リハビリ中の聴覚刺激
▼ 文献情報 と 抄録和訳
40Hzのバイノーラルビートが注意力の瞬きを軽減するトレーニングを強化
[ハイパーリンク] DOI, PubMed(Full text), Google Scholar
[背景]
本研究では、両耳ビート刺激が注意喚起瞬き(AB)課題の訓練成果を促進するかどうかを検討した。AB課題とは、RSVP(rapid serial visual presentation)において、先行する標的T1を確認した後、標的T2を検出するまでの時間を指す。バイノーラルビート(BB)は、神経振動を同調させ、認知機能をサポートすると想定されている。
[方法]
参加者を2つのグループに分け、クロスオーバーデザインで、その後の3日間、ABタスクを行いながらBB音を提示した。A群は初日に40Hz、2日目に16HzのBB音を提示し、B群はビート周波数の順序を逆にし、3日目は音を提示しなかった。
[結果]
MEG記録では、40HzのBB刺激ではガンマ振動の強い同調が、16HzのBBではガンマの同調が小さいことが確認された。視覚刺激のリズムは後頭部のMEGセンサーに10Hzの振動を誘発したが、その大きさはどちらのBB周波数でも同様であった。ABのパフォーマンスはセッション内では上昇しなかった。しかし、参加者はセッション間で改善し、全体的な改善は両群で同等であった。A群は2日目よりも1日目の方がより向上した。一方、B群は、初日の16Hzの刺激よりも2日目の40Hzの刺激の方がより多くの利益を得た。
[結論]
以上のことから、トレーニング中に40HzのBB刺激を与えると、トレーニングの成果が加速することがわかった。この改善は、すぐにではなく、睡眠中のコンソリデーション後に明らかになる。したがって、聴覚拍動刺激は、トレーニングや学習を強化するための非侵襲的な脳刺激の方法として有望であり、リハビリテーション訓練に適している。
▼ So What?:何が面白いと感じたか?
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✅ここ最近、バイノーラル・ビートの記事をいくつか載せた。
ここで気になったのは、”リハビリテーションにどのように応用するか”という点と、”リハビリテーションにおいてどのようなバイノーラル・ビートが有効か”という点である。
今回の論文は、バイノーラル・ビートを聴きながら課題を行うことで注意力が向上し、トレーニングや学習効果が高まることがわかった。さらに、40Hzのバイノーラル・ビート刺激がより良い、ということもわかった。
自主練習を行ってもらう際に、40Hzのバイノーラル・ビートを聴きながら行ってもらうのも効果的かもしれない。
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