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ペンギン・ハイウェイを観た|感想、ネタバレ|楽しかったけども悲しい……
とにかく悲しいというか、切ないというか、でも否定をすることは絶対にできなくて。
……
何かの作品に強く影響されるとこうして書かざるを得なくなるのです。
観終えて、とても良い作品だったなぁとしばらく余韻に浸ったあと、すると得体の知れない感情が湧き上がってきて。
きっとそこへ感情移入する度合いが強ければ強いほど感じたことを言葉にしたいという欲も強まるのだとこれまでのことを考えるとわかっているような気がしているのですけれど。
まぁそんなわけで気が済むまでいろいろと書くことにしました。
※ネタバレたくさんあるのでご注意ください
観ようと思ったわけ
そもそもなぜ観ようと思ったのかというと、以前原作の小説をおそらく買っていたことがあり、しかし現在手元になかったので、きっと何かのきっかけで手放したものだと思っています。
一度も読まなかったか、あるいは最初のほうだけを読んでやめてしまったのかもしれない。
そして最近アニメを観るのにハマっているため作品をいろいろと探していたところ、今作を見つけたわけです。
最近よく使っているdアニメストア、今作のような一般寄り(違うかも?)のアニメーション作品も取り扱っているのですね。すごい。
子どもの頃の思い出、あったっけ……
アオヤマ君たちの子どもの頃、あんなようなものが自分にあったかと言われれば……なかったと思う。
なぜなら僕は小学校4年のどこかからか学校に行かなくなったから……
が、しかし確かにそのような気持ちはあったのだとは思ってます。なぜならこれを書いているように、あの頃の、その時を懐かしんでいるのだから。
今こうした感情を抱いているという時点で、それは最近忘れていた思いであったというわけで。
いや、どうなんだろう。
実際にあった、なかった、に関わらず、そういった感情を体験させてくれるのがこの作品の圧倒的なところなのかもしれない、とも思います。
イラストレーションや描写も綺麗だし、声優の方の演技もピッタリあっていたように感じました。
正直なところ、物語は最初観始めて5〜10分ほどはそこまで没入できなかったのですが、そこからは結構引き込まれ、そして今これをこうして書くほど、感じたことを抑え切れないというほどに感化されています。
ほんとにね。冒頭でも述べましたが、強い影響を受けると心がモヤモヤし始めるのです。それはメリットでもデメリットでもあるし、良くも悪くも、というものでもある。
だからその掴み切れていない感情をこうして言葉に起こすことで、ようやく一つの作品に区切りをつけて次へ進み始めることができる、というのがある時からルーティン的なものとなってます。
何もわかっていない状態からとりあえず書き始めて、スッキリしたなぁと感じたらそこで終わろうかなと。なのでいつもどういった文章が出来上がるのかが毎回わかりません。
……ちょっと感想ではなく別のことを書いてしまいましたが、そう。
純粋な気持ちで楽しめます。小難しいことを考える必要はないし、社会の汚さだとか薄暗さといった描写もない。
子どもたちがそれぞれ元気に生きていて、大人から見れば小さな悩みやとるにたらないようなことで日々を葛藤しながらも楽しく生きている様子が描かれていて、微笑ましい気持ちになって。
で、うわぁ俺めっちゃ歳とったな、としかしそれは後ろ向きではなく、清々しい気持ちも同時に感じました。
確かに子どもの頃は日々が無限の可能性に溢れていて、なんだってできそうで、毎日が光かがやいているものなはず(僕は暗黒期があったけども)。
でも、その万能感がある状態は大人になった今からすると決して自由ではないのですよね。
やっぱりできないことはたくさんあるし、大人に力は及ばないし。
そう、だからこそ、アニメーション作品として楽しめることがとっても素敵な体験だったなぁと。いいとこどりできる。
お姉さんという謎
結局最後の最後まで彼女がどういった存在なのかが語られることはなく、謎のままで終わってしまった……
アオヤマ君の決して手の届かぬ初恋的な存在で、憧れだった人。
それは現実において、子どもからすると大人へのやや憧れめいたものや、今作独自なファンタジー要素によるもの、両方かもしれません。
で、結局最後にお姉さんはいなくなってしまったし。
あああああああああぁぁぁぁぁぁああぁぁぁぁぁあぁぁ
結構悲しいです。アオヤマ君とお姉さんのコンビがかな〜り好きだったので。ずっと続いてほしかったよ……
……が!
