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コルカタで印象的だった食べ物と旅の8つの断片 #カレーだいしゅき手記

時間の流れは主観的に経験され、それは出来事の単位でできている。出来事とはつまり食べ物のことである。よって旅の経過は食べ物によってのみ認識され記憶に刻まれる。そうして出会った食べ物たちを通して、このコルカタの地の文化の広がりと、そこに根付いた複雑な経緯を辿ってきた歴史にわずかながら触れた気になった。

旅は単なる消費行動なのか。それはお前のちょっとした態度や姿勢によって変わる。自らの手を動かして何かを作り出すことだけが創造的な行為ではないはずだ。

全ての食体験は、過去と現在を繋ぐ橋渡しであり、その裏に多様な文化と歴史が織りなす物語を垣間見ることができる。コルカタは懐の深い街だ。出会った食べ物とそれに付随する記憶の断片を8つ記しておく。

要は旅日記です。コルカタで何を食べるかの参考にはなると思う。


コルカタビリヤニの名店A

具材は中に埋まっている。

前々からコルカタにいったらビリヤニを食べようと思っていた。イベントでも提供したことがあるし、レシピも何度も擦っているのに7年くらい前に食べた記憶に頼っているだけだったので。評判の良さそうなお店の近くにわざわざ宿を取って、空港から入って荷物を置いてからすぐに食べに行った。


Arsalanの名前はその後色々な人にヒアリングをしても度々聞くことになるが、味が落ちたという人もいたし、今でも最高に美味いという人もいた。なにしろ分量がすごいから大量生産体制になってからダメだ、という信仰に近い理由もあった。

店は混雑していて、店に人が殺到しているのか人の群れの中に店が聳え立っているのか、一見しただけではわからないようだった。二階席もあり、煌びやかな衣装の男女たちが団体で登っていく。ウーバーのようなデリバリーサービスの配達員も出入りしている。parcel、つまりテイクアウトもひっきりなしに出ていて店員は忙しそう。

マサラの香りはメース系の香りとホワイトペッパーが強く、若干しっとりしている。ヤクニで煮ているのでこういう仕上がりになる。そんなに辛くなくて、中のほうにでっかいジャガイモが埋められている。味がしみしみでしっとりしている。ジャガイモは別で調理されているようで、ペッパーが効いている。マトンはダシ殻のようで味は抜けている。骨がちな塊が2個入っていただけだった。

コルカタのビリヤニはラクナウのビリヤニと親戚というか、ラクナウのナワブとともに料理人がコルカタに連れてこられた時に完成したと言われる。ジャガイモが入るのは肉の代わりという説は間違いで、美味しいから入っているだけっぽい。卵が入ることもある。

1人で食べるにはかなり量が多いし、塩分も強い。全体が脂肪をまとっているバターごはんのようなビリヤニなので、アルブハラの酸味は大切なアクセントとなる。ハイデラバーディビリヤニと比べて風味がおとなしいので少し飽きやすいかもしれない。コリアンダーリーフとかライタとか添え物は何にもつかない。インドの国産コーラ、サムズアップと合わせて370Rs.だった。荷物を失いそうになったりスムーズに入国できなかったりしてやや疲れていたのでそのジャンキーな味は余計に沁みた。

ムスリム食堂の冬季限定モーニングニハリ

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