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#散文

香る月、輪にかけて日

ああ 言葉がほしいな あなたの物語がほしいな たくさん残してくれたけれど もうだれも続きを…

ピカ炉
3年前
12

あの日を見た

わたしは今日あの日を見た 夕日にベランダのブロックが焼けただれていた 後頭部を向けてチリ…

ピカ炉
3年前
23

ハウツー、

夢にはいるとき、大きな寸胴の穴を落ちていく、そこにはたくさんの横穴があって、風が吹き込む…

ピカ炉
4年前
7

雄弁

一生あなたにはできないね、誰かに報告するための体調管理みたいに数をこなして、誰かに見ても…

ピカ炉
3年前
10

航海

眠りに落ちる直前と泣いた後は 研ぎ澄まされて 銀の海のよう 泳ぐ言葉に釣り針垂らし引っ掻き…

ピカ炉
3年前
10

咲いた

小さい人の真新しい下の歯を見て、チューリップが咲いたと思えるのは、わたしがまだ小さいとき…

ピカ炉
3年前
13

カーテンコール

おいで 窓辺に 一日の終わりに 今日も悲しくなってきらきらの涙の道を作ったんだね でも重く捉えないで けれどとても重要だった これは僕だけが気づいたこと まだ誰にも言っちゃいけない 君は知っていて たくさん泣いて眠りについた昨日も かの有名な振り付け師の仕業 幕が閉じたら笑おうね 打ち上げはそこのパブで たくさんの零れていった日々も かの偉大な脚本家の仕業 暗転したらハイタッチを 君がいたからこそ たくさんのやりきれなかった愛だけ ちっぽけな君の仕

夏の川

信号待ち 暑いね 向こう岸見てる あと5秒で渡れるはず あと3秒で汗はじわじわ 信号青に …

ピカ炉
4年前
6

ゴミの日前夜祭

この部屋のものを捨てて捨てて捨てたら、 楽になりますか ミニマリストは、穏やかな呼吸をし…

ピカ炉
4年前
7

9度

お酒が息づく こんなに大きく速く脈打ってもひとり わたしたちは心臓のお部屋をふたつもって…

ピカ炉
4年前
3

苔途

例えば、わたしは植木鉢の土をおおう苔の花を見て、小さい森がある、と何度も思うけれど、実際…

ピカ炉
4年前
4

踊るみたいに

外の雨が止んだみたいで 窓から入ってくる空気が少しかるい 夜のお散歩をしたいな 無防備でぺ…

ピカ炉
4年前
5

あめ

もう大人だから 思い切り泣けやしないと思ってないかい 見せてあげよう 君を思ってぐしゃぐし…

ピカ炉
4年前
9

ここ最近、出かけては蛍の写真を送ってくれる後輩から、夜景の写真が送られてきました。山から見下ろす小さいな灯りの群れ。そんなに間違いでもないなと思って、たくさん飛んでいるといっせいに明滅したりするのだと彼が話していたのを思い出しました。ぼやける小さなあかりの揺れ、少し蛍になれた気がして、ここにいる、ここにいる。