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私の映画鑑賞録2021(ネタバレ感想文)

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2021年新作映画のマイベストは『トムボーイ』。いや、日本公開が今年だっただけで本当は2011年の映画だけど。
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2021年6月の記事一覧

映画『いとみち』 自分らしさという道(ネタバレ感想文 )

青森県が生んだ五大アーティストの一人と私が評している横浜聡子。ちなみに他の4人は太宰治、棟方志功、寺山修司、奈良美智ね(<個人の感想です)。 私が初めて横浜聡子作品を観たのは『ウルトラミラクルラブストーリー』(08年)。 その時はミットを構えていた場所とは全然違う予想外の変化球が投げ込まれたので上手く受け止められなかったのですが、その不可思議なセンスにミゾミゾしたので、たまらず『ジャーマン+雨』(06年)をレンタル。そもそもレンタルなんて滅多にしない上、繰り返し2度も立て続

映画『ファーザー』怖い怖い。DHAとか飲まないと。(ネタバレ感想文 )

予告だと「感動作」のようですが、もっぱら「下手なホラーより怖い」と評判だったので、アンソニー・ホプキンスのアカデミー主演男優賞受賞という以外、何の事前情報もないまま、「感動作なら観ないけどホラーなら観るか」という謎の理由で映画館へ。 アンソニー・ホプキンスが素晴らしすぎ。 さすが、かつて羊どもを沈黙させただけのことはありますよね。 少しテクニカルなことに触れます。 映画冒頭(タイトルバック)、娘のアンを演じるオリヴィア・コールマン、以下「アン女王」と呼称しますが、彼女が

映画『イージー・ライダー』 アメリカは自由病の重症患者。(ネタバレ感想文 )

午前十時の映画祭にて鑑賞。 恥ずかしながら初鑑賞。キャー恥ずかしい!この映画を観ずに何を語ってたんだ?本当に恥ずかしい。 だって、しょーがねーじゃん、俺がヨチヨチ歩きの頃の映画だぜ(<開き直り)。デニス・ホッパーなんて、物心ついた時には実写版『スーパーマリオ』(93年)のクッパだったよ。あ、俺が20歳代半ばの映画だ。物心つくの遅せーな。 映画って、「いつ観るか」(製作から何年後に観るか&自分が何歳で観るか)でだいぶ感想(解釈)が変わると思います。 この映画は特にそう。 「い

映画『カムバック・トゥ・ハリウッド!!』 作り手の愛が何も感じられない(ネタバレ感想文 )

そもそも、デ・ニーロが本当に金に困ってる人に見えないんですよ。こちとら、空気階段もぐらとか岡野陽一とか見慣れちゃってるからさ。 おそらくデ・ニーロ先生のことだから、「本当はお金に困ってるんだけど映画プロデューサーだからお金に困ってるように見えない工夫をしているお金に困ってる人」という複雑な役作りをしてるんでしょうけどね。 映画の時代設定は1974年でしたかね。何故その時代設定なんだろう? 例えば『アメリカン・グラフィティ』(73年)は1962年の夏を描いているのですが、それ

映画『ときめきに死す』 涼しすぎて体温のない映画。(ネタバレ感想文 )

今からこの低体温の映画を熱く語りますが、人様にはお薦めできない映画です。だって、森田芳光ファンの私ですら長年「なんじゃこりゃ?」と思ってましたからね。ところが20数年ぶりに観たら、滅法面白かったんです。 評判となった『家族ゲーム』(83年)の次の作品で、森田君が調子こき始めた頃。才気を鼻にかけてるのが映画の端々から感じられます(<ひどい言い草)。 今にして思えば、1984年(昭和59年)としては新しすぎたんです。 森田芳光作品は食事シーンが多いんですが、キャビア、キウイ、

映画『インファナル・アフェア』こってり豚骨ラーメン映画。(ネタバレ感想文 )

15年ぶりの鑑賞。その時だって公開から3,4年経っていて、面白いともっぱら評判だったのでとりあえず観た感じだったんですが、その当時の感想。 「評判の屋台のラーメンを半信半疑で食べてみたら思った以上に美味くてスープまで一気に飲んでしまったような感じ。実に美味い。」 今回の再鑑賞も、たまたまCSでやっていたので「最初だけちょっと観るか」と観始めたら最後まで観ちゃった。みんな大好きこってり豚骨ラーメン。 ただ、「スープまで一気に飲んでしまった」ので替玉はしてないんですよ。シリー