ノラ子猫あずかり日記 14 (慣れてきたルーティン)
ワクチン接種という大きなミッションが無事終わり、子猫達は平和な日々を送っている。
黒ブチは好奇心旺盛で、いつも真っ先に走り周っている。
茶トラは、そんな黒ブチの側近くにいて様子を見ているが、姿が見えなくなると黒ブチの後を追いかけて探しに行く。
最近、2匹の行動半径は隣の林の中まで広がっている。
晴れた日は、裏庭で遊んでいたかと思うと、物置きの前の通路から隣の林の中に向って飛び降りて、どんどん奥に入って行く。
広い林の中をしばらく歩き回っていたかと思うと、1段下がった林の中から物置きの前に向って跳び上がって帰ってくる。
猫小屋に戻ってエサを食べてからまた遊びに行くという具合だ。
あの太った茶トラが、1.5mの高さを平気で跳び上がれるのには驚いた。
「すごいね簡単に跳び上がっている。」
「いつの間に出来るようになったんだろうー」
子猫達は毎日じゃれ合っているだけだと思っていたが、運動能力もどんどん逞しくなっている事がよく分かった。
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こうなると心配事が一つ増える。
行動半径が広がるとともに地域の野良猫と出くわす機会が増えて、子猫の後を追いかけて野良猫がやってくるという不安である。
「冬はエサが無いから、野良猫もエサを求めて必ずやってくると思うよ。」
「うちを野良猫のエサ場にしたくないので、野良猫が来た時に猫小屋の中に入ってこない工夫がいるかもね。」
子猫達の成長は頼もしく見えるが、野良猫がやってくる時が必ず来ると思うので、対処の仕方を考えておく必要がありそうだ。
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我が家の玄関先には、防犯カメラが取り付けてある。
ここ最近、朝早くから子猫達が玄関先に出て行く姿が防犯カメラに写っている。
「まだ夜明け前なのに何やってんだろう?」
子猫達は、まだ暗い玄関先に出てきて辺りの様子を見ている。
しばらく佇んで、周りに何の変化もないのを確認してから猫小屋に帰って行く。
毎朝、4時過ぎある。
まだ夜明け前で辺りは真っ暗だ。
「いつも朝早く同じ位の時間なのは、何でだろう?」
数日観察を続けていると、猫達が朝早く動き出すきっかけは、新聞配達である事が判明した。
新聞配達は、家の前に車で来て新聞受けに投函した後、足早に車のドアを締めて走り去って行く。
その音に気付いたのだろう、黒ブチ子猫が、玄関先までやって来てしばらく辺りの様子を見ている。
黒ブチは周囲に何の変化もないのを確認すると猫小屋に帰っていっている。
新聞配達はもう立ち去っているので、彼には何の音だったのか分からないままである。
また次の日も、新聞配達の音に目が覚めて玄関先の様子を見に行くという繰り返しである。
彼の好奇心には感心するばかりだ。
「音に敏感で何の音か確かめたいみたいだね。」
彼らの好奇心には感心するばかりだ。
音の原因がわかると出て行かなくなると思うが、まだしばらくは朝早いルーティンに付き合わされそうだ。
___ つづく ___