物語があそこで終わることは、続きがないことは、そしてそれはきっとそれでいいのだろうなぁ、と。残念だけれども。
ああして締めくくられたからこそ、この作品がこの作品である意味があるのだろうなと解釈してます。
そもそも物語序盤でお姉さんがコーラを投げそれがペンギンに変わる時点でこれは結構なファンタジー寄りの作品であることがわかるわけですが、もしそういった現実にはあり得ないことが盛り込まれていないお話であったならば、それはきっとただの少年×お姉さんのなんかほのぼのするものになっていたはずではないのかなと。
いや、それはそれで見てみたいですけども。
たくさんの謎があるからこそ、しかしフィクション的な要素だけが重視されていないその均衡感が、没入感の理由だったのかと思ってます。
物語終盤で、世界がおかしなことになっているシーン、あの感じがすごく好きです。家がわけのわからないところに位置していたり、あらゆる物体が謎な配置がされている。まるでゲームのバグの世界というか、裏面というか。
いや、そういえば終盤というか中盤? にも球体の「海」が存在している平原への入り口となる森に棄てられた軽トラが朽ちている描写がそういえばありました。で、そこに進入禁止の標識があって、微妙に空中に浮きながら(?)現実には存在し得ない状態でそこへ設置されていたというか車に突き刺さっていて。
そうだった、このシーンを見た時に、うわ、この感じめっちゃ好きだ、となったのを思い出しました。
……
あとは、お姉さんの胸について結構な頻度で語られるしそういう描写があるわけだけれど、それは別に性的なものではないと感じました。ほんとに。見ればわかる。
ここで避けている方がいたら勿体ない……(記事冒頭にネタバレと書いたからまだ見てない人は読んでないと思うけど) 実際僕も当初そういった描写で避けている面はありました。
物語は面白そうだけど、これになんかそういうの求めてないんだけども……と。でもそれは全く違いました。
男子が思春期の始まりというかその辺りで感じるような、どうしようもない感情。
大人の女性への謎めいた憧れというか、なんというか。
そこをカットしないでしっかりと、しかし嫌らしさはないように描いてあるところがとても良い味を出していると感じました。
この作品が(原作を含め)どの層を狙っているのかはわかりませんが、まぁファミリーが全員集まって観る、みたいな状況には気恥ずかしさや気まずさが生まれるかもしれないです。
が、それだけで敬遠するのはとても勿体ないと思うので、まぁなんでしょう、それぞれが観たい時にみればいいんじゃないかなぁと。
胸は大事なところではない。
……いや、大事なところではあるのだけれど、それだけでこの作品を語るのは違うと僕は感じています。うん。
これ以上は特に何も触れません。
と、いうことです。
はい。
悲しい……
いや、でもやっぱり悲しい。これは確かにアオヤマ君の子どもの頃の思い出として彼が大人になった頃でも残り続けるわけだと思うけれど、しかしあの時お姉さんは消えていってしまったというのは事実なわけで。
上の項に書いたことの繰り返しになってしまうけれど、最後彼が大人になって成長してお姉さんと再会してめでたしめでたしとなるところまで見届けることができたらなぁ……と。
いや、でも、そこまで書いたら、描かれてしまっていたらそれはこの作品が持つ意味がかなり変わってしまい、そもそも物語の存在意義そのものが大幅に違うものになってしまう気がしているので、このままであるべきなのだと思います。
お姉さんが人間じゃないって明らかになった時、なにそれどういうこと〜!? ってなりましたもん。
ペンギンを生み出せるという時点でうおゎとはなったものの、しかし人間であることには変わりなくて、というか人間ではないということが頭をよぎったことは一度もなくて、何かしらの理由が世界に働いていて、それが解決したら全てが元通りになるのだろうなぁと。
しかし3日も食べてないとか一週間も食べてないといった辺りから嫌な予感がしていたけれども、最後の最後までその期待は悪い意味で裏切られなかった……
そう、謎な存在がそのまま謎として最後まで描かれることで、昔あったひと夏の冒険的なものを際立たせているといえますし。
まぁ、だから結局は僕が悪いのです。
見始める前や中盤までは、「なんだかんだ大変なこともいろいろあったけど全部乗り越えて、最終的にはアオヤマ君やお姉さんは幸せに暮らすのだろうなぁ」みたいに思っていたので。
ハッピーエンドが好きすぎるのかもしれません。
いや、好きすぎるというかそもそもバッドエンド作品をアニメでも漫画でもゲームでも小説でも手に取ることが全くと言っていいほどない、つまり好きではない、いや嫌いなので、そういうことです。
でも、じゃあだからといってこのペンギンハイウェイを嫌いになるかというと一切そんなことはなくて、
……だけどこう書くとバッドエンドも好きであると肯定しているようになってしまうのですよね。
うーん、なんだろう。こう、個人的な「完璧!! 100点!!」 ではないけれど、完璧綺麗に収まってはいないからこそ感情を大幅に揺さぶられたことでものすごく強く作品が印象に残ったというか。
スッキリさっぱり「これ好き! おすすめ!」と人に積極的に言おうとするのではなく、かといって批判は絶対したくないしする意味が見当たらない。
一体全体どうしたものか。
ここまでなんだかんだ4,000字は書いたみたいですが、あまりスッキリしていません。
もしかしたらこれからどんどん時間が経過して、人生を過ごしていったらある時わかるのかもしれませんが……
あの時の渦が巻いていた感情にはこんな名前をつけることができるのか、と。
見つけられなかったとしても、好きな作品であることに変わりはないので、不思議だなぁという気持ちをもって生きていこうと思います。
完全に解消することはなかったけれども、言いたいこと、抱えていたモヤモヤは結構言葉にすることができたと感じているのでこの辺で終わります。
最後に
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アニメっていいものですね。
もっと早くからはまっていればよかったなぁ……と最近は後悔も交えた感情があります。
昔は本当にゲームしかしていなかった。
今でもゲームは好きなのですが、しかしその頃に比べると全然やらなくなっているし、物語がしっかりしていてそれを楽しめる作品でないと手を伸ばさなくなりました。
ただのアクションゲームは求めなくなってしまったというか。
まず「作品から何を得るか」「いかにして上質なインプットを受け取れるか」ということが先行していて、まぁ実際それは大切なことであると思っているのですけれども、なんだか人生から得られるエンタメが減ってしまったかもなぁと。
でもそのおかげでゲーム以外にものにも目を向けるようになったので視野は広がりました。
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