誰かを救いたいと願うためには? #創作大賞感想
絵本の世界って不思議です。
今ふと視線の先にある絵本棚には、それはたくさんの絵本がずらっと並んでいるのですが、中でも好きな本は『14ひきシリーズ』『ぐりとぐら』でしょうか。お話の中においしい食事のシーンが出てくるので、それがまた色やイラストもとてもおいしそうで、つい手にとって読んでしまいます。
どちらの作品にもネズミが登場します。
設定の説明もなしに、日本語をしゃべっています。
そして二足歩行をしています。
かまどで火を起こし、食事をし、協力し合って日常を過ごしています。
ぺらりと一枚表紙をめくれば、そこに詳しい説明はありません。
お話は突然始まり、緩やかに絵とともに綴られて、そして終わります。
私の連載小説「心の雛」も、わりと設定がざっくりしている方かと思います。妖精が出てくるお話なのですが、当たり前のように人語を話します。
(この記事は「感想文」の記事ですので読んでほしくて書いているわけではありません。念のため…)
「心の雛」では、
心や身体の病や傷を治すために 妖精の力を人間が欲した
という設定になっておりまして、
力を欲した人間がとった行動が『妖精を狩る』というちょっと衝撃的な方法でした。
なぜそういう背景になったのか、なぜ狩る以外の選択肢がなかったのかについてはあまり触れていなかったので、読者の方から質問も寄せられました。
ふわっとした設定のおかげ(?)でいろいろ想像していただきまして。
本作の登場人物や設定をもとに、新たに書かれた作品がこちらです。
マガジンはこちらです↓
叶とわ子・外伝を書かれたのは私ではなく、女王まりか様という方です。今回私が感想文を書こうと思ったのは、外伝を書いていただいた感謝の気持ちとテーマが素敵だと思ったからです。
連載小説「心の雛」を書いた私としては、たくさんの人が健やかに過ごしてほしいなぁという願いがあります。ただでさえコロナ禍でマスク着用が必須となり笑顔がぎこちなくなっている人は多いように感じます。
笑顔は大事!
朗らかに、穏やかに、笑顔で過ごす!
心と体は繋がっていますから、笑いには健康効果がある、と書かれた本もけっこうありますね。
ですが、笑えばすべての病が治るわけではありません。時にはお薬も大切。
そのお薬って、一朝一夕でできるものではありません。
研究者たちがものすごい労力と時間をかけて、はるか昔からコツコツと作り続けてきたものです。本当に有り難いことです。
先週、私自身も体調不良で倒れまして、点滴とお薬を処方されました。具合が悪いときって何も考えられない。先生の判断で処方された薬を(処方箋と薬の内容は必ず確認することにしていますが)飲み、療養し、少しずつ良くなってきました。
その薬は、私達の手元に届くまでにいろんな実験によって検証されてできあがったものです。実験、つまりは動物の命を使わせていただいてできています。意識しないと見落としてしまいますが。命を利用させていただいた後のネズミやモルモットたちがどうなっているのか、正直に申し上げますと、私は知りませんでした。無知、を痛感しました。
外伝では、そうした医療資源についても着目しています。
あんまりその手の小説は見かけないので、外伝を書こうと思っていただいたことへの感謝と驚き、たくさんの読者に少しでも動物の命について知ってもらうきっかけになるのではないかと、感想を書こうと思いました。
と言ったものの、医療を扱う小説を積読していたことを思い出しました。
上橋菜穂子著『鹿の王』です。
コロナ時期の前に出された作品で、こちらにも治療薬を作るシーンで動物を扱う描写がありました。
病があって、人々を救いたい。
まだ全巻読み終えていないのですが、時間を見つけてはぽつりぽつりと読み進めている本です。
動物実験の是非を言いたいのではなくて、ただ、私達がいつも病院に行っていただいて飲むお薬にも、途方もない時間と命があってこそのものだ、ということを考えさせられた外伝という作品でした。
誰かを救いたいと願うことは誰しもあるかと思います。
それが大切な家族だったり家庭動物(ペット)だったり、愛しているほど、様々な方法で良くなってほしいと願うでしょう。
方法は決してひとつではないので、都度大切な人や家族、主治医、もちろん自分自身の気持ちも十分考慮した上で、模索していっていけたらと思っております。
「叶とわ子・外伝」の冒頭では、本編である「心の雛」のマガジンにリンクが貼られていますが、それはいわゆる参考書として。あまり宣伝に繋がるようなことは苦手な私です。本編を別に読まなくても、外伝を読み進めていいと思っております。
外伝を書いていただき、またひとつ大事なことに気付かせていただきました。本当にありがとうございました。
感想文って初めて書いてみたのですが、こういう感じでいいのでしょうか?
最後までお読みいただき感謝申し上げます!