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PATCHWORKLIFE
2020年6月18日 20:54
まただ。また今日も彼女は座っている。ボクは怪訝な顔をしていたわけではない。大丈夫かな、と心配していた。彼女との出会いは、ふとしたことだった。ボクたちがいつものように朝回診をしていると、顔を赤らめながら、何やらこちらをチラチラ見ている人がいた。同僚が担当している患者さんだった。患者としての彼女は、退院した後もちょくちょくボクの外来の日に病院にやってきては、整然と並んでいるその椅
2020年6月15日 00:06
子供の頃からボクはかなりヤンチャで、毎日のようにケガをしていた。毎週土曜日は、親友の大輔の家でピアノ教室があって、ボクは大輔たちと一緒にピアノを習っていた。その時間の前は、いつも大輔の家で遊ぶのが恒例で、その日も大輔と大輔の妹の3人で、自転車で坂を下って遊んでいた。その日は雨がパラパラ降っていた。ボクはかなりふざけていた。大輔→大輔の妹に続いて坂を下ろうとした時に、普通に下
2020年6月11日 08:58
六月、紫陽花がそこはかとなく咲き誇る頃。 自分の誕生日は暦の上では梅雨入りで、その日に降る雨が嫌いだった。雨とは、どこか切ない感じと、気持ち的に、誕生日は晴れていてほしいという思いがあったからだ。誕生日はいつも傘をさしていたことを覚えている。ボクは子供の頃からピアノを習っていた。その頃からだ。降っている雨は音符に見え、雨が打ち付ける音は、絶対音感としてドレミファソラシ
2020年4月14日 07:06
病院を出ると、雨だった。 腕時計を一度見て、空を仰いだ。雨か、、、。 午前0時。 日付けが変わろうとする頃、辺りは当に真っ暗だった。 それどころか、自分は今日の天気も知らずに働いていた。しばらく、もぐらになっていたみたいだ。 少し寒いな。 雨のせいもあって吐く息は少し白く、暖かい病院の中で白衣から私服に着替えた後、肘までまくっていた薄手のパーカーの袖は、