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男にはわからないー批判。あるいは、反省。

はじめに

 はじめに、一言お断りを入れておきます。僕自身、ジェンダーの問題について、ほとんど無知です。前提条件として語っていることにも、批判が色々あると思います。それでも、いや、それだからこそ、あえて、書かせてください。

男にはわからないこと、意識すらしないことがある

 男たちは、自分自身が、社会の中で言えば、強い権力を持つ側、マジョリティであること、まず、そんなことを意識すらせず、大人になることができる。もちろん、男と言っても、何かの経験がきっかけで、反省させられる人、そしてジェンダーの観点から見て、女性として生活している人たちがいるし、例外はある。それはわかっているつもりだ。だから、この言い方に対するいかなる批判も受け入れる。だが、今はあえて意図的にこう断言したい。男にはわからないことがある、と。

僕自身についての反省

 僕自身、周囲の男たちと比べれば、女性の気持ちがわかる方の人間、あるいは、女性に圧を与えない人間だと思ってきた。その根拠は、親しい女性、もしくは、初対面の女性からも、そういう類のメッセージを受け取ることも多かった、と少なくとも自分では思っているから。勘違いかもしれないけれど。もしもそれが単に僕の思い違いだったとしたら、大いに反省して、改めて学びたい。いや、むしろ、どんな場合であっても、僕はもっと学ばなければならないと思っている。

ー寄り道はじまりー

 書きながら気づいたけれど、おとこは、「男」と呼んで何ら抵抗はないが、おんなは、「女」と呼ぶことは乱暴な気がして、「女性」と呼ばないと、気が済まない。当たり前にやってるけれど、何か違和感がある。言語の観点から、もっと掘り下げる必要もあると思った。それはまた別の機会にしよう。

ー寄り道おわりー

 ジェンダーや女性が受ける性暴力の問題について、気にはなっていた。だけど、フェミニストの人たちのことを、実際に知りもせず、ステレオタイプだけで判断していた。フェミニストの人たち、あるいは、フェミニズムの思想に対して、あまりいいイメージを持っていなかったのは、恥ずかしながら、間違いない。

 当たり前だけれど、色んな出来事があって、僕の想像を絶するような辛い経験をした女性たちが、近代になってようやく立ち上がり、フェミニズムの思想が生まれたのだと思っている。まずは思想が生まれた背景もちゃんと知らなければならないが、とにかく、フェミニストの人たちへの勝手なステレオタイプから、僕は批判的なイメージを持っていたのではないかと思う。そしてまさにこれが、男の視点なのだと思う。僕は反省しなければならない。

 社会の中で、無かったことにされているような人たち、こういう言い方が正しいのか疑問はあるけれど、弱い立場に置かれている存在について、僕はもっと考えなければならないと思っている。そして、そういう人たちのために、僕自身の力を生かしていかなければならない、と僕は考えている。今の僕にできることは確実に存在するけれど、わずかな力だと思う。だから、学んで力を付けていく必要があると思っていて、少しずつだが学んでいるところである。もちろん、僕自身にもこれまでに色んな経験があり、心境の変化で紆余曲折を経てきた結果、少なくとも今の僕はそう考えている。だから今も変化の過程だ。

関心を持つようになったきっかけ① 本

 僕が、今のように、ジェンダーについてや女性が受ける性差別や性暴力の問題などについて、真剣に考えようと思ったきっかけは、いくつかある。恥ずかしながら、もちろん、単純に女性に関心があって、もっと知りたいというのもある。だけど、それだけではない。気をつけてきた「つもり」ではあったが、確実に、知らず知らずのうちに、僕は周囲の女性を、言葉や自分の行動で傷つけたことがある、ということに気づかされた。そう思うに至ったきっかけの一つは、『説教したがる男たち』(原題:Men Explain Things to Me)という本を、男の友人が紹介していて、知ったからだ。まだ冒頭部分しか読んでいないが、僕は、女性が、男たちからかけられる何気ない言葉、あるいは話しかけられる時の態度などによって、どれだけストレスを受けるうるのか、どれだけ嫌な思いをするのか、そんなことについて意識したことがなかった。だから、僕自身がまず気をつけないといけないし、女性の置かれている立場を知り、理解しなければいけないと思っている。

 また、最近も『それはデートでもトキメキでもセックスでもないー「ないこと」にされてきた「顔見知りによる強姦」の実態』(原題 : I Never Called It Rape)という本を本屋で見かけて、その場で買っていた。ちょうど今読んでいるところだ。

関心を持つようになったきっかけ② アプリ

 そして、もう一つ、大きなきっかけがある。それは、僕が暇つぶしでスマホでチャットアプリを使っていた時のことである。つい最近のことだ。

 チャットアプリについて、知らない方の方が多いと思うので、簡単に説明しておくと、メッセージ機能がメインのTwitterのようなアプリとイメージして頂けば良いと思う。マッチングアプリとも違うのだが、ストアで検索してみれば、実に色んな種類のアプリがある。そういうアプリをダウンロードして、プロフィール画像や年齢を設定して利用する。感覚的には、主に学生や若い人たちが利用していて、自由に掲示板につぶやいたり、他の利用者とメッセージでやりとりをしたりしているものだ。様々な人が色んな発言をしていて、人間観察をするという意味では、面白いと個人的には思う。出会い目的の利用は規約で禁止されているが、投稿を見ているとやはり、そういう目的の利用者が目立つ。そして、皆さんの想像に難くないと思うけれど、出会い目的で利用しているのはほとんどが男だ。

