パラダイスロスト
この15年ほど映画館で映画を観るということをあきらめてきた。
体力、集中力が持たないのと、真っ暗闇に重く閉じられる
入口の扉閉塞感、大きな音に疲れたり
息苦しさや吐き気をもよおす私にとって
ハードルが高かった。
だけど、映画という概念を持たずに
福間健二さんの詩の世界と映像をあじわいたくて、
劇中に流れる、札幌のバンド「メノウ」の曲を
大きな音で聴きたくて
もし症状が出たら会場を出るつもりで、
オウジに付き添ってもらい
福間監督の「パラダイスロスト」を観に行った。
会場が映画館ではなく市の施設だったのも
私にとっては安心材料になった。
作品は 弱っている私に心地よく
優しく
自由で
良い意味で粗削りで
みずみずしいものだった。
とても若い監督が
なんのしがらみもなく、売れるとか関係なく
本当に撮りたいものを形にしたような映画だった。
パンフレットにサインをしてもらい感想を伝えた。
福間さんは、垣根がなくて、少年のような、
威圧感のない優しい雰囲気をまとっていた。
映画のプロデュースは奥様の恵子さんで
監督の舞台挨拶では途中で助け舟を出すなど
福間さんが少年の心でいられるのは
恵子夫人がそばにいてくれるからなのかもしれない。
まだ肌寒く、コロナ渦でひとけの少ない大通公園を
私たちはお菓子を頬ばりながら歩いた。
悲しいことに 福間さんは2023年4月26日に亡くなられました。
もっともっと 色んなお話が聞きたかった。
生き続けることに疲れてしまう私は、福間さんの詩のかけらに
優しさや、ワクワクや、美しさを
教えられた。
大切なことは、すぐに忘れてしまうから、なんどでも
かけらを拾い集め続けると思う。
福間さん ありがとうございます。
そして福間さんの魅力を教えてくれたReguReguのお二人にも
ありがとうございます。