短歌 #6 「10首」
あまりにも綺麗に逝ってしまうから 今日もあなたがいると思った
亡骸を抱いて初めて知りました 日々はわたしの安らぎだったと
本棚に廃棄処分の札を貼る 愛を伝える儀式に見えた
燦々と輝き放つ真珠星 ほんの僅かに虚しく見えた
鍵盤を人差し指で弾いたなら 僕の声より優しい音色
遠くまで見える眼鏡をかけている 僕には君の未来も視える
致死量の幸せ浴びて死んでゆく 世界の終わりを考えながら
思い出を軽く炙って出た煙 目にはしみるが涙は出ない
風のない湖畔に浮かぶ三日月が 波打ち際で攫われてゆく
こんなにも君が哀しくなるなんて あれよあれよと散る桜かな