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棘上筋 VS 棘下筋
▼ 文献情報 と 抄録和訳
マウス腱板の神経と腱の損傷後、棘下筋では棘上筋よりも外側と内側の線維-脂肪変性が大きい
Wu G, Hu VJ, McClintick DJ, Gatto JD, Aderibigbe T, Lu L, Jensen AR, Dar A, Petrigliano FA. Lateral to medial fibro-adipogenic degeneration are greater in infraspinatus than supraspinatus following nerve and tendon injury of murine rotator cuff. J Orthop Res. 2021 Jan;39(1):184-195.
[ハイパーリンク] DOI, PubMed(Full text), Google Scholar
[背景]
腱板大量断裂の小動物モデルは10年前に登場し、慢性的に損傷した腱板の病態生理を研究するために広く用いられてきた。ネズミの肩甲上神経と腱を切断すると、筋萎縮、線維化、脂肪蓄積が進行し、棘下筋と棘上筋に影響を及ぼすが、これはヒトの大規模なRC断裂で見られるものと同様である。本研究の目的は、慢性的に損傷を受けた棘下筋と棘上筋の表現型の違いを比較しながら、線維性瘢痕と脂肪組織の発達の速度を包括的かつ詳細に分析することである。
[方法]
筋損傷の空間的な不均一性を定量化するために、棘下または棘上の切片全体の大きな画像を作成するために、自動モザイク画像を使用した。
[結果]
病理学的変化は、切断部位の外側から内側に向かって進行していた。棘下筋の損傷では、棘上筋に比べて筋の線維化と脂肪の蓄積が顕著に促進された。さらに、脂肪組織の占める面積は、両筋ともに線維化組織よりも有意に大きかったが、損傷導入後6週間以内では、棘下筋の方が大きかった。
[結論]
この結果から、棘下筋は慢性的な変性が促進されやすいことが確認され、大規模断裂の際に棘下筋と棘上筋の反応を区別する生理学的機能を特定することができる。マウスで観察されたこれらの病理学的な違いがヒトでも反映されるかどうかは、今後の解明が待たれるところである。
▼ So What?:何が面白いと感じたか?
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✅同じ腱板構成筋内であっても、線維化と脂肪変性の程度が異なることは興味深い。また、棘下筋は慢性的な変性が促進されやすいということは、フォースカップルとして働く肩甲下筋の機能障害も生じやすいのではないかとも推察できる。
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棘下筋の機能解剖に関しては、以下の記事で分かりやすく解説されている。
棘下筋自体の変性に着目するとともに、関節包、筋膜連結といった関係も合わせて考えるとより臨床に活かしやすいだろう。
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医療従事者と研究活動における道徳感についても記事にしていますので良かったら読んで頂けると嬉しいです。
最後まで読んで頂きありがとうございます。今日も一歩ずつ、進んでいきましょう。
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