 話を本題に戻すと、僕は、ごくたまにではあるが、暇を持て余すと、そのアプリで誰かと会話をしたくなる。もっと言えば、主に女性と話している。アプリをダウンロードして、飽きれば消す、また使いたくなれば再度ダウンロードするという使い方をしていたので、その日の夜、またダウンロードして使っていた。

 アプリで色んな人のプロフィールを眺めていた。1人、映画の話や仕事の話なんかを投稿している人がいて、話してみたいと思ったのでその人にメッセージを送った。返事が来たので、映画や最近読んだ本の話や、ジェンダーの問題などについて話をして、深く語ることができた。過去にアプリを利用した経験と比べたら、珍しく楽しく話ができて面白いなと思った。話をしながら、その人が映画をたくさん観ていることが感じられたので、少なくとも僕よりは年上の女性だと予想していた。その人は、年齢をいい加減に80歳に設定していたため、実際何歳かはわからなかったので、年齢を尋ねてみたら、アラサーだと答えた。気付いたら夜中だったので、お互い話を切り上げることにした。

 僕が、おやすみなさいと伝えようとしていた時、その人からメッセージが届いた。「こんな風に深く話せて理想的な女性も実際に居るんです。深く話ができて楽しかったので、あえて伝えますが」と前置きをした上で、その人が実は40代前半の男性だということを告げられた。写真が女性の写真だったので、僕はすっかり女性と話していると思い込んでいて、彼からの突然の告白に驚いてしまった。しかし言われてみれば、少なくとも僕のこれまでの経験では、そこまで映画に詳しい女性とは話したことがなかったので、彼とのやりとりを振り返ってみて妙に納得してしまった。

 彼の性的指向まではわからないが、女性の気持ちもある程度理解できるそうで、仕事柄、女性と関わることが多いとのことだ。どちらかというと中性的な立ち位置で生活しているようである。今回、彼が女性のふりをしてアプリを利用していた目的は、女性が男性からどういう言葉をかけられるか知りたいからということだった。そして、女性として登録しないと、話相手すらしてくれないと言っていた。その人自身も、ジェンダーの問題にも関心があるようだった。
 女性を演じていたということで最初は驚いてしまったけれど、彼の考え方には賛同できて、けっこう好きだったので、僕はそっと見守ることにした。楽しく話せたことについてお互い感謝を告げて、話を終えた。

 こんな風なアプリでの経験があって、僕はまた色々と考えさせられてしまった。偶然にも、問題意識がある時だったから、余計に気になったのだと思う。その後でも、別の女性たちとも話してみると、メッセージで話し始めていきなり実際に会うように誘ってくる男や下ネタを送ってくる男がいてうんざりする、というような話も聞いたので、本当に女性はそういう経験をするのだなと考えさせられた。もちろん、アプリなので実際に面と向かって言えないような発言をしてくる、という面もあると思ったけれど、それでも、仮に自分が女性だと想定してみて、そういうことを言われたらものすごく気持ちが悪いなと思った。

アプリでの体験

 それから、このままでは居ても経っても居られず、僕は別のアプリをダウンロードして、女性のプロフィールを作って、20代の女性を演じて利用してみたのだった。ちょっと足を露出した写真を使っていたことも多少関係があると思うが、いきなり、オヤジや、たぶん本当に20代であろう男から下ネタが浴びせられ、大変気持ち悪かった。どうして、性別が違うだけで、女性はこんなに気持ち悪い思いをしなければならないのだろう、と女性の立場が、極めて微々たるものにしか過ぎない思うが、想像できた。2日くらい一通り体験してみたが、どぎつい下ネタも浴びせられ、気持ち悪いという以外の何物でもなかった。そういう言葉を浴びせてくる男たちに殺意も感じたこともあった程だった。もしこれが本当の女性だったら、どう思うのだろう。気持ち悪さと、恐怖も感じることもあるのではないかと思った。
 あとで知ったけれど、女性になりすましてネットを利用するのが、ネカマと言われ、あまり良いイメージを持たれていないようだが、女性にいきなり下ネタを投げかけてくる男の方が単純に気持ち悪いと思う。

 上記の体験があって、僕の問題意識がより強くなり、これまで以上に真剣に考えるようになったのだと思う。

おわりに

 長くなったけれど、19時20分くらいから、今まで考えながらノンストップで書き進めてきたので、もう疲れた。休憩しないと、もう頭が回らないということもあるし、そもそも結論は、急いで出す必要はないと思っている。

 この話の続きはまた今度。

 P.S. テーマにぴったりだと思ったので、写真使わせて頂きました。ありがとうございます。

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