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【イベントレポート】温室効果ガス削減の第一歩 無償クラウドツール「パーセフォニPro」で始めるカーボンニュートラル

2024年8月1日にSCSK株式会社主催、パーセフォニジャパン協力のもと、イベントを開催しました。イベントでは、気候変動への規制についての最新情報を解説し、当社のパートナーであるSCSK株式会社主導で、本年7月16日にリリースした無償クラウドツール「パーセフォニPro」のデモンストレーションを行いました。

GHG排出量算定と見える化は、温暖化を阻止するために行うべき最低限のプロセスです。しかしこれらは容易な作業ではなく、複雑で手間がかかります。このような悩みを解決するため、効率的かつ透明に算定する方法として、今回無償クラウドツールのお披露目をすると、会場からは驚きの声が上がりました。

参加者が困りごとや新たな発見を得る様子をこのレポートにてお届けいたします。


◾️イベント概要


日付:2024年8月1日(木)
時間:10:00~11:00
会場:SCSK LINK SQUARE 東京ミッドタウン八重洲 25F
主催:SCSK株式会社
協力:Persefoni Japan合同会社


◾️パネリスト&モデレーター(順不同)


●SCSK株式会社​ ITインフラ・ソフトウェア事業本部 エンタープライズ営業部 部長 早坂 将之氏
●SCSK株式会社​ ITインフラ・ソフトウェア事業本部 エンタープライズ営業部 
●Persefoni Chief Digital & Information Officer & Co-Founder Kim Stroh 
●Persefoni Japan Climate Solutions Center ディレクター 高野 惇 


脱炭素を支援するリッチな無償コンテンツ まずは気軽に触れてほしい


イベントは、SCSK株式会社エンタープライズ営業部 部長 早坂将之氏のあいさつで幕を開けました。

早坂氏は、「パーセフォニPro」について「企業の脱炭素を支援するためにはCO2排出量の算定だけではなく、その後の分析や脱炭素のシミュレーションが必要。これらが実現可能なほどのリッチなコンテンツだ」と述べました。そしてこう続けます。

「気候変動は自分ごとにしないといけないが、自分たちだけでは解決ができないこと。企業間が手を取り合っていかないといけないため、ステークホルダーの皆様と手を取り合って一緒に協働しながら取り組んでいきたい。この輪が広がりマーケットの醸成がされれば、この社会問題を解決する取り組みが加速するのではないか」と希望に溢れるコメントをしました。

続くセッション1では、米国パーセフォニの責任者であるKimがこう語ります。 

「今回のリリースされた商品は、有償版から派生したソフトフェア。無償版といえどもしっかり信頼を置けるソフトフェアではあります。

『パーセフォニPro』の対象ユーザーは、これまでツールにコストがかけらえなかった中小企業はもちろん、大企業でもこれからサスティナブル活動に取り組んでいきたい企業でまずは無料で使ってみたいという方々にも触ってほしい。登録すればすぐに使える」とまずは気軽に手に取ってほしいと参加者に声高に伝えました。

パーセフォニジャパン 高野惇 が語る GHG排出量算定の必要性



続くセッションでは、パーセフォニジャパン の高野惇 が、排出量算定の必要性について科学的観点から解説しました。

「ニュースでも見聞きする通り、すでに気候変動は激しくなってきています。2016年に締結されたパリ協定では世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をすると掲げられていますが、今これを努力するべきまさに待ったなしといった状況にもなりつつある」高野は指摘します。

気候変動の影響は1990年からレポートに記録されており、当初は人的活動が温暖化に影響するとされていませんでした。

しかし、2021年度の最新のレポートでは、人的活動が温暖化を引き起こしていると科学的に証明されています。

我々人間の行動は是正していく必要があると科学的に見えてきたというところです。

たとえば豪雨によって道路が寸断され、人命が奪われてしまうことや、高温による熱中症患者の増加があり、これが企業のコストを押し上げています。これらは結果として、社会全体のコスト増加に繋がっています。

温暖化は「環境の変化だけでなく、社会的コストの増加を引き起こす」と指摘しました。

また、家計への影響についても触れられています。

昨今、国民を悩ませる食料品の価格上昇。これらも温暖化の影響が顕在化しています。例えばスペインでは温暖化の影響でバージンオリーブオイルの価格が急騰しています。

また家畜の生育状況にも影響があり、結果的に食肉などの価格も高騰しています。

このように、社会システムのみならず、我々が普段使うようなサービスにも温暖化の影響が現れています。

産業活動に起因するGHG排出量は、自社の直接的な影響よりも、サプライチェーンの活動の中で発生することが多いです。世界各国で、このScope3を含む形での情報開示を進めようという動きが強まっています。

最新 世界の規制動向


続いて高野は規制動向のアップデートについて話を進めます。

「2025年には世界各国でサステナビリティ情報開示が進んでいく」と述べました。

「現在、ISSB基準の導入が世界各国で検討されています。世界のGDPの50%を超える約20の地域で導入検討中です。もちろん我が国も同様ですが、中国、インド、ケニア、ナイジェリアといったアフリカ地域、ブラジルなどの中南米地域でも検討が進んでいる」と指摘。

これは、先進国および世界をリードする国々が脱炭素基準の質を高めようとしていることを意味します。

ISSBの基準には、Scope1、Scope2に加え、”Scope3の排出量の算定”も含まれます。金融機関各社は、自社だけでなく、Scope3を算定するために、取引先であるサプライチェーンを通じてデータを共有し、排出量の算定に努める必要があります。日本以外の各国で今後ISSB基準が導入されることは、どういうことを意味するのか。つまりグローバルな取引をする企業であればあるほど、ISSB導入国の基準に従い、Scope3の算定に対応する必要があるのです。

