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パニック障害の改善に向いているカウンセリングその③/TA・ゲシュタルト療法|PD改善研究所
これまでパニック障害の改善に向いているカウンセリングと題し、「来談者中心療法」と「認知行動療法」についてご紹介しましたね。それぞれがパニック障害の改善に大きく役立つカウンセリング技法です。
過去記事↓↓↓↓
パニック障害の改善に向いているカウンセリングその①/来談者中心療法
パニック障害の改善に向いているカウンセリングその②/認知行動療法
今回は、最後の3つ目である「TA・ゲシュタルト療法」について詳しくお話していきましょう。
TA・ゲシュタルト療法とはどんなもの?
「TA・ゲシュタルト療法」とは、交流分析(TA)とゲシュタルト療法という二つの心理療法を組み合わせたものです。それぞれの技法が持つ特長を活かし、クライアントの内面に深くアプローチします。
交流分析(TA)の基本
“TA”とは、英語で「Transactional Analysis」の略で、アメリカの精神科医エリック・バーンによって提唱されました。
この理論では、私たちの心が「親(Parent)」「大人(Adult)」「子ども(Child)」という3つの自我状態で構成されていると考えます。この構造を「PACモデル」と呼びます。
特に、子ども時代の経験が現在の思考や行動にどのように影響しているかを探る点が、交流分析の大きな特徴と言えるでしょう。この分析を通じて、過去の影響が今のパニック障害にどうつながっているのか?をある程度把握するできます。
ゲシュタルト療法の特長
一方、ゲシュタルト療法は、身体感覚や非言語的な表現に注目するアプローチです。
ドイツ出身の精神科医フレデリック・S・パールズが提唱しました。この療法では、言葉だけではなく、表情や姿勢、仕草なども大切な情報と捉え、感情や身体的な反応を丁寧に扱います。
パニック障害に適したポイント
「TA・ゲシュタルト療法」は理論面で交流分析を、技法面でゲシュタルト療法を活用しています。この組み合わせが、パニック障害の改善において大きな効果をもたらします。
感情に向き合うアプローチ
パニック障害という心の病には切っては切れないものとして不安や恐怖といった感情が存在しています。
この療法では「今、何を感じているのか?」という点に焦点を当て、感情を整理し解放する手助けをするんですね。
例えばですが「パニック発作が起きるかも・・・」という思考から湧き上がる感情はなにか?そこのフォーカスし、感情そのものにアプローチします。
過去の影響を理解する
幼少期の体験というのは良くも悪くも現在の思考パターンに影響していることが多々あります。
交流分析を用いることで思考パターンにある影響を意識化し、現在の課題に取り組む土台を作ります。
身体感覚を活用する
ゲシュタルト療法の技法では、身体感覚が感情や心の動きと密接に結びついていると考えてます。
例えばですが、パニック発作時に感じる胸の締めつけ感や呼吸の苦しさに意識を向け、その背後にある感情に気づいていくことを優先します。
TA・ゲシュタルト療法で期待できる効果
TA・ゲシュタルト療法は、クライアントの状態や状況に応じて柔軟に使用されます。以下にあげるようなケースで特に有効です。
■幼少期のトラウマが原因のパニック障害
過去の体験が今の不安や恐怖に結びついている場合、その影響を明らかにします。
■感情を整理できない場合
発作時の混乱した感情を整理し、不安の根本を理解する助けになります。
■自分自身を深く知りたい場合
感情や身体感覚に向き合うことで、自己理解が深まり、回復への道筋が見えてきます。
「TA・ゲシュタルト療法」は、パニック障害を抱える方が感情と向き合い、不安や恐怖を和らげるための効果的な手法です。
この療法は、過去の影響を理解しながら、「いまこの瞬間」の感情にアプローチすることで、改善への大きな一歩を踏み出す手助けをします。
TA・ゲシュタルト療法はこれまでご紹介した「来談者中心療法」や「認知行動療法」と合わせて、パニック障害を乗り越えるための大切な選択肢となるでしょう。
パニック障害のより良い改善に向けて適したカウンセリングを選び、改善へ真っすぐ進んでいきましょう。