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読書会レポート『ドーナッツホール読書会 vol.2 』
先日の日曜日、6名の方に集まっていただき天神で読書会を開きました。
天気にも恵まれ、本が好きなみなさんと円卓を囲み、とても良い雰囲気の中で興味深い本のお話をたくさんお聞きできました!
紹介本
この日はフリーテーマ+持ち込み形式の読書会でした。みなさんが持ってこられたのは以下の本たち。
『新しい分かり方』 佐藤雅彦
https://calil.jp/book/4120050084
『離さない』(『神様』から) 川上弘美
https://calil.jp/book/4122039053
『銃と十字架』 遠藤周作
https://calil.jp/book/4093522405
『フランケンシュタイン』 メアリー・シェリー
https://calil.jp/book/4041012406
『語学の天才まで1億光年』 高野秀行
https://calil.jp/book/4797674148
『日々はそれでも輝いて』 谷郁雄
https://calil.jp/book/4904292200
(募集は7名でしたが体調不良で1名の方が欠席となりました)
お話の要約
以下で、みなさんが話された内容を要約してみました。要約では伝えきれないこともありますし、当日の楽しく和やかな雰囲気は伝わらないのが惜しいのですが、上記の本や読書会に興味を持たれた方は、こちらでどういう話があったかを参考にしていただければ幸いです。
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写真やイラスト、エッセイやクイズなど、様々な表現方法で「新しい分かり方」のアイディアを与えてくれる本として紹介されていました。新しい理論や視点などを教えてくれるという内容ではなく、何か変わった事に出会うと人はその事を解釈する方法を無意識のうちに作り出してしまうこと、この本を読む人自身の中に物事を解釈する「分かり方」が自動的に生まれてくることを体験できるといいます。
単純に見ただけで「面白い」という写真も多く、ぱらっと見ただけでも楽しそうという感想が多かったです。また、著者はいわゆる作家ではなく、ピタゴラスイッチの生みの親として知られ、慶応義塾大学や東京芸大で教育に携わった人で、著者を既知の方からは著者の視点からは哲学的なものも感じていたとのこと。
Mさんは佐藤雅彦のエッセイも好きで、理知的でありながらナイーブな感受性も表れている点が他の作家作品にはない持ち味と語っていました。
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人魚を知り合いから預けられた主人公を描く短編。元の日常へ戻るために人魚を放そうとする時、人魚が一言を発して終わります。
最初はいつもと変わらない生活を送っていた主人公が、人魚を預かってからは、毎日人魚を眺めるようになり、挙句に人魚と共に眠るようになる。その生活が少しずつ変化していく様子を描写する部分の、もし映像化したなら、人魚の美しさと主人公の堕落していく様子がリアルに映し出されるような表現が、恐怖が直接的に伝わってくる表現でもあり印象的だったとのこと。
Hさんが引用された文章は、微妙な言葉の追加によって奇妙さが増していくのがすごく表現されているという感想もありました。また人にあらざる者に魅入られるのは、異類婚譚のある日本とそうでない欧米の中間のような話という感想もありました。
Hさんは最後の部分を朗読してくださいました。登場人物たちの掛け声や不穏な雰囲気、そして人魚の最後の一言が臨場感あふれる読み方で、みなさん「怖い!」と言ってしまうほどの迫力でした。
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江戸時代初期に実在したペドロ・カスイ岐部を描いた小説。天正遣欧少年使節に比べると世間ではあまり知られていないですが、岐部も6年かけてローマにたどり着き司祭に叙された人物です。その後死を覚悟して帰国し、最後は見せしめを兼ねた拷問の末に殺されました。
Tさんは歴史に残らなかった弱い者たちの立場から書かれている遠藤周作作品の中でも、作者自身が書いているように、唯一強い人を描いた作品なので紹介したかったとのこと。一方で、砂漠を旅していた時には信仰に迷いがあったことも描かれていて、遠藤周作自身も信仰に疑いを持つことがあり、作品の中でも信仰に対する葛藤や疑いが描かれていることが多いことも話してくれました。
「銃と十字架」というタイトルへの質問には、銃が扱われる場面はないものの、キリスト教と戦国大名の結びつきを一面で象徴しているものでないかと説明されていました。世間的には無名に近く資料もほとんど残されていないペドロ岐部が、そうした時代の変化を背負った人物であることが感じられました。
他にも、Tさんが持ってこられた小学館のP+D Books版の本の質感や雰囲気が良いという話も盛り上がりました。
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Nさんは今よりスピリチュアルに興味があった頃、山川夫妻(紘矢・亜希子)が訳したパウロ・コエーリョの小説の中に本作のことが書かれていたのが最初に読んだきっかけだったそうです。
探検隊が倒れているフランケンシュタイン博士を見つけたという手紙で始まる導入部から解説して下さり、19歳で書いたというメアリー・シェリーの執筆にまつわる話や最新訳の翻訳者である田内志文さんのことも触れていました。
承認欲求や親子の愛情といった様々なテーマがある中でも、犬を何頭も里親として迎えてきたNさんにとっては、人間が生命に手を加えることが最初に考えさせられたことだったそうです。海外文学の中で本作が1番好き作品という話の流れで、他にも漫画版『動物農場』や『キャクストン私設図書館』も紹介してくださいました。
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冒険家として人が行かないような世界の各地へ行っている著者が、語学の習得について書いた本。著者は目的地によって様々な言語を覚え、帰国してしまうと忘れるということを繰り返してきたそうで、それだけでも語学の在り方としては一風変わっていますが、何よりその学習方法に驚いたそうです。語学というと、正確な文法や単語を学ぼうとするのが通常ですが、著者は「ノリ」を重視しています。例えば、タイ語なら口を大きく開けて高めの発音をして、言い方も男女問わず柔らかくする、というようにです。
それぞれの言語の特徴的な発音や口調、態度を真似することで、相手に伝わる言葉を早く話せるようになるというのが興味深いですし、また著者自身が多言語を学んでいるせいか「法則」を見つける勘が備わっているように感じたそうです。
著者を知っていた参加者にとっては、異常なまでの興味好奇心でかなり変わったことを好きにしている人という感想が共通していて、Oさんも「人生を楽しんでいる人」と著者のことを語っていました。
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本エッセイ集では、詩人として活動する中で著者が出会った、谷川俊太郎や田村隆一、吉増剛造などの詩人たちに影響を受けながら詩作を続けてきたことが書かれています。
Oさんは何度もこの本を読んでいるそうですが、谷川俊太郎の訃報の後でこの本を読み返した時に「ひょっこり現れてなんかひょっこり去って行った谷川さんを見たことが自分の中で詩作の分岐点になった」と書かれていたことを再発見したことや、トム・ウェイツの「家へおいでよ」という歌の詞などを紹介されていました。
また、著者が自宅の本棚にある詩集から詩を取り上げ、それに対する自身の想いを綴るという力の抜けた書き方に魅力を感じているとも話されていたのに対して、自分もエッセイの中で詩を書いてみたいと思ったという感想がありました。その他にも、詩人や歌人が書いた文章の中で詩を読むのは詩への入り方としていいと思うという話も出ました。
最後に
ご参加いただいた皆様ありがとうございました!
お互い初めての人がほとんどでしたが、またご一緒したい方たちばかり。次回はまだ未定ですが、今回のような読書会が開けるよう頑張りたいと思える会でした。
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