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#8 断食していないけど、バングラ人のイフタールに参加させてもらった
ところであなたには、先週まで無宗教だった日本人の知人が、今週会ってみたらイスラム教徒になっていたという経験はありますか。ここ最近で一番衝撃的だった体験です。
重大な決断はいつだって一瞬の覚悟で決まるものだ。なんだって、損得じゃなくて自分がそうしたいかどうかで決めちゃえばいいんだ、と思った。
毎週月曜更新、勝手にカレー哲学。
先週のパキスタンに引き続き今回はバングラデシュでしゅ。
今、ムスリムはラマダーンの真っ最中である。ムスリムはイスラーム歴の9月に断食をし、毎夜日没後に食べる最初の食事をイフタールと呼ぶらしい。
ラマダーンの最中、日が昇ってから沈むまで厳格な信者は唾液さえ飲まない。食べ物はともかく水も飲めないというのは相当キツイだろう。
高校の時の友達がお昼の弁当を抜きにすることをラマダーンと呼んでいたが、そんな中途半端なものではない。スポーツ選手なども水さえ飲まずに試合をするという。
自分は断食には参加していないが、この時期ムスリムのお店では大抵ラマダーンスペシャルメニューやイフタールセットが置いてあるので機会があれば便乗して食べることにしている。
バングラ居酒屋レストランのイフタール
先日は小岩のゴレルシャッドにお邪魔した。ここは元トルカリで働いていた方が独立して開いたお店で、バングラデシュ料理と居酒屋メニューが両立して、酒も置いてある。店主さんはムスリムだから酒は飲まないらしいが。
イフタールセットの構成はこんな感じだった。
・デーツとフルーツ
・パコラ
・ルーフアフザのドリンク
・カラチャナ(黒いひよこ豆)とムリ(パフライス)
イフタールの内容は国によって結構違うが、バングラデシュの断食明けの最初の食事はだいたいこんな感じらしい。まずデーツを食べ、バナナを食べてからパコラをちぎって、カラチャナとムリを混ぜながら食べる。
日没後に一旦イフタールをしてから友と語らい、遅い時間に再度食事をとる。ビリヤニ、かぼちゃ、鮭、なす、じゃがいもなどのとりどりのボルタ、マトンブナもうまかった。
一般家庭のイフタール
また、東京で暮らすムスリムはたくさんいて、モスクもたくさんある。モスクは何も立派な建物である必要はなく、アパートの一室に作られたりすることもあるという。
新大久保にお住いのバングラデシュ人のおうちでイフタールセットと夕食をご馳走になった。
イフタールの構成自体はほぼ同じだが、カラチャナはお店よりかなり美味しかった。まずバナナジュースを飲み、デーツを食べる。パコラをちぎりながらカラチャナとムリを食べる。
イフタールの後は、本式の食事をいただく。鯵のボルタとダックカレー。バングラデシュではダックを食べるのが結構一般的らしい。臭みが強いので調理するのは結構大変みたいだが。ダッカでダックを食べてみたいものだ。
バングラデシュの方達は突然お邪魔したにも関わらず歓迎してくれ、普通にご飯を食べさせてくれた。ともに団欒の時間を過ごし、すぐに仲良くなることができた。みんな日中は働いているが、断食はもう慣れたものらしい。バングラデシュにも早く行ってみたい。
他宗教の人がイフタールに参加してもいいのか?
ラマダーンが正確にいつ終わるのかはまだわからないらしいが、最終日には最も豪華な晩餐、イードがある。これも参加したいものだ。
モスクは代々木の東京ジャーミイや五反田などあちこちあり、トルコ式やパキスタン式など、色々なイフタールをやっている。体験として行ってみるのもいいかもしれない。
断食もしていない、ムスリムでもないのに美味しいとこだけタダ乗りすることに違和感がある人もいるかもしれない。
自分もちょっとそういう気持ちがあり、バングラデシュの人に聞いてみたが、ムスリムにとって他宗教や無宗教の人がイフタールに混ざるのは大歓迎らしい。ノリで参加してもらって、ムスリムの体験をしてもらうことで、ムスリムの良さを広めるという意味合いもあるんだって。懐が広いや。
やはり食べ物を語る上で宗教というのは外せないポイントだ。
同じ場所にいても視点や知識によって見える景色というのは簡単に変わる。これは一種の旅なのだろう。いろんなレイヤーをもつ東京という街はとても面白いし掘っても掘っても止まらない。
日常の中に旅があって、動かなくても旅はできるのだなあ。
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