり、したがって金谷漁港である。おいしい海鮮とアジフライがある。また金谷からは、三浦半島の久里浜まで 40 分で渡れるフェリーが1時間おきに出ている。三浦半島もまたツーリングの楽しいところである。フェリーはバイクも自転車も載せてくれる (もちろんクルマも)。また両方の港にレンタサイクルがある。船上から見る夕日はまた格別のようだ。
金谷までくれば舘山や房総半島最南端が近い。南に 3 km ほどで、人気の道の駅「保田小学校」がある。また舘山まで 25 km くらいである。舘山から房総半島最南端の野島埼までは 15 km くらいである。野島埼でもおいしい海鮮の、料理やお土産がある。
なお房総半島では、もみじロード、なぎさライン、安房グリーンラインなどといったドライブ観光用の路線名が設定されているが、設定から年月が経っていて、必ずしも現代の交通事情にマッチしてはいないところもあり (道路の幅とか)、あまり期待しすぎない方がよい。また Google Map のナビも、各道路の性質をあまり考慮していないので、頼り切ってしまうとよくなさそうだ。普通のカーナビか、昭文社の地図がベストだと思う。