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【ヤベ、超欲しい!!ついやってしまう衝動買いをやめる方法】

衝動買いをしてしまう要因とは?

私たちは、物を購入する予定は全くないのにも関わらず、商品を見ているうちに、だんだんとその商品が欲しくなってしまい、つい買ってしまうことがあります。それは誰にでも起こりうることです。


ほとんど使わずに、捨てられない状態になってしまったと言う経験はありませんか?。著者は、学生の時真っ赤なコートを勢いで買ってしまったものの、あまり気に入らなくて、ほとんど着なかった経験があります。ではこういった、つい衝動買いをしてしまう要因とは何なのでしょうか?


(1)の研究によると、下記の14個の要因が衝動買いに正の相関があると示唆されています。(図1)

この図1を相関関係の高いものからランキング付けをすると図2になります。

下記の表1にて、用語の説明をします。

衝動買いを抑える方法トップ3

1.意思決定プロセスの欠如

購入行動における「意思決定」とは

  1. 問題認識「これが必要だ。」と気づくこと

  2. 情報探索「どこで売っているか?」と探すこと

  3. 代替案評価「どの商品が良いか」比較すること

  4. 選択・購入「これにしよう」と決めること

  5. 購入後評価「良い買い物ができた」と評価をすること


このような流れの事を言います。このようなプロセスを無視してしまうと、衝動買いに走ってしまいます。


衝動買いをする要因は、この流れを無視して、必要だと思ったらすぐに買ってしまうことです。今日だけ割引されているとか、計画外の行動をしてしまう確率が高い状況ほど、衝動的な行動をとる可能性が高くなります。


これから買うものが本当に必要なのか?というような疑問を持ち、時間をかけて考えましょう。これだけでも衝動買いを抑えられる可能性があります。衝動買いをする可能性を減らすための質問リストは、後述します。


2.消費者の衝動性

衝動性とは、悪い結果になってしまうかもしれない行動を、あまり深く考えずに行ってしまう行動特性、または欲望を抑えられず、行動に移してしまうことです。


この衝動的な行動を抑制してくれるのがセルフコントロールです。

「セルフコントロールが得意」とはどういうことなのか「葛藤解決が得意」と「目標達成が得意」に分けた概念整理”より引用

セルフコントロールが高いと、衝動的な行動が抑えられるだけでなく、学業、就労、対人関係、幸福の高さ、心身の健康といった幅広い分野に関連していて、社会的に望ましい特徴を示すことが報告されています。


セルフコントロールが高い人の特徴として、長期的な目標にもとづく行動に価値を高く置き、その行動を習慣化しています。


(2)(3)の研究で、セルフコントロールを高める方法が分かりました。下記のとおりです。


  1. ソーシャルトレーニング(d=0.64)

  2. 運動(d=0.43~0.50)

  3. 瞑想・ヨガ(d=0.40)


3.物質的消費

物質的消費とは、所有物、権力、地位の誇示を目的とした消費のことです。


(4)の研究でも物質主義は、問題のある金融行動と関連しており、貯蓄額が低い傾向にあります。逆に、物質主義の減少は、貯蓄や予算編成に関連し、生活満足度と金銭的満足度にも関連しています。


物質消費傾向が高まると、金銭障害のリスクが上がり、生活満足度と金銭的満足度が低くなる可能性があります。


悪い物質主義から、良い物質主義に変える

(5)(6)によれば、悪い物質主義は「最終物質主義」と呼ばれ、お金や持ち物を利用して自分の地位を上げたり、権力を持ったり、羨ましがられたりしようとする傾向にあります。この場合、幸福度を押し下げます。


良い物質主義は「手段としての物質主義」と呼ばれ、物を利用して、それぞれの価値や目標を達成しようとします。つまり、お金が欲しいのは安全のため、または家族を支えるためにお金が欲しい。という動機づけが大事ということです。


認知行動療法で衝動買いを抑えられる

(7)(8)(9)によれば、認知行動療法とは、自分の心の状態や関連性を知り、それを変えられるという実感を通して自ら制御する力をつけていく自己コントロール法である。と書かれています。


