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全部フィクションに決まってるじゃないですか

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#短歌

羽化

羽化

ねえ、逃げて。もうすぐ朝が来る。朝焼けの落とす影を伝って歩くの。遠く、遠く、太陽から逃げて。許せないことを許せないままでいて良かった、って 君には思ってほしい。そのままの君でも愛されてもいいんだって、僕が証明してあげる。そんな 慕情みたいな気持ちを抱くことが恋だというのなら、君に向けている気持ちは間違いなく 愛だ。

どうしようもなく、幸せでいてほしい。
さよなら、黎明。
昨日の僕に手向けた花。

黎明

黎明

君が大丈夫だと言うから、あかりを全て消して独りだった。もう何度もこうやって朝を待っている。

同じ朝日を見ようね、と言う眠れないフリが上手なきみ、朝を待つわたし。明け方射す光は、落ちた花弁に温度を与えるでしょうか。冷めきってしまう前に、

もう、何度もこうやって朝を待っている。

夜明けのオレンジで目を覚ました。最低な空の色。君は知らないままでいいよ。

2020.8.31