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ビリヤニはなぜ湯取りで作るようになったのだろうか?
お正月らしく、ビリヤニをつくるときはなぜ湯取りするのだろうか?問題。
プラオのような炊き込みご飯は、どうしてムガル帝国時代に米を茹でて重ねて蒸す(湯取りしてダムする)ようになったのだろうか?
新年早々waccaの三浦さんとそんな話のやり取りをしていて考えたことをまとめてみる。文化的・歴史的背景があって、合理的な収斂結果として湯取りをすることになったのだろう。これを読むとビリヤニを炊き込みご飯と呼ぶことに違和感を持つ理由もわかると思う。
ビリヤニとプラオという二項対立
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ビリヤニは人気ですね。おいしいですね。ビリヤニの起源としていくつかの説が挙げられるみたいですが、自分はムガール帝国3代目のアクバル期の宮廷のキッチン、すなわちデリーで生まれたという説を推している。もちろんビリヤニにもインド全土で多くのバリエーションがあり、カッパビリヤニなどもはや米すら使わないビリヤニもある。本稿でとりあげるのはそういったバリエーションの話ではなく、いわゆるダムビリヤニの話なのでご注意(予防線)。ダムビリヤニの調理法は炊き込みではなくて、「ダム」となる。
インドではいまフードデリバリー部門がとても盛んだが、その中でもビリヤニは一番注文されている食べ物だという。インド最大級のフードデリバリーアプリSwiggyの年次レポートによれば、2024年には8300万皿以上のビリヤニが同プラットフォーム経由で注文されそれは1秒あたり2皿という驚異的なペースらしい。日本でも最近人気が高まっていて、提供する店が続々と増えている。
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ビリヤニの代表的な作り方はこうだ。
・肉のマリネやフライドオニオン、サフランミルクなどのパーツを仕上げる。
・米を別個に湯取り(部分茹で)する
・マリネした肉や野菜、フライドオニオンなどと層状に重ねていく
・ダム(弱火の密閉蒸し)で仕上げて蒸らす。
プラオはビリヤニの派生元の料理であるといわれるが、どうしてビリヤニは湯取り法で米を半調理してからダムするという調理法になったのだろうか?ビリヤニもプラオも同じく米とスパイスと具材を使うのに、なぜ調理法や食感は違うのか?
その歴史的背景と技術的なポイントを整理してみる。
プラオ(ピラフ)はそもそも中央アジア起源
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