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映画「サタニックビースト(原題A Mata Negra)」観ました
オススメ度
★★★☆☆
映画「サタニックビースト
(原題A Mata Negra)」観ました。
これは良い!!
同監督ロドリゴ・アラガォン(Rodrigo Aragão)の
「シー・オブ・ザ・デッド(原題Mar Negro)」
は
ブラジルの貧しい漁村
を扱ったホラーなのですが、
とにかく後半が
血みどろグロホラー(はらわた系)なので、
一般の方は観るのは辞めた方がいいです
(前半は素晴らしいけど)。
しかし、
こちらの
「サタニックビースト(原題A Mata Negra)」
は素晴らしい。
お薦めです。
この監督は、
ホラー界のホドロフスキー
になる予感がします。
というか、
南米系の監督は、
こういう感性をやっぱり持っている・・
のかもしれないですね。
エンタティーメントとしての作品に
特化してしまったアメリカには
作れない作品というか・・。
「サタニックビースト」は、
やはりブラジルの貧しい山村を舞台にしたホラー
(というより、幻想物語)で、
呪術というもの、死霊、怪異というものを
マジックリアリズムとも言える手法で
本当に見事に表現しています。
何より、
貧しい世界で繰り広げられる生活感
が素晴らしい。
唱えられる黒魔術の呪文も、
詩としても、呪法としても、
決して安っぽくないもので、
魔術や死に対する
監督独自の感覚が
よく表現されていると感心しました。
アメリカ映画のスタイリッシュな
カッコいい黒魔術じゃないんですよ。
農村の低級な迷信の黒魔術なんです。
物語の筋も、
映画的というより、
民話的な素朴さがあって好感が持てます。
あと、この作品、
日本の視聴者にとても評価が悪くて、
その悪評の一因が
「キャラクターの性格が一定してない。
キャラ設定がブレてる」
というものなのですが、
それは大間違いですね。
アメリカや日本の映画のキャラクターは
シンプルなんです。
正義の味方は最後まで正義。
悪人は徹底的に悪人。
心変わりする時は、
ドラマチックにわかりやすく
正義に絶望して悪に転じる。
しかし、
この監督の作品のキャラクター達は、
皆二面性を持っている。
基本は善の側にいる主人公も、
好きな相手を蘇らせる為、
自分が生き抜く為には、
他者を犠牲にしようとしたり、
強盗として登場する悪党も、
主人公に情が移って、
友人になろうとする。
善悪の二面性の中で迷い、
足掻く登場人物達。
等身大の人間そのもの。
この辺りの描写も
ホドロフスキーっぽいんですよね。
やっぱり南米の人の感性なのかなぁ。
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