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49.【マネキンショッピングセンター : 金髪少女とオジサンの謎】

ある日の夢は……
軽トラックに乗った男の人がアタシをある場所へ送ってくれることになった。

アッチノ世界の我が家の周りに、大きく分けて三本の別れ道がある。
そのうちの一つ。
迷路街に繋がっている真ん中の道をトラックで走っていた。

スケルトンハウスを通り過ぎて、更に真っ直ぐ進むと……
今度は十字路の分かれ道が現れる。
十字路の右側は追われる右ロードに繋がっていて、反対の左側は再会ロードになっている。

このまま迷路街に向かっているのかなぁ……。

そう思っていたら、いきなり十字路の右側から巨大な何かが猛スピードで走ってきた。
よく見ると、球体に手足の付いた白黒のロボットだった。
そのロボットは轟音をたてながら、トラックの横をすれすれで通過。

「今の怖かったぁ……」と男の人と顔を見合わせていると、すかさずもう一体通過した。

怖っ。
右から来たってことは大体追いかけてくるんだけどな……。
今日は真ん中の道だから大丈夫なのかな。

なんて考えていたら、男の人がバックミラーを見て一言呟いた。

「やべぇ……」

「何が?」

アタシも後ろを見てみると、通過したはずのロボットがピタリと停まってゆっくり方向転換した。

「キミが追いかけてくるって考えるから!  逃げるぞ」と男の人が叫んだ。

えーアタシのせい……。

驚いている間にロボットが動き出した。
男の人がトラックを真っ直ぐ急発進させたと思ったら、すぐさま急停止。

「なぜ止まる?」

前を見ると、進もうとした方向に別のロボットがもう一体現れた。

「降りるぞ」

男の人はトラックを乗り捨てて右の道へ走る。
アタシも慌ててトラックを降りた。
走りながら振り返った瞬間、ロボットはトラックに突っ込み大炎上。

鼻息を荒くしながら前を見ると、いつのまにか男の人が凄い遠くにいた。

どうにか追いつこうと頑張っている途中……
視界の端っこに真っ白な何かが見えた。
気になって立ち止まると、奥まった所に白い階段があった。
黒羽根さんがいる部屋の階段と似ている気がする。
空に向かって五段ぐらい伸びていて、その先はお風呂に白い入浴剤を入れた時のように、モワモワとうごめいていた。

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この階段を上れば黒羽根さんに会えるかもしれない……。

そう思って二段ぐらい上りかけると、何か視線を感じる。
右側を見てみると、フェンス越しにアパートが建っていた。
このアパートも前に夢で見たことがある。
アパートの二階にアタシが住んでいた夢。
その時は平和な夢だったけど……

今回は違うかもしれないと思った。
フェンスの左端辺りにバーコードヘアのオジサンが立っていた。
何か見張っているのか、フェンスを強く掴みながら睨みつけてくる。

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あんなオジサンいたかな……。

考えていたら、突然誰かがアタシの手を掴んだ。

「こっちに来て」

振り向くと、アタシの後ろに金髪の女の子が立っていた。
アタシの顔をじっと見た瞳は、とても綺麗な青色をしている。
女の子に引っ張られながら追われる右ロードを進むと、そのまま我が家に辿り着いた。
息つく間もなく家の中に入る女の子。
小走りでアタシの部屋に向うと、なぜかアタシの服や下着を引っ張り出して着替え始めた。

「私がいる限り、アナタはあの階段を上ることはできないと思う。アイツが見張り続けているからね。
 私もどうにか帰りたいけど、アナタがいないと帰れないの。だから一緒に来て欲しい」

そう着替えながら説明してくれたけど、よくわからない。

「どうやって帰るの?」

「とにかく私をここの人達に見られないようにして。一緒に隠れながらついて来てくれればいいの」と言って女の子はこちらを見た。

何だかファンタジーな展開になってきちゃったじゃんか……。

一人でドキドキしていたら、外から何か騒がしい音がする。

「こっちに来て」

女の子はまたアタシの手を取ると、洗面所のドアを開けた。
すると、あるはずの洗面所が丸っと無くなっていた。
目の前には食料品が置かれた棚がずらりと並んでいる。

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「スーパー?」

戸惑っているアタシを気にもせず、女の子はどんどん先へ進んでいく。
そのままスーパーを出ると、また見覚えのある光景が……
そこはマネキンショッピングセンターだった。

