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チック症と向き合う〜漢方治療の効果〜




【チック症の始まり】

幼稚園の年少の秋頃、長男にチック症状が現れました。首を振ったり、目をパチパチさせる動きが見られたのです。発達センターの外来で医師に相談したところ、「運動会やお遊戯会、遠足などの行事が続き、集団での練習が増え、自由に遊べる時間が減ったことがストレスになったのではないか」と言われました。


私は、日頃から長男を叱ることが多かったため、「自分の接し方が原因で発症させてしまったのではないか」と、とても落ち込んでいました。しかし、医師から「かつては親の育て方が原因だという説がありましたが、決してそんなことはありません。お母さんが愛情をしっかり注いでいても、チックは起こりうるものです」と言っていただき、その言葉にとても救われました。


【抑肝散での治療とその効果】


医師から「チックの症状が気になるようであれば、漢方薬を試してみましょう」と言われ、「抑肝散」が処方されました。抑肝散を服用し始めると、チックの症状が少し軽くなったように感じました。
季節の変わり目や行事がある時期には症状が強くなり、それが終わると落ち着く、といったサイクルを繰り返し、幼稚園年中の終わり頃までは日常生活に大きな支障はなく経過しました。



【「チックをする子にはわけがある」を読んで】

療育の先生に勧められ、「チックをする子にはわけがある」を読みました。本書には、チック症の特徴や発症のメカニズム、実際のケーススタディが紹介されており、具体的な対応方法についても学ぶことができました。特に、チック症は心の病ではないという点を明確にし、子どもや保護者の気持ちに寄り添う優しさが感じられる内容でした。

もしお子さんのチック症に悩んでいる方がいれば、ぜひ一度手に取ってみてほしいおすすめの1冊です。



【年長になっての症状悪化】


年長になってから、長男のチック症状が徐々に悪化しました。首を振る、目をパチパチさせるといった運動性チックに加えて、「ふうーふうー」という高い声が無意識に出る音声チックも見られるようになりました。


おしゃべりをしている最中に突然声が出て、話を続けられなくなることもありました。幼稚園で先生が絵本を読んでいる時、大きな声が出てしまい、それをお友達に真似されて傷ついて帰ってきたこともあります。また、電車などの公共の場でも声が出てしまうため、それがストレスとなり、家に帰ると普段は穏やかな長男が「チックのばかやろー」「チックをなくしてー!」と大声で怒ることもありました。


チック症状が悪化した原因ははっきりとはわかりませんが、医師に相談したところ、学童期の10歳前後に症状がピークを迎え、その後は徐々に軽くなることが多いと教えてもらいました。おそらく年齢的な変化によるものだろうと言われました。



【リスペリドンの処方と抵抗感】


抑肝散を増量してみましたが、効果は見られず、医師からは抗精神病薬のリスペリドンが処方されました。私は外科病棟で看護師として働いていた経験があるため、この薬の名前には馴染みがありました。統合失調症の幻覚や妄想、手術後のせん妄症状など、患者さんの錯乱状態を鎮めるために使用される薬です。そのため、長男にこの薬を服用させることには強い抵抗感と不安がありましたが、彼の辛さを和らげるためには仕方がないと思い、服用を決断しました。


リスペリドンの服用を始めた後、一時的に効果がみられましたが、長くは続かず、再び症状が悪化してしまいました。医師に相談し、リスペリドンを増量しましたがそれでも効果はみられず、何か他に方法がないかと、本やネットで必死に情報収集をしました。


【漢方外来への希望〜大柴胡湯の処方〜】

そんな中、同じ療育を利用しているママ友に相談してみたところ、知り合いのお子さんがチック症で、東洋医学の専門クリニックに通い、漢方薬で症状が改善したという話を聞きました。
しかし、そのクリニックは新幹線を使わないと行けないほど遠方だったため通うのを断念し、代わりに家から通える漢方専門の外来を探し、そちらを受診することにしました。

漢方外来で、先生に長男のチック症状やこれまでの治療歴、ASDによるこだわりの強さや切り替えの難しさ、対人関係の苦手さについてお話しました。診察中も、長男は漢方に興味を示し、先生にいろいろと質問をしたり、丸椅子に座ってくるくる回ったりと、落ち着きのない様子でした。


そんな長男の姿を見た先生は、「チック症やASDだけでなく、ADHDの特性も見られますね」と指摘しました。そして、「〇〇くんは好奇心が旺盛で、とても素晴らしいですね。まるで研究者のようなタイプです。お母さん、こうした良い特性をぜひ伸ばしてあげてください」と、優しく声をかけてくださいました。


診察の結果、長男の体質には「大柴胡湯」が合っているとのことで、処方してもらいました。

先生の話では、大柴胡湯に含まれる「柴胡」という成分が、チック症やASD、ADHDによる癇癪、ストレス、不安などにも効果があるとのこと。
柴胡は抑肝散にも含まれているが、含有量は少なく、効果の強さを例えるなら、抑肝散が「末っ子」くらいの穏やかな薬なのに対し、大柴胡湯は「お父さん」くらいのやや強めの漢方薬であると、わかりやすく説明してくれました。長男の体質に合った漢方薬なので副作用も心配なく、子どもでも飲めるとのことでした。


大柴胡湯は飲みにくいので、ヨーグルトなどに混ぜて服用しても問題ないと言われました。まだ幼稚園の幼い長男が、顔をしかめ、「まずい」と文句を言いながら我慢して飲んでいる姿はとても健気にうつりました。「偉いね、よく頑張っているね」とたくさん褒めてあげました。

大柴胡湯の服用を始めてから一週間が経過した頃、長男の運動性チックはほとんど見られなくなり、音声チックも徐々に改善してきました。時々声が出る程度で、日常生活に大きな支障がなくなり、以前に比べてだいぶ安定してきました。

何よりも、長男自身のストレスが軽減したようで、彼に合った漢方薬に出会えて、本当に良かったと思っています。

チック症やASD、ADHDに対する治療薬としては、抑肝散やリスペリドン、コンサータなどが一般的に知られています。しかし、こうした薬で十分な効果が得られない場合、漢方薬を試してみるのも一つの選択肢です。漢方は体全体のバランスを整えながら、ゆるやかに症状の改善をサポートするため、体への負担も少なく、標準的な治療が難しいと感じる時は、漢方のアプローチを考慮してみるのも良いかもしれません。




【漢方薬についてのオススメの本】


『うつに効く 心の病に漢方薬』著者 原田智浩

漢方専門医である原田氏が書き下ろした漢方専門書です。漢方の「全身を整える」という考え方が、心の不調や発達障がいの根本的なサポートにつながる可能性を感じさせる1冊です。漢方に興味のある方は是非手にとって読んでみてください。


🍀おわりに

今回の記事では、長男が幼稚園年長の頃までのチック症の経過と治療法についてお伝えしました。
小学校に上がってからの様子については、折をみて書いていきたいと思います。

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同じような境遇の方や、少しでも悩んでいる方にとって、参考になる情報をお届けできるよう頑張りますので、

引き続きご覧いただけると幸いです😊🍀






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