餃子からはじまる物語
ひき肉は、粘りが出るまでよく揉むこと。肉に調味料をしっかり吸わせて、その後に野菜を入れること。最小限の水をつけて包むこと。餃子一つ作るだけでもそこには厳しいルールがある。そして私はそれが大好きだ。
高校で留年が決まった年、なんとなく家に居づらかった私は、名古屋の中華料理屋で餃子を包むアルバイトを始めた。早朝に行って、餃子の中身を作り、あとは10時間ひたすら包む。800個包めたらおしまい。頭がおかしくなる、と言ってすぐにやめていく人もいた。店長は「嫌になったらすぐ言ってね。訴