見出し画像

低強度のスクワットでも筋肥大が生じる?

▼ 文献情報 と 抄録和訳

8週間の低強度スクワットトレーニングを低速で行うと、膝と股関節の屈曲・伸展力が同時に向上する

Akagi R, Sato S, Hirata N, Imaizumi N, Tanimoto H, Ando R, Ema R, Hirata K. Eight-Week Low-Intensity Squat Training at Slow Speed Simultaneously Improves Knee and Hip Flexion and Extension Strength. Front Physiol. 2020 Jul 24;11:893.

[ハイパーリンク] DOI, PubMed(Full text), Google Scholar

[背景・目的]
スクワット運動が膝関節と股関節の屈曲・伸展を必要とすることを考えると、スクワット運動に基づいたレジスタンストレーニングプログラムは、膝と股関節の両方の屈曲・伸展筋力を効率的に向上させるはずである。しかし、我々の知る限り、スクワットトレーニングが膝と股関節の両方の屈曲・伸展筋力に及ぼす影響を同時に調査した研究はない。ゆっくりとした速度で低強度のスクワット運動を行うことで、幅広い人の膝と股関節の屈曲・伸展筋力を効果的かつ安全に向上させることが期待できる。本研究では、低速での8週間の低強度スクワットトレーニングプログラムを行った後に、膝と股関節の屈曲・伸展筋力が向上するかどうかを明らかにすることを目的とした。

[方法]
トレーニングをしていない若い男性24名を、トレーニング群と対照群に無作為に割り付けた。トレーニング群の参加者は、40%の1回反復最大パラレルスクワットを、低速で(4秒間のコンセントリック/エキセントリックアクション)、週3日、8週間行った。介入前と介入後に、最大随意契約(MVC)時の膝関節屈筋と股関節伸筋の等尺性ピークトルクを測定した。また,膝関節屈筋と股関節伸筋については、筋量も測定した。

[結果]
トレーニングによるピークトルクの増加は有意であった(P < 0.05)。膝関節および股関節の伸展トルクに対するトレーニング効果(効果量=0.36-0.38)は、膝関節および股関節の屈曲トルクに対する効果(効果量=0.09-0.13)よりも高かった。今回使用したスクワットトレーニングは、膝・股関節の屈曲筋力と伸展筋力の両方を向上させたが、屈曲筋力に対するトレーニング効果は伸展筋力に対するトレーニング効果よりも低かった。膝伸展筋については、神経筋の適応を伴わない、トレーニングに関連した有意な筋量の増加が認められた(P<0.05)。また、トレーニングによる筋体積の増加とKEのピークトルクとの間には、有意な相関関係が認められた。

[結論]
以上の結果から、低速で8週間の低強度スクワットトレーニングを行った後の膝伸展筋の筋力増加には、筋肥大が関与している可能性が示唆された。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

○●━━━━━━━━━━━・・・‥ ‥ ‥ ‥

✅今回の研究ではスクワットを8週間、週3回行っているが、1回のトレーニングは8回×3セット、セット間の休息は3分と、若い男性にとって低負荷である。そうしたトレーニングであっても筋肥大を認めていることは興味深い。一方、こうした変化が高齢者や女性であった場合はどうであるのかは気になる。スクワットは世間一般にも広く知られるトレーニングの一つであるから、こうした情報を細かく知っておくことは患者教育の際にも大切になるだろう。

○●━━━━━━━━━━━・・・‥ ‥ ‥ ‥

良質なリハ医学関連・英論文抄読『アリ:ARI』
こちらから♪
↓↓↓

最後まで読んで頂きありがとうございます。今日も一歩ずつ、進んでいきましょう。

○●━━━━━━━━━━━・・・‥ ‥ ‥

いいなと思ったら応援しよう!

ミントライム
少しでも参考になりましたら、サポートして頂ければ幸いです。