
69.【パラレル・ワールド:気紛れターミナル】
68.【巨人族】の夢を見てから数日後の夢は……
アッチノ世界の学校の中から始まった。
カップラーメン島の夢に出てきた保健室。
その隣にアタシ専用の部屋が出来たらしい。
部屋には机とイスにパソコン、学校にありそうな大きなプリンター、それと小型の冷蔵庫まで置いてあった。
その部屋でボーッと過ごしていたら、後輩だという女の子達が何人か入ってきて、見せたい物があるから来てと言われてついて行ってみた。
連れてこられたのは前の夢で数学のテストをやっていた教室だった。
場所は同じだけど教室の中は違うようで、今回は美術室になっていた。
なぜかその教室の床にはペンキか絵の具が撒かれていて、男の子達が冷凍マグロのように滑っている。
凄くシュールな光景。
その男の子達を無視して女の子達は奥へ進む。
ついて行くと少し広い部屋があった。
中へ入ると、正面に巨大なシャボン玉みたいな透明の膜があった。
何かの境い目のように部屋いっぱいに膜が張られている。
その奥にはガラス張りの通路と、通路の入口が見える。
「先輩! あの中にいる人知ってるでしょ? あの人が飼っている猫に会いたいって言ってたじゃないですか。今なら会いに行けますよ」
後輩は嬉しそうにアタシの背中を押した。
会いたい猫?
そんな猫いたかな……。
そう思いながら通路をよく見てみると、
56.【上さんの家 : 百鬼夜行とお坊さん】の夢で会ったお坊さんが立っていた。
「あっ、あのお坊さん! ってことは、あの通路は上さんの家なのかな?」
ブツブツ言いながら透明の膜を通り過ぎた瞬間――
この奥には猫又のマタさんがいるんだ……と思った。
アッチノ世界のアタシの記憶なのだろうか。
「マタさんに会えるんですね!」
興奮していると
「ここはアナタの足元を道として歩く者達もいます。騒いではいけませんよ」とお坊さんにやんわり怒られた。
足元を見てみると、子鬼のような人形のような、とても小さい何かがウロウロしている。
「すみません。あっ! マタさんに会えるのなら美味しいお酒をお渡ししないと……」
急に思い出して、アタシはさっきいた部屋に慌てて戻ろうとした。
透明の膜の奥には後輩達が見える。
でも、なぜか段々と黒っぽくなっていく。
「すぐ戻ります」
そうお坊さんに言いながら膜を通り過ぎている途中で……
「変わり目に通ったらダメですよ! 決まった時間に通り過ぎないと違う場所に出てしまいます!」
そんな風なことをお坊さんが叫んでいるのが聞こえた。
でも、もう遅かった。
通り過ぎた先は教室ではなく、濃い緑色をした薄暗い建物の中だった。
目の前には映画館の中にありそうな通路がある。
帰れないと思うのが怖くて、アタシは後ろを見ずに通路を進んだ。
突き当たりまで進むと、通路と同じ濃い緑色をしたターミナルのような場所に出た。
その場所に出た瞬間、また夢の中の記憶が蘇ってくる。
あの透明の膜は電車みたいな物で、色んな場所に繋がっている。
決まった時刻に通り過ぎなければ、行きたい場所にはいけない。
そしてアタシがいる場所は、いつものアッチノ世界ではない場所。
パラレルワールドと言えばいいのだろうか。
アッチノ世界にもあって、他の世界にもある。
同じであって同じじゃない場所。
その世界に住んでいる人は様々だから、その場所場所で治安や雰囲気が違う。
アタシが出てしまった世界は、あまり治安がよろしくなさそうな場所だった。
全身緑色の人や、67.【侵入者:肌色の進化】に出てきた肌色の何かみたいなのもいるし、見たことがない見た目の生き物達がウロウロしている。
じっくり辺りを見渡していると……
前にも夢の中で、この場所に来たことがあると思った。
でも、こことは違う世界のこの場所。
アッチノ世界にいる夢の中のアタシと、現実の世界で眠っているアタシの記憶が交差する。
このターミナルの外に出れば知っている場所に行けるかもしれないけど、この世界の知っている場所に行ったって意味が無い。
どうにかアッチノ世界に戻らなきゃ……と悩む。
ふと、ポケットの中に手を入れてみると、小銭と小さな紙切れが出てきた。
黄ばんだ和紙のような古い紙に、数字と何か文字が赤と黒のインクで書いてあった。
これは切符だ。
そう思った途端に、夢の中のアタシは自然と歩き出して、すぐに立ち止まった。
見た先には下りの階段があった。
この階段の奥に、さっきみたいな移動する何かがあるはずだけど、この切符でどこに行けるのかはわからない。
移動するには時間がかかるのか、階段には人が溢れかえっていた。
全然動かないから、階段に座りながら待っていると……
「お嬢ちゃん。そのチケットをワシに譲ってくれないだろうか……」
震えながら話すシャガレ声が聞こえた。
後ろを振り返ると、ボロボロの服を着たお爺さんが後ろにしゃがみこんでいた。
「お願いだぁー!」
今にも抱きついてきそうなぐらい近くに迫ってきた。
慌てて立ち上がると、お爺さんが凄く小さいことに気がついて驚いた。
服もボロボロで髪もボサボサだけど、身なりを整えたら47.【屋根のない洋服屋 : 夜の世界】の夢で助けてくれたお爺さん達に似ていると思った。
お爺さんが欲しがっている紙をどうしようか見ていたら、紙が二枚重なっているのに気がついた。
お爺さんに見えないように手の中でそっとめくってみると、赤い文字で『Free Pass Ticket』と書かれていた。
この切符だったら時間を気にせず指定して行きたい場所に行ける……?
でも、アタシの行きたい場所をなんて言っていいのかもわからない。
もう一枚の方は、もしかするとアタシの行きたい場所の切符なのかもしれないけど、違う場所かもしれないし……。
どちらをお爺さんにあげていいか迷っている間に目が覚めてしまった。
その次の日にもまた夢を見た。
どう始まってどう終わったか覚えていないけど。
気が付いたら、また深い緑色のターミナルにいた。
イスがたくさん置かれた待合室みたいな場所だった。
またここかぁ……。
動けずに悩んでいると、黒いコートを着た巨大な人達が隅に集まっているのが見えた。
あの大きい人達、巨人族かしら?
知っている人がいるかもしれない……
そう思って近づこうとした。
ここまでは覚えていたけど、その後の夢は目が覚めたら忘れてしまった。
あの巨人族の人達も、同じであって違う人なのかもしれない。
そう思った夢でした。
別サイト初回掲載日:2011年 07月22日
#夢日記
#日記
#明晰夢
#異世界
#夢
#怖い夢
#怖い話
#ホラー
#アッチノ世界
#スピリチュアル
#都市伝説
#不思議
#物語
#小説
#人生
#つぶやき
#言葉
#雑記
#ひとりごと
#独り言
#ブログ
#note
#日常
#生き方
#パラレルワールド
#スキしてみて
#習慣にしていること