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フランスと私 ー 雨宮塔子さんの「それからのパリ」再読

久しぶりに、雨宮塔子さんのエッセイ集『それからのパリ』を手に取りました。

この本を初めて読んだのは、かなり前のこと。

たしか、初めてフランスへ行くとき、成田空港の本屋さんで「機内で読もう」と思って買った記憶があります。

その後、ずっと本棚で眠りっぱなしになっていた本をようやく再開しました。

このエッセイを読むと、雨宮塔子さんのパリでの生活が詰まった雑感に思わず共感してしまいます。

自分なんて、雨宮塔子さんほどスタイリッシュな人生を送っているわけでもないのに、なぜか「これ、わかる」という感覚がこみ上げてくるのは不思議です。

特に頭に残っていたのは、雨宮塔子さんが書いた「パリに遊びに来る友人たちの分類」に関する記述でした。

「パリに遊びに来る友人達を見ていて気づいたことがある。『いいなぁ、私もパリで暮らしてみたい』という友人は大抵パン党で、『遊びに来るのはいいけど、暮らすのは私には無理だわ』という人はごはん党が多いのだ。」

雨宮塔子さんのエッセイ集「それからのパリ」

この分類には、思わず笑みがこぼれました。

実際、身近な友人やSNSで見かける投稿を思い返してみると、確かにその傾向が見て取れます。

「こちらの食生活にさほど不自由していない」という人は、たいていパンやフランス料理の投稿ばかりで、ご飯や日本食の話題が出ることは少ない感じがします。

まさに「あるある」と頷かずにはいられない洞察ではないでしょうか。

私自身は日本風の食事を愛してやまない「ご飯党」です。

そして、フランスのノルマンディー地方に10年以上住んでいますが、老後は日本に帰りたい、永住はしたくないと思う自分がいます。

『それからのパリ』には、雨宮塔子さんの華やかで現実感に満ちた記述が詰まっています。

私の住むノルマンディーとパリでは、暮らしぶりは少し異なりますが、フランスでの生活に対する深い洞察は、地方に住む身にも強く響きます。

こうやって、一つずつ自分の中で雨宮塔子さんの書いたことに対して「答え合わせ」をするような気持ちで、今、彼女の本を読み直しています。

パンとご飯の話題は、数ある共感ポイントのほんの一つに過ぎません。

異国での暮らしの機微、文化の違いへの戸惑い、そして時には感じる孤独感まで、雨宮塔子さんの言葉は私の経験と重なり合います。

この本には「パリでの生活は簡単なものではない」という現実的なメッセージも含まれていますが、同時に、その中で見出される小さな発見や喜びも描かれています。

自分の生活や価値観について改めて思いを巡らせるきっかけを与えてくれる、そんな魅力的な一冊だと実感しています。


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