前述の通り、衝動買いをしてしまう要因は衝動性であり、衝動性を抑える方法はセルフコントロールを高めることです。


認知行動療法を行うことでセルフコントロールを高めることができれば、衝動性を抑えられて、衝動買いをする可能性が低くなります。


マネースクリプトでも認知行動療法が役立つと書きましたが、ここでも大活躍してくれます。


また、集団で行う認知行動療法も効果があることが分かっています。こちらもお試しください。


認知行動療法を実践したい人にオススメのリンクはコチラ。
書籍:「ワークシートで学ぶ問題解決療法」
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衝動買いを減らすための質問リスト

一般

  • 商品を買う目的は何ですか?

  • いつ買い物をしていますか?

  • どこで買い物をしていますか?

  • どのくらいの時間を買い物に費やしますか?

  • 支払方法はどうしますか?

  • 金額の上限はどのくらいですか?

  • 以前買った商品に何を感じますか?

  • それは必要でしたか?

  • 買わない場合どうなりますか?

  • どれくらいの商品があれば十分ですか?

  • 物を買うことで成し遂げたいことに近づいていますか?


課題と展望

  • どんな問題を解決したいですか?

  • あなたが成し遂げたいことはなんですか?

  • 1年後どうなっていたいですか?

  • 何でも達成できるとしたらどうしたいですか?

  • 優先順位の最も高い目標はなんですか?

  • その目標はワクワクしますか?


解決行動

  • 目標を達成するための手段は何がありますか?

  • 目標達成するうえで活かせそうな経験はなんですか?

  • 目標達成するうえで助けてくれそうな人は誰ですか?

  • 今日から出来ることはなんですか?

  • いつまでに、どのくらい行いますか?


感情

  • 達成したらどんな気持ちになりそうですか?

  • 達成したらどんな良いことがありますか?

  • 達成したらどんな1日になりますか?


これらの質問により、自分はどういう時に衝動買いをしやすくなるのかというトリガーを特定し、トリガーを引かないための対処法を考え、自分の欲求を他の手段で満たす方法を探すことが可能です。


これらの質問を通して、週に1度、自身で買い物の目的や目標を自分で定め、モニタリングを行い、自分に対してフィードバックをするのがオススメです。できれば12週間行いましょう。


自身で行うのが難しい場合は、パートナーやカウンセラーと行うのが良いでしょう。集団認知行動療法でも効果が出ることが分かっています。


まとめ

  • 衝動買いを抑えるには、意思決定、衝動性、物質的消費を抑えることが重要

  • 意思決定を抑えるには、認知行動療法がオススメ

  • 衝動性を抑えるには、ソーシャルトレーニング、運動、瞑想・ヨガがオススメ

  • 物質的消費はを抑えるには、「最終物質主義」から「手段としての物質主義」にシフトしよう

  • 全体的に認知行動療法がオススメ

おまけ【集団認知行動療法ケーススタディ】

ローレンは、すでに100個以上の財布を持っていたのにもかかわらず、財布が売られていると、買わずに通り過ぎる事が出来なくなりました。天然繊維以外の素材に、ひどい皮膚アレルギーを持つローレンは洋服の選択肢が限られてしまいました。


この影響により、カラフルなバックやスカーフ、ジュエリー、靴などのアクセサリーを楽しみたいと思ったのです。


これらのアイテムは服とは違い、どんなものでも試着室に踏み入れる必要がないため、購入の決断に迷いがありませんでした。


​ある時、夫のフィルと一緒に狭いアパートに引っ越しました。引っ越した先は非常に整理整頓されていて、ローレンは厳格な夫に対し不満や怒りを激化させ、脅迫的な消費をしていきました。


