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Paradeブランドを育てたい

こんにちは、(株)ワシントン靴店 商品部長の北川純子です。
今回は商品のことを書いてみます。商品は調達の仕方で「仕入商品」と「自社開発商品(プライベートブランド)」の2種類があります。それぞれの特徴と、仕入商品とプライベートブランドとをうまく融合している靴業界大手企業の粗利率にも触れてみたいと思います。

商品構成

商品部の数値責任は、1坪あたりの粗利額です。
価格が安くて粗利額が低い商品を、たくさん売って粗利額を積み上げるのか、価格が高くても粗利額が取れる商品をたまに売って粗利額を稼ぐのか、商品政策を具体的に表すのが商品構成です。扱うカテゴリーの種類、品種による価格設定(プライスポイント、プライスレンジ)、品目数、SKU数、在庫足数、陳列場所、陳列方法などの「品揃え」を決定する「商品構成」は商品部の命です。我が社の商品部では、季節ごとに商品構成リストを作成し、店舗へ配布しています。

仕入商品は売れるが価格競争に

靴店の商品の多くは、ナイキなどのグローバルブランドや大手メーカーから買い付けをしている商品(仕入商品)です。展示会に出向き商品選定を行います。このご時世なので、展示会がリモートになる場合もありますが、気に入った商品を注文書に記入すれば仕入ができます。世間での認知度も高く、大手メーカーの作る商品なので、安心して販売ができます。
ただ、仕入商品は、メーカー小売希望価格があり、掛け率(納品価格)が決まっているので、仕入れた瞬間から最大の粗利額は決まっています。なので、なるべく値下げをしなくても売れる、売れ筋商品を仕入れなくてはならないのですが、そうはうまく行きません。
認知度の高いブランドと言えど、ニハチの法則通り、2割の単品が8割の売上(粗利額)を稼ぎます。仕入れた時は全部売れそう!と思っているのに、8割の商品はあまり売れません。世界のイチローでも打率3割なんだから、とバイヤーは3割が売れ筋になれば、御の字といった感じです。※正確には、イチロー選手の終身打率は.353です。
さらに、仕入商品は他社との価格競争に陥ります。ネット販売は顕著です。少しでも価格が安く、ポイントがたくさんつく店舗が「並び替え」機能を使って瞬時に分かってしまいます。粗利益率が低くても、たくさん売って粗利額を積み上げる作戦しかありませんが、他社との消耗戦になることが多く、売上は取れますが、あまり儲かりません。なんなら赤字です。我が社よりも規模が大きく、我が社よりも安く仕入ができる大手企業には太刀打ちできません。

プライベートブランドは売れない?

そこで小売業の最大の武器となるのは、プライベートブランド(以後PB)です。工場やメーカーのソーシング活動、仕様書の作成、サンプルの確認や修正指示、物流経路の確保、箱やタグの決定など、仕入商品ではしなくていいことを全部自分たちでしなくてはならないので、難しく、手間がかかります。しかし、他社との価格競争から逃れ、自由に価格を設定できます。そしてなにより、PB商品の人気が出れば、他社との差別化の切り札になります。
仕入商品は、工場→メーカー→商社→1次問屋→2次問屋→小売 と流通経路の要所要所でマージンが取られて、商品の価格はどんどん高くなりますが、自社で商品開発をすることによって、工場→メーカー→小売 や 工場→小売 となるため、品質はそのままか、機能を追加しても、今までよりも大幅に安い価格でお客様へ提供できるのです。

これならお店もお客様もWin-Win、のはずなのですが、我が社ではPBがなかなか売れません。「Parade(パレード)」の方が品質や機能がよくて価格が安いのに、です。
店舗から、「PB商品にParadeのロゴを入れないでほしい」「Paradeと書いていなければよかったのにとお客様に言われる」と、商品部へ苦情がくる始末です。一生懸命開発したのに、悲しくなります。
ブランドは信頼の証。ブランディングができていない、に尽きます。でも、ユニクロさんや無印良品さんも、最初はきっとそうだったはず、と、めげずに、お客様に喜んでいただけることを想像しながら、Parade商品の開発に邁進しています。

業界大手の粗利益率

靴専門店の業界第1位はABCマートさんです。価格が高く、粗利益率が高い商品をたくさん販売しています。我が社は、価格の高い商品は粗利益率も低く、たまにしか売れません。差がどんどん開きます・・・。
ABCマートさんの素晴らしいところは、➀ナイキなどのグローバルブランドの商品をとてもいい条件で仕入していること、②ホーキンスやヴァンズなどのライセンスを取得して自社のPBにしているところです。仕入商品とPB商品をとても上手に融合しています。
ホーキンスやヴァンズがABCのPBだと知らない人も多いかもしれません。わたしが店舗で勤務していた頃は、ホーキンスを仕入して、たくさん販売していました。それがある日突然、ABCマートさんの独占販売となってしまってショックでした。
そしてABCマートさんの粗利益率はなんと53.4%(2021年2月期決算)。前年が56.2%だったので少し下がっていますが、驚異の数値です。業界第2位のチヨダさんの粗利益率が44%(2021年2月期決算)、業界第3位のジーフットさんの粗利益率が35%(同じく)なので、突出しています。

また、上場している婦人靴専門店、オリエンタルトラフィックを運営しているダブルエーさんの粗利益率は61.2%(2021年1月期決算)ですから、さらにすごいです。オリエンタルトラフィックさんは店内すべての商品がPBで、ブランディングも上手ですから納得です。

Paradeブランドの商品開発

我が社の粗利益率は業界平均よりも、うんと低いです。
※お客様に、かなりお買い得な価格でご提供できている証拠でもあります。
2015年からParadeブランドの商品を販売しはじめ、毎年少しずつラインナップを増やしてきました。そして2020年8月~2021年7月の1年間で、Paradeブランドは、社内で販売しているすべてのブランドの中で、2番目の売上規模にまで成長しました。お客様に、Paradeの靴、履き心地いいよね、価格も手ごろでいいよね、と認知していただけるように、これからもいい商品を開発していきたいと思います。

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