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麦酒大学に習う、カレーの広め方
カレーの外からカレーを見つめてみる回。
先日、「人生観の変わるビール」としてビールを提供している麦酒大学というお店で生ビールの新しい飲み方を知った。お店のビジョンは「美味しいビールを広めることで人々に色々な飲み方を知ってもらい、外食の楽しみや選択肢を広げる」というものであるという。
これってカレーに関しても同じことが言えるなと思い、ゆるく言語化してみる。
画像は火曜限定の南インド間借りに行こうとしたら既に売り切れで食べられず、近くにあったインドネシア料理店に行ってナシチャンプルーを食べたときの写真。
チキンカレーはインドネシアで食べたのと同じ味がした。ルンダンおいしいよね。
カレーだいしゅき手記」は毎日更新するメンバーシップ限定記事です。
せっかく毎日インド料理漬けの生活をしているので、可能な限り東京マサラ部室での暮らしを描き、記録に残しておくことにします。カレーを中心に起きた出来事や考えたことをカレー哲学の視点で記していきます。毎回1000〜1500字くらいです。
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生ビールの概念破壊
アニキとすーさんと敵のアジトでステーキを食べた後に中野の麦酒大学というところを訪れた。ビールそのもの自体はとても馴染みのあるキリンラガーの樽。しかし、注ぎ方を変えることで10種類以上のバリエーションをつくり出していて、ビジネスのやり方としてとても頭がいいなと思ったし、魅せ方がとてもうまい。
テクニックと知識の蓄積があって初めて成せる技ではあるが、仕入れるものはひとつなのに商品として多くのものに作り分けられている。ビール樽は一つ、蛇口はニ種類、なのにバリエーションは無限大だ。
僕はその中からほぼ泡だけのビール、ミルコを飲んだ。全部が泡なのでこれを飲み会の席とかでやったら「おいおい注ぎ方下手くそやん〜」と言われるやつだ。
しかし、「これはミルコなんです」と言って出されたら美味しい!と受け入れてしまうから人間はいい加減なものだ。立派に商品として成立している。(厳密には意図せず泡だけにしちゃうのとは作り方は違うよ)
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そのほかにも一度に注ぐやり方、5分かけて三度注ぎをするやり方など多くのバリエーションが用意されている。なんか人名がついているのもあった。注ぎ分け名人の名前らしい。
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同じキリンラガーなのに注ぎ方で確かに全く違う味に感じられるし、注ぐ時のパフォーマンスとおじさんが喋る能書きがいちいち面白く、さらにいい声を響かせてくるからついつい聴き入ってしまう。
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TikTokでそのビールパフォーマンスが話題になって人気に火がついたらしく店内は客が絶えなかった。我々は盛り上がりながら2杯飲んで、「同じビール樽から出ているはずなのに注ぎ方によって全部味が違うんだね」とまんまと店の思惑に乗っかったセリフをそのまま口から喋っていた。
自分のあまり詳しくない世界ということもあるが、知っているはずの生ビールの概念を破壊された、という体験だった。同じラガービールをさまざまに変化させていく様子はまるで魔法みたいだった。
外食の楽しみ方の選択肢を広げてほしいという想い
では、いったいなぜ麦酒大学はこのようなパフォーマンスを含めた提供方法を行っているのだろうか。
PRのためでもあるのだろうけど、根底には「美味しいビールを自分で選べるようになって、外食の楽しみ方の選択肢を広げてほしい」という熱い想いがあった。美味いビールを飲んでもらうことそれ自体も目的ではあるのだが、それを手段として美味いビールを世に広めることで人生を豊かにしてほしいという。
麦酒大学のコンセプトって
— 山本よしみつ【麦酒大学 注ぎ方考案おじさん】〄 (@12yooh25) February 7, 2023
「人生観の変わる生ビール」
なんですけど、これって
生ビールというツール(手段)で
生ビールを飲む人だけでなく
生ビールに関わる全ての人の人生に
寄与したい(目的)という意味
美味いビールを出すのが目的ではない
美味いビールを広めるのが目的
麦酒大学さんがすごいなと思った点は3つある。
・圧倒的な技術力と知識がありながら、キリンラガーでの一点突破をあえて選んでいること。伝えたいことを一つに絞り込んで一点突破。
・生ビールは庶民的で馴染みがあるぶん雑に飲まれがち。そこに新しい飲み方を提唱し、馴染みやすくパフォーマンスの形で情報をしっかり伝えていること。
・美味しいビールを飲んでもらいたい(目的)というのももちろんあるのだが、それは単なる手段に過ぎない。その先の、人々にそういう選択肢があるということを知ってもらう点まで見据えていること。
カレーの広め方
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