ローレンは受動的な専業主婦の母と、気性が荒く仕事人間の父のもとで生まれ、8歳上の姉、1個下の弟がいました。


母親は子どもたちの不始末を怒鳴り、姉は若くして結婚し、弟は母親に暴力を振るうようになりました。ローレンも19歳でフィルと結婚をして、一家から離脱しました。


ローレンは、ショッピングサポートバディというプログラムに参加しました。


ショッピングサポートバディとは、買いすぎを止めようとする人をサポートするプログラムです。


集団に対し認知行動療法を行い、毎週目標を立て、それを達成するのを支援し、プログラム中に学んだことや観察したことを再確認します。


そして目標の重要性を評価し、なぜそれが重要なのかを尋ね、目標達成するための方法を決定し、障害となりうるものを特定し、それをどう克服するか、この目標を実行するうえでの自信の度合いを評価し実証する。といったことを行いました。


プログラムに参加する前は、20回買い物をし、22時間費やし、30万円以上使いました。


プログラムが始まって間もなく、ローレンは家族と一緒にアムステルダムへの旅行を計画しました。


このときローレンは、「長期休暇」であることを意識して、慎重に計画を立てました。


旅行先での体験や気持ちを忘れないために、旅行先での思い出の品々を写真や日記、心の中の記憶など持ち帰ろうとしました。


プログラムの面接の際、スターバックスでのコーヒーのような小さな買い物にクレジットカードを使わず、デビットカード、現金、小切手のみで買い物をすることを約束しました。


するとローレンは、クレジットカードを利用して得た「特典」を放棄したくないという自身の感情に気が付きました。


クレジットカードを使用することは、支払が遅れる、ポイントがたまる、現金が戻ってくると言ったメリットがありますが、クレジットカードを使わないことで得られる長期的なプラスは、損をするよりもはるかに大きいと自分に言い聞かせました。


そして「このままではいけない」と決意しました。
当座預金の残高オーバーや手数料を取られてしまうことを心配しましたが、これが使いすぎの抑止力となり、定期的に当座預金の残高を確認するようになりました。


そして、お金を貯めることが目標になり、ケーブルテレビの料金を下げ、スマートフォンのデータ通信プランを解約し、何週間も前から調べていたタブレット端末を購入するのを我慢しました。


ローレンは、衝動的に買い物をし、その証拠を隠そうとレシートを破り捨て、自分の否定を強め、買い物のし過ぎによる辛い余韻を消そうとする傾向がありました。


しかし、ハンドバッグを買い続けることは、自分の心の中にある「空っぽの黒い穴」を埋めようとする「ひどく見当違いな試み」であるという認識を強めました。


つまり「私が本当に必要としているものは、自分や他人との本物の、誠実な、健康的な、精神的つながりであり、そのつながりを得るために財布をいくら買っても足りない。」ということです。


その健全なつながりを育むために、ローレンは毎日少なくとも1時間、人生を豊かにする活動を行うことにしました。例えば、笑ったり、ヨガをしたり、愛犬と遊んだりすることが、彼女のリストの上位に挙げられていました。


プログラムを終えてから3年後、2週間に1時間未満しか衝動買いをしませんでした。


参考文献

Antecedents and consequences of impulse buying: a meta-analytic study
衝動性が意思決定に及ぼす影響に関する実験的検討
Effectiveness of Universal Self-regulation–Based Interventions in Children and Adolescents
Effects of Acute Aerobic Exercise on Cognitive Flexibility Required During Task-Switching Paradigm
Materialist values, financial and pro-environmental behaviors, and well-being
Money and subjective well-being: It's not the money, it's the motives.
It's Not the Money, it's the Quest for a Happier Self: The Role of Happiness and Success Motives in the Link Between Financial Goals and Subjective Well-Being
熊野宏昭-認知行動療法
子どもと若者のための認知行動療法入門
認知行動療法の理論と基本モデル
Financial Therapy Theory, Research, and Practice
Stopping Overshopping: A Preliminary Randomized Controlled Trial of Group Therapy for Compulsive Buying Disorder
Predictors of response to cognitive behavior therapy for obsessive-compulsive disorder
書籍「ワークシートで学ぶ問題解決療法」
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早稲田メンタルクリニック:認知行動療法が自分でできるワークブック

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