【超短編小説】もくもくバーの空のカクテル
ずっと入ってみたかったお店がある。
わたしはドキドキしながらお店の入口に立っていた。
すっきりとした青空の下、
そこだけ空間が切り取られたかのように
突然現れた木製のドア。
まるでおばあちゃんみたいに傷や趣きや風情を重ね
水色ペンキで塗られたお店のドア。
ゆっくりとドアノブに手をかけた。
それは湾曲していて陶器のように白くなめらかだった。
「いらっしゃい」
店の奥、丸眼鏡のお姉さんがにっこりと笑って出迎えた。
その笑顔につられ、わたしは一歩、踏み出した。
もふっと足が地