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パニック障害の改善に向いているカウンセリングその②/認知行動療法|PD改善研究所
パニック障害専門カウンセラーの三木ヒロシです。
パニック障害に適したカウンセリング方法ということで、前回は「来談者中心療法」についてお話しました。
過去記事↓↓↓↓
パニック障害の改善に向いているカウンセリングその①/来談者中心療法
この療法では、積極的傾聴や、自分に起きていることをそのまま受け入れるという姿勢を重視していました。
今回は、パニック障害のカウンセリングで用いられることが多い技法の一つ、認知行動療法について詳しくご紹介していきますね。
認知行動療法とは?
認知行動療法(Cognitive Behavioral Therapy: CBT)は、心理カウンセリングの分野で非常に広く知られている方法です。
もしかしたら、あなたも名前を聞いたことがあるか、あるいは実際に受けたことがあるかもしれませんね。
認知行動療法は、大きく分けて二つの療法、“認知療法”と“行動療法”を組み合わせたものです。それぞれの特徴を見ていきましょう。
認知療法について
認知療法では、クライアントが持つ誤った認識や、マイナス思考のパターンを修正することを目指します。具体的には、以下のようなアプローチをおこないます。
■歪んだ認知の修正:事実とは異なる思い込みや偏った考え方を見直し、現実に即した認識へと導きます。
■不安や苦しみの軽減:認知の歪みを正すことで、身体症状や心の負担が和らぐ効果があります。
例えばですが、
“外出するとまた発作が起きてしまうに違いない”
という確信に近い思い込みに対し、
“発作は起こるかもしれないけれど、すべての外出で必ず起きるわけではない”
と発想を柔軟にし考え直すことで、不安感を和らげる働きがあります。
また、認知療法では「自己評価の見直しも」重要です。
たとえば、
「自分は失敗ばかりしている」
と感じている人に対し、
「実際には成功していることもある」と気づかせ、前向きな自己イメージを育てるサポートを行います。
行動療法について
行動療法は、実際の行動を通して改善を図る方法です。以下のようなステップを踏みながら進めます。
1.目標設定:最初は簡単な行動から始めます。
(例)近所の本屋やコンビニに行ってみる。
2.段階的な行動:徐々に挑戦する範囲を広げていきます。
(例)公園を散歩する、少し遠くの場所に足を運ぶ。
3.成功体験の積み重ね:小さな成功を何度も体験することで、自信をつけていきます。
このようにして、クライアントが段階的に安全に、そして無理なく行動範囲を広げていけるよう、カウンセラーが的確なサポートしていきます。
また、行動療法では「エクスポージャー法(暴露療法)」と呼ばれる技術がよく使われます。これは、恐怖や不安を引き起こす状況に段階的に慣れていく方法で、パニック障害の克服において非常に効果的です。
認知行動療法の特徴
認知行動療法は、認知療法と行動療法を組み合わせたものです。
たとえば、マイナス思考の修正と並行して実際に行動に移すことで、“できる”という体験を積み重ね、自信を積み重ねていくんですね。
この療法のもう一つの特徴は、目標に向けた計画的なアプローチです。行動のステップやタイミングをカウンセラーと一緒に計画することで、無理なく継続できる仕組みを作ります。
さらに、クライアント自身が自分の思考や行動の変化を記録し、それを見直すプロセスも含まれるので、達成感を実感しやすくモチベーションも高まります。
行動に移す際のポイント
誰でもそうですが、いざ行動に移す段階になるとどうしても不安や躊躇が生まれるものです。
そのようなときには次のようなことを意識してみると良いでしょう。
■夢や目標を明確にする:“自分の夢や願望を叶えるために”行動するという意識を持つ。
■小さな目標を設定する:いきなり大きな一歩ではなく、無理をしない範囲で、少しずつ一歩ずつ挑戦する。
■自分を褒める:たとえ小さな前進でも進歩でもそれをしっかりと受け入れ、成功体験として積み重ねていく。
たとえ小さな目標でも、パニック障害を改善することでやりたいことが増えるはずです。その願いを叶えるためには、一歩ずつ進んでいくことが大切なんですね。
また、行動に移す際には、家族や友人のサポートを得ることもとても効果的です。
自分一人で抱え込まず、周囲に頼ることで安心感が生まれ、行動への一歩を踏み出しやすくなりますよ。
心理カウンセラーとしてのサポート
認知行動療法を進める際には私もクライアントと一緒に行動し、隣で寄り添いサポートをします。
一人で不安を抱える必要はありません。共に改善への道を歩んでいきましょう。
さらに、必要に応じて、具体的なアドバイスや心理教育を提供することもあります。
たとえば、発作のサインを早めに察知して対処する方法や、リラクゼーション技法を用いて不安を和らげる方法などをお伝えしています。
今回は、パニック障害に適したカウンセリング方法の一つである認知行動療法についてお話しました。
この療法は、マイナス思考を変えながら実際の行動に移すことで、克服へのステップを踏み出せる強力なサポートとなります。
認知行動療法は思考と行動の変容を起こし自分自身を変化させていくので、新しい人生のスタートとしてより豊かな生き方への手段とも言えます。新たな可能性を見つけるきっかけとなるでしょう。
次回は、3つ目のカウンセリング方法について詳しくお話していきますので。どうぞお楽しみに。