マネキン人形達が鈍い音をたてながら買い物をしている。

我が家の洗面所とここは繋がっているんだ。

そう驚いていたら、女の子が突然立ち止まった。

「アナタのバッグを持ってくるの忘れた。
 私がドアの外に出たから奴等はいなくなっているはず。ねぇ、戻って取ってきてくれない?
 私はあそこに隠れているから」

そう言い残して、女の子はすぐ側にあった女子トイレに入っていった。

奴等ってなに?
さっきのガヤガヤしてたのかな……

少しビビリながらスーパーの奥にある扉を開けてみると、やっぱり我が家の廊下に出た。
部屋に行くと、あちらこちらにたくさんの足跡が残っていた。

土足かよ。

そんなことを気にしながら部屋を見渡すと、女の子が着ていた服の横にバッグが置いてあった。
中を見てみると、入っている物はいつもと変わらない。
それを持って洗面所のドアを開けると、さっきと変わらずスーパーがあった。

そのままスーパーを通り抜けて、女子トイレに入った。
一つだけ扉が閉まっている。
ノックしてみると、女の子はそっと扉を開けて個室から出てきた。

「ありがとう。急ごう」

二人でトイレの外に出た瞬間――
突然、マネキン人形達が一斉にこっちを向いた。

え? マネキン人形に触れてもいないのになんで?

動けずにいたら、バリバリと何か音が聴こえてきた。
どんどん音が大きくなっていく。

何の音?

気になって前を見ると……
いきなり目の前にいたマネキン人形の体にヒビが入り始めた。
そのままバラバラと崩れていくマネキン人形。
中に詰まっているのか、最初に崩れた顔のあたりから何かが見えてきた。
よく見ようと一歩近づくと……目が合った。
その目を見た瞬間、それはアパートにいた謎のオジサンだと気がついた。
しかも、マネキン人形一体につきオジサンが一人。
あちらこちらからオジサンが出てきて、ちょっと気持ち悪い。

「やっぱりアナタの服を着ていても、見つかるとこうなるか……逃げるよ!」

女の子は叫ぶとアタシの手を掴んで走った。
後ろを見ると、オジサン達がぞろぞろと追いかけてくる。
女の子は振り向きもせず家具売り場へ入った。

「違う……これも違う……」

カーテンコーナーに飾ってあった遮光カーテンを捲りながら、何か呟いている。

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隠れるのかな?

その様子を見ていたら……
「あった!」と女の子は一言叫んで、アズキ色の遮光カーテンの中へ入った。
アタシも一緒にカーテンを潜るとフローリングが見える。
抜け出ると、その先には洋室があった。

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今度はどこ?

ビックリしながら部屋の窓の外を見ると、また見覚えのあるものが見えた。
それは38.【カラクリ屋敷 : トマトの唇】に出てきた巨大なトマトの苗。
前の夢と同じように花壇に植わっていた。

「あれがいるってことは、ここはカラクリ屋敷なんだ……」

夢と夢の繋がりを頭の中で整理していたら、階段を上ってくるような音がする。

さっきみたいにマネキン人形とオジサンみたいな事態になっても困る。

そう思って右往左往していると、女の子はクローゼットの中に入った。

あっ、そこにはトマトの苗が……!

また飛び出してくると思って身構えたけど、普通に静かだった。
それでも気になって中を確認しようとしたら――
「あら。Aちゃん来ていたのね」と後ろから声を掛けられた。
振り返ると前に招いてくれた女友達ではなく、ゴージャスなドレスを着た人が立っていた。
ドレス姿で色っぽく腕を組んでいるから女性に思えたけど、よく見るとオネエ風の男の人だった。

「下でお茶でも飲みましょうよ」

そう言われてもクローゼットの中にいる女の子が気になる。
でも、とりあえず一緒について行こうと思って、階段を下り始めた瞬間に目が覚めてしまった。

続きが気になってすぐ寝てみたけど、続きの夢を見ることはできなかった。

あの金髪の女の子はどうなったのか、そしてなんだったのだろうか……。
女の子とオジサンがいなければ、あの真っ白な階段を上って黒羽根さんに会えるのかもしれない。
でも、女の子をどこかへ帰さなきゃいけない。
そのためには、あのオジサンから逃げ隠れしながら
アッチノ世界に出てくる場所を巡らなきゃ行けないってことだろうか……。

そんなことを暫く考えていた。

マネキン人形からオジサンが出てきたのが、本当に恐ろしかった。


そんな夢でした。


別サイト初回掲載日:2011年 06月12日




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