エコプロへの出展に向けて-03/「再生板紙」新構法での展示会ブース試作
スーパーペンギン代表の竹村です。
エコプロに向けての投稿、3回目。
木工ブースの廃棄量問題。その解決策として、「素材を置き換える」ことを思い浮かんだところまで話をしました。
これまで、木工ブースによる廃棄量を削減するために、木工ブース以外の構法が模索されてきました。
しかし、木工ブースにも利点はあり、無くすことは現実的ではありません。またこの木工ブースに携わっている様々な企業・職人さんも存在します。
展示会後の「使いまわし(再利用)」などによってある程度の削減は見込めるものの、「ゼロ」にする、というのはかなりな非現実的な話。
そこで、木工ブースの「木工(素材)部分」、つまり木を別の素材に「置き換える」、という発想であれば「廃棄量」を限りなくゼロに近づけることは可能なのではないか、それに思い当たります。
試験的に1小間ブースを製作してみる
では、本当に「再生板紙」でブースを作れるのでしょうか。
もちろん、作ること自体は可能なのですが、今回の場合、段ボールのようにブースを組み立てるのではなく、木工ブースと同様に、「小割(木の棒)」と板(薄ベニヤ)によって、木工ブースと同様に加工・組み立てを行い、木工ブースと同じように壁紙を貼ろう、というもの。つまり、再生板紙を使って、木工と同じような作り方でブースができるのかどうか、という疑問があります。
まずは、やってみようということで事前に設営会社の工場で1小間分を組み立ててみることにしました。
3m×3m×H2.7mというサイズをまず作ってみます。
再生板紙の材料として、木の棒(小割)と同形状のものをまず準備しました。つまり20㎜×30㎜の断面をもつ棒状の再生板紙(既に再生板棒、とでも言うべきでしょうか)、それと厚さ2.5㎜程度の薄い再生板紙を準備します。
これを木工パネルと同様に組立、それらを組み合わせてブースを構築します。
何とか、完成しました。
出来上がりだけ見ると、なんとか行けそうな気がします。
しかも意外に綺麗。
しかし、試験的に作ってみて、課題もたくさん見えてきました。
浮き上がってきた課題
まず、再生板紙は紙の繊維をミルフィーユのように積層して圧縮しているので、一方向からはビスがある程度効くけど、横からだとビスが効かない。ビスを回し過ぎると空回りしてしまう、など。
また、再生板紙の製造基本サイズが「W400」なので(木工の薄ベニヤはW900)つくりが細かくなってしまう。
このような細かな気づきがたくさん出てきます。
そして、何よりも「重い」。
「紙だから軽いのでは??」と思われるかもしれませんが、圧縮された紙なので重量は木工よりも重くなるのです。そして、この重さはこの再生板紙に防炎処理を施している、ということも要因になっています。
次に、この再生板紙で作られたブースに、展示会で使用する「表具」いわゆる「経師紙」(壁紙)は貼付け可能なのか、という問題。これもやってみましたが、これは難なくクリア。
今後標準化できる可能性は、ある
今回試験的に作ってみて、再生板紙を基本材料として「木工ブース(風)」のブースをつくる、という試み。
「行けそうだ」という実感が湧いてきました。
まだまだ課題がありますが、これは、今後ニーズが出てきて、「展示会ブース用の再生板紙」としての専用素材が開発・製造されるようになってくれば解決できるものがほとんどだ、という感触も得ました。
展示会における木材廃棄量をゼロにする、という試み。
あながち「不可能」というわけでもなさそうです。
展示会業界における年間の木材廃棄量、いくらかご存じでしょうか?
ざっと計算してみました。
そうすると、低く見積もっても、年間2万トンです。
(2小間ブースの木材量を400キロとし、それを展示会の数、展示会場の数、展示会の開催数などで算出した数字)
もし、実現すれば、この2万トンという数字が軽減できるかと思うと、今後広がる価値のあるものだと言えます。
そして、その広がりにはできるだけ「いずれかの立場の方々の仕事を奪うこと」になってはいけない。
そんなスムーズな移行方法はないものか。
このような課題はありますが、まずは進むべき目標が見えた、今はそのように感じています。
次回へつづく>