【52歳から自分らしく生きるために】他人からの圧力がきっかけで取った資格では本当の自己肯定感は得られない
アラフィフ責任世代のあなたへ、
今日もお仕事お疲れ様でした。
先週、私が参加しているコミュニティで使うために自己紹介のスライドを準備していました。
これまでの経歴の部分を編集している時に、ふと思ったことがありました。
今まで、業務上の必要に迫られて、学位や資格、テストのスコアを取得したけれど、嬉しかったのは卒業した時、合格した時、スコアを見た時の一瞬だけだったっけ・・・。
【過去に取得した学位、資格、公的テストのスコア】
2005年:アメリカの当時トップ30圏内のビジネススクールで、MBAの学位を取得
2014年:TOEICスコア960点(Listening 470点、Reading 490点)
2015年:技術士の国家資格を取得
「業務上の必要に迫られて」とはどういうことか?
私が取得した3つの資格について、取得に至る背景をお話したいと思います。
海外大学院MBA留学
理系大学院修了後、新卒で入社した一社目の会社で最初に配属となった地方の現場事務所から、入社5年目に本社の技術系の海外事業担当部署に異動となった際、海外留学経験者の上司から社費留学制度に応募するよう勧められました。
「勧められた」と言えば聞こえはいいですが、その上司は、もう一人の上司と共に、影でいつも同じ部署の社員達をレベルが低い連中と小バカにし、
自身がイギリスの名門の大学院に留学したことをいつも鼻にかけている癖のある人物でした。
そんな上司の「勧め」を断ったら、自分もどんな嫌味を言われるかと想像すると、その部署に配属になったばかりだった私は、
「海外留学なんて、ろくに英語も使いこなせない※自分には無理に決まっている。」
と思いながらも、断ることが出来ませんでした。
※新入社員時点のTOEICは480点、それから4年半のブランクを経て、自己研鑽により3か月で775点までスコアアップしました。それでも留学に必要な英語力にはまだまだ足りません。
奇跡的に社内選考をパスしたものの、留学先の大学院に合格するまでと、入学後卒業するまでに味わった挫折と苦労は並大抵のものではありませんでした。
留学先が決まるまでですら、
現業と受験勉強による過労で2回倒れ、救急搬送され、
留学を同時期に社内選考にパスした社員より1年遅れになるという前代未聞の恥ずべき事態になってしまったり、
過労で上の前歯1本を失うといった高い代償を払ったほどです。
また、受験予備校通学のための授業料を捻出するために、ようやく4年間のローンが終わったばかりの愛車を中古車買い取り業者に売却しました。
技術士の国家資格
新卒で入社した企業に16年勤務した後、転職した企業は、発展途上国向けに日本の政府開発援助(ODA)による社会インフラ(道路交通、上下水道、水資源、防災、エネルギー等)整備事業のコンサルティングを行う開発コンサルタント業界の会社でした。
この業界は、国際協力機関が公募するコンサルティング案件を競争入札に勝つことにより受注するという、常にライバル企業達との競争に勝ち続けなければ事業が成り立たないというシビアな世界です。
この入札競争に勝つために、発注元の国際協力機関が提示する業務指示書に対し、
「いかに効率的かつ効果的に低コストで業務を実施できるか」
を提案書によりアピールする必要があります。
提案書の中では、業務を実施するプロジェクトチーム体制について記述することも求められています。
その中で、「評価対象者」と呼ばれる、個々のプロジェクトの特徴によって指定される特定の専門技術分野を担当するコンサルタント個人の資格や業務経歴も評価されます。
このため、評価対象者に該当するポジションを担当する場合、大学卒業後の該当分野の経験年数が長いベテランコンサルタント(この業界では40代、50代などまだまだ若手です!)や、
海外大学院留学経験、博士号保持者、技術専門資格(技術士などの国家資格)を数多く保有しているコンサルタントほど高い評価点が付けられます。
私の場合も、入社当時に持っていた肩書と言えば、MBAだけで、上司からは口が酸っぱくなるほど「早く技術士の資格を取ってくださいね。」と催促されていました。
とはいえ、技術士の国家資格は、受験すれば直ぐ合格するような代物ではありません。詳細についてはまた別の機会にお話しようと思いますが、簡単に言うと、
受験資格を得るために、受験する技術部門についての7年以上の実務経験が必要
第一次試験の合格率:35.0%(私が受験した技術部門、受験年度の場合)
第二次試験の合格率:15.8%(私が受験した技術部門、受験年度の場合)
私は実務経験年数の条件はクリアしていましたが、資格を取得するには最短でも2年間が必要です。(一次試験の受験勉強に必要な期間を除いた場合)