この規制には大きく分けて4つの要素があります。

・企業としてどんな戦略を立てるか
・気候変動のリスクやチャンスに対してどんな戦略を立てるか
・ガバナンスをどのように推進するか
・リスク管理をどのように実施するか

加えて高野は「どのような指標と目標を持って取り組むかが、各企業に求められる」と語りました。

昨今では、サプライチェーンへの情報開示要請が急速に進んでおり、世界中で規制が強化されています。

情報開示や統制がされていないと具体的なトラブルを引き起こす可能性があります。

高野は、2023年にフランスで金融機関がNGO団体から提訴されたケースを紹介し、排出量が多い企業に投資することがすでに訴訟リスクを生んでいると指摘します。

こうしたリスクを考慮すると、自社だけでなくサプライヤーや投資先、ステークホルダーの情報を把握することが重要です。

このような最新動向は、自社の行動を更新し、規律を守るために定期的に知識を得ることが必要だと実感できる講和でした。


無償版「パーセフォニPro」ツールの魅力と特徴

最後のセッションでは、パートナー企業SCSKの高梨 紗帆氏が「パーセフォニPro」の概要を解説しました。

まず、有償版ツールを導入している企業の特徴について触れました。

「製薬会社、金融機関、物流企業などをはじめ、あらゆる業種の方々に既に導入いただいている」と高梨氏。

続いて、実際7月16日に国内リリースされた無償版のプラットフォームについて「誰でも簡単に無償で使えることをコンセプトにした」と述べ、広い業種の方々が使えることをアピール。

今回のリリースについては、Persefoni社が掲げる「炭素会計の民主化」の一歩を踏み出したものだと言えるでしょう。

無償版ツールのポイントは4つ。

1.GHGプロトコルに準拠したScope1.2.3のGHG排出量の算定が可能
2.インストールは不要。インターネットを通じてURLから誰でもアカウントが作成できる
3.有償版と比べると、無償版の方は使用の自由度が高い
4.中小企業の方でも、炭素会計の知識がない方でも使えるツール

高梨氏は、「世界中の企業の方々がGHG排出量を簡単に算定できる世の中を作ることができれば、中小企業の算定も進み、それをもとに大企業のScope3の削減にもつながっていくのでは」と期待を込めて語りました。

そして最後に想定ユースケースを2例ほど紹介。

1点目としてあげたのはエンゲージメントに向けた活用例です。
本ツールは、企業から企業のサプライヤーエンゲージメントであり、金融機関と投融資機関とで一緒に使えるツールであることを強調。以下のようなことが実現できると述べました。

サプライチェーンマネジメント先へのアプローチ:排出量算定があり、データを共有してもらいたい取引先に対し「パーセフォニPro」を周知し、取引先にもGHG排出量の算定を促進。

投融資先のエンゲージメント:投融資先の企業に当該ツールの紹介をし、1次データに基づいたファイナンス・ミッションの算定を促進することが可能に。


また、効果についてはこのように述べています。

導入前:2次データを活用した推計値は算定ができるものの、データの品質に問題があり、GHG排出量の削減に向けた目標設定が難しい状況
導入後:サプライヤーや、取引先企業様から1次データを入手できるようになり、このデータを活用して、より実践的な査定が可能に。
効果的なエンゲージメントの促進や、データ品質の向上につながる。



続いてユースケース2点目について、「取引先やサプライチェーンへの利用促進とは別に、自社算定ツールとしても利用可能である」ということを強調します。

自社でGHG排出量の算定をまだ実施していない企業は、まずは「パーセフォニPro」を活用してScope1.2.3の算定を行うことが推奨されています。これにより、GHGプロトコルに準拠することが可能です。

このツールは、各企業で一名のみが使用可能で、機能はダッシュボードに限定されていますが、「実施において十分な機能を備えている」と力説しました。



まずは触ってみることが大切 始めてみよう



ここまでの内容をデモンストレーションと共に解説しましたが、「本当に無償でいいのだろうか? いつまでも使えるものなのか?」そのような声が、セミナーの当日には多く聞こえてきました。

しかし、SCSK・パーセフォニ2社は繰り返し「安心してほしい」「まずは手始めにやっていただきたい」と重ねて参加者に伝えました。

今後、GHG排出量の算定やデータの統合が求められる場面が必ず訪れます。このプロセスは無償版ツールで実現可能です。

それでは、どんな時に有償版を利用するのが望ましいのでしょうか? その答えとして、高橋氏は
「GHG排出量や係数の進捗管理、目標設定と振り返りを行う際には、有償版ツールを使う機会が増えてくるでしょう」と述べています。

つまり、使い方は企業や担当者の状況によって変わることがあるでしょう。しかし、無償で始められるのは大きな利点です。初めに「パーセフォニPro」で基礎的な事項を実現し、その後の選択肢を考えるのが良いでしょう。

無償版ツールには使用期限はありません。じっくり操作し、ご自身のものにしていただければと思います。

当社が情熱を注ぎ、SCSKと協力しながら開発に力を入れてきた大切なツールです。ぜひ多くの方に活用してその良さを実感していただき、新たな体験の扉を開くきっかけとなることを願っています。セミナーはその期待を感じさせるものでした。


このイベントを通じて、企業のみなさまにサステナビリティに関する行動変容のヒントがお届けできていたら幸いです。またnoteを読んで頂いた皆さんにも、会場で披露されたお話やノウハウが届きますように。

それではまた、次回の更新をお楽しみに!


ご質問やご意見もお待ちしています。
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