また、一次試験、二次試験をストレート合格する確率は、私が受験した年度の場合、単純計算で35.0% X 15.8% = 5.5%です。
技術士試験は、一次試験、二次試験とも、1回で合格する受験者は少なく、私が所属していた会社でも、5年以上掛かって漸く合格するという社員もざらでした。
開発コンサルタント業界は、海外出張をしてなんぼという仕事で、私は比較的出張が少ない方でしたが、それでも年間60日~70日程度は何処か発展途上国に海外出張をしていました。
出張先の現地で仕事をしながらその合間に受験勉強。
帰国したら、毎日仕事から帰ってくれば夜中まで勉強。
週末は図書館に缶詰めで受験勉強。
有給休暇は全て受験勉強のために取得。
家族との団らんなどほとんどない自分を追い込んだ状態で勉強漬けでした。
このような犠牲を払った甲斐あり、私は一次、二次試験とも一回で合格し、受験勉強を開始してから3年間で技術士の資格を取得しました。
TOEICスコア960点取得
開発コンサルタント企業に入社した後に上司からのプレッシャーにより必要に迫られて勉強したことで得たものです。
先ほどお話した、評価対象者の評価項目の中には、類似業務の経歴、保有資格に加え、語学力も含まれています。
それを証明するための有効な公的テストスコアがTOEIC、TOEFL、IELTSといった英語テストのスコアになります。
私の場合、アメリカの大学院留学のために、TOEFLを受験したことがありますが、
「スコアの有効期間が受験後10年以内のもの。」
という規定があったため、かつて取得していたスコアは既に無効でした。
このため、技術士の国家資格の勉強をしつつ、出張先のホテルでも、空き時間をTOEICの勉強に費やしました。
勉強に費やした期間は半年ほどだったと思いますが、仕事で日常的に英語を使用する環境にあったこと、留学のため、アメリカで約2年間生活していたこともあってか、思っていたよりは短い期間で960点を取得できました。
これで、上司からの要求は全てクリアしたことになります。
取得困難な資格を取得しても常に不安が付きまとう
上司からの指示や要求に全て応え、比較的取得が困難な資格を取得しなければ。という思いで必死に心と身体を酷使してクリアした課題。
始める前は、こんな風に考えていました。
難しい資格を取得すれば、何か全く違う景色が開けて、明るい未来が待っているかもしれない。低かった自己肯定感が上がるかもしれない。
MBAを取得すれば、会社でもっと重要なミッションを担う部署に異動出来るかもしれない。
アメリカ人のMBAホルダーのように、もっと給料が上がるかもしれないし、グローバル企業に転職出来るかもしれない。
技術士の資格を取れば、自分が持つ専門分野の知見についてもっと自信が持てるかもしれない。
TOEIC900点台を取得できれば、英語力に自信が持てるかもしれない。
しかし、現実は全く違っていました。
上に書いたような達成感、満足感は微塵も感じられなかったのです。
それどころか、むしろ、余計に不安が押し寄せてきました。
MBAを取得したのに、帰国したら学んだことを活かすどころか、また同じ技術系の国内部署に戻されてしまったし、むしろ同期より出世が遅れた。
技術士の資格を持っていても、自分は技術の事を聞かれてもしっかり答えられる自信がない。
TOEIC900点台を取得しても、欧米人の会話のスピードについていけないし、ネイティブスピーカーのようなこなれた英語の文章を書くことが出来ない。
結局自分は色々資格を取っても何も自信を持てることなどない。だから、自分はダメな人間だ。
何故こんな気持ちになってしまったのか考えてみると、思い当たることが一つあります。
それは、
「3つの資格はいずれも、自分が心からやりたいと思ったことではなく、他人の要求を満足することが目的だった。」
と言うことです。
自分が心からやりたいと思ったことでなければ、自己肯定感を得られない
このことから、私が得た気付きは、
自分が心からやりたい、学びたい、取得したい、と納得した資格でなければ、自己肯定感を得ることは出来ない。
ということです。
私はこれまで、本当に自分がやりたかったこと、なりたかったものではなく、常に他人(両親をふくめ)の期待に応えるための人生を歩んできたような気がします。
しかし、今は、そのような他人の人生を歩むことをやめ、自分らしい人生を歩むための準備をしています。
そして、その準備は、今までの資格を取得する勉強等とは比べ物にならないほど、やっていてワクワクします。
それは、自分が真剣に考え、自分が心からやりたいと思うことを始めようとしているからだと思います。
あなたが今受験準備をしている資格は、本当に自分がやりたいと思っていることですか?