解屍82r(kaishi-vanilla)

一次創作

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  • 裏話:愛情≒パン・デピス~Pandepis d'amour~

    『愛情≒パン・デピス~Pandepis d'amour~』の裏設定などの情報まとめです。

  • 本編:愛情≒パン・デピス~Pandepis d'amour~

    『愛情≒パン・デピス~Pandepis d'amour~』の本編ノベルです。

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各作品は解屍82rの個人サークル『バニラ菓劇解剖倶楽部』及び解屍82r&如月&ほげによる合同サークル『パン・デピストア~PandepiStore~』が著作権を保有しています。 掲載されているすべての画像、文章、プログラムは、いかなる形でも無断でコピーおよび配布はしないでください。 AIツールに画像等を読み込ませることもしないでください。 自作品の画像、文章、音声の二次使用を禁止します。 【Pixiv】解屍82rの個人サークル『バニラ菓劇解剖倶楽部』及び解屍82r&如月

    • 解屍82rの一次創作一覧

      匙の上の冷菓旧創作『冷菓のすくいかた』とスピンオフ『ひとすくいの匙』を統合したタイトルです。 『冷菓族』と呼ばれるアイスクリームの内臓を持った小人が冷凍庫に暮らす世界。にんげんたちはそれをデザートとして食べています。そんな彼らの日常物語。 花石の臓物うたあめさん、四月本当さんとの合同創作です。 『プレシャシア』と呼ばれる内臓が花と果実、骨が宝石でできた特別な人種から財を得る国『ストロベリー神聖王国』の『王都プレシャシア屠殺場』で起こるプレシャシアと屠殺係の人間の日物語。

      • 愛情≒パン・デピス~Pandepis d'amour~『第29話:閉幕』(29/29)

         ──子どもたちの物語、楽しんでいただけただろうか?   *  ──私が憎い? そうかもしれないな。彼らにとっての私は、養豚場の豚に接する人間と変わりがないのだから。存分に憎めばいい。私は憎まれることを拒まない。  これは、人間には人間の事情があり、家畜には家畜の事情がある。その家畜視点の物語といっても差し支えがない。彼らに感情移入するのも当然のこと。貴殿らはそれでいい。そうあるべきだ。 *  さて、今年度の収穫はひとり──恋ヤマイだけだった。  彼がどうなったのかは、

        • 愛情≒パン・デピス~Pandepis d'amour~『第28話:パン・デピスのおわり編』(28/29)

           シュガー・スプリンクル・デイから数週間。  ウチたちは新年度を迎えて、2年生に進級したの。  結局、あのあとウチたちが再会できたのは、こがれちゃんとちづちゃんだけだった。すごく寂しかった。すっかりヒトが少なくなった教室は、先生の声ばかりがよく通るようになってた。先生は、きっとウチたちを励まそうと頑張ってくれているんだろうけど──なかなかうまくいかないや。 *  ──ヤマイくんとしょこらちゃん。  きっとふたりはひとつになって、地球に向かったんだともえるくんは言ってた。し

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        • 裏話:愛情≒パン・デピス~Pandepis d'amour~
          1本
        • 本編:愛情≒パン・デピス~Pandepis d'amour~
          29本

        記事

          愛情≒パン・デピス~Pandepis d'amour~『第27話:紅茶のシフォンケーキ編⑤』(27/29)

           ──ぼくはこの日、彼女の笑顔を見て、やっと覚悟を決めたんだ。  ──ぼくは、地球には行かない。  ──ぼくは、ニンゲンにはならない。  ──ぼくは、お母様に迎え入れられることを諦める。 *  ──ぼくは、ずっと、てぃーのそばにいたいんだって。 ******  シュガー・スプリンクル・デイ。  ぼくはいつの日かてぃーと一緒にレモンキャンディの朝日に照らされながら彼女の歌声を聴いたときのように、早朝にてぃーと会う約束をした。  お母様から指令を受けている時間──ニンゲン

          愛情≒パン・デピス~Pandepis d'amour~『第27話:紅茶のシフォンケーキ編⑤』(27/29)

          愛情≒パン・デピス~Pandepis d'amour~『第26話:黒い森のトルテ編⑤』(26/29)

          「にいさま! こちら! こちらですわ!」  街中をはしゃぎ回るトルテを見失わないように追いかけた。辺りには、コットンキャンディや動物型のチョコレートを作る屋台なんかが様々立ち並んでいる。1年の中で最も多く粉砂糖が降る日。今日は、甘く冷たいケーキのための祝日——シュガー・スプリンクル・デイだ。 「にいさ……きゃっ」  駆け回りすぎて、粉砂糖で足を滑らせるトルテをぎりぎりのところで支える。腕力には自信がないから、こういうことは勘弁してほしい。 「落ち着きなよ、トルテ」  ついでに

          愛情≒パン・デピス~Pandepis d'amour~『第26話:黒い森のトルテ編⑤』(26/29)

          愛情≒パン・デピス~Pandepis d'amour~『第25話:しっとりチーズケーキ編⑤』(25/29)

          『兄さんはほんとうにきみのことが大好きだった。シュガー・スプリンクル・デイが終わったら、起こったことのすべてを話すから、どうか彼への誤解を解いてほしいんだ』 *  ──どいつもこいつも、ふざけやがって。  どれだけ私を馬鹿にしたら気が済むんだ。  最初はあの子に問い詰めた。彼は怪我を負って立ち会うには時間が必要だったから。でもあの子は泣いて謝ってばかりで肝心の知りたい内容が見当たらない。相手が聞いてる事もまともに答えられないなんて、どこまで行っても本当に使えない子。  

          愛情≒パン・デピス~Pandepis d'amour~『第25話:しっとりチーズケーキ編⑤』(25/29)

          愛情≒パン・デピス~Pandepis d'amour~『第24話:贅沢フルーツタルト編⑤』(24/29)

           首の箇所から順番にボタンを留めていく。非実用的な衣装だと思ったけれど、着てみれば存外に動きやすかった。それに何より彼女と揃いの衣装だと思うことで、説明のつかない勇気が湧いてくる。これから戦い、殺し合う相手に勇気を貰うなんて。不合理な感情は、けれど不快ではなかった。  ひらり、と鏡の前で回ってみる。『派手なくらいが丁度いいんだぜ。服装っていうのは武装みたいなもんなんだから』。彼女の言葉を思い出した。当時は意味が分からなかったけれど、今なら少し理解できる。確かに、華美に飾られた

          愛情≒パン・デピス~Pandepis d'amour~『第24話:贅沢フルーツタルト編⑤』(24/29)

          愛情≒パン・デピス~Pandepis d'amour~『第23話:とろけるフォンダンショコラ編⑤』(23/29)

           ──シュガー・スプリンクル・デイ当日。  あの時はまだ先だ、なんて思ってたのにこの日が来るのはあっという間だった。でも準備も整えたし、きっと大丈夫。覚悟もできてる。 *  待ち合わせはブラウニー時計台の下。 「ヤマイくん! ごめんね、待った?」 「ううん。大丈夫、今来たところ」  彼女、しょこらちゃんの私服はいつもと雰囲気が違っていて、髪も違った結い方で、正直可愛いと思った。似合ってると容姿を褒めると、彼女は嬉しそうにはにかんだ。 *  俺……僕はひとつ咳払いをして

          愛情≒パン・デピス~Pandepis d'amour~『第23話:とろけるフォンダンショコラ編⑤』(23/29)

          愛情≒パン・デピス~Pandepis d'amour~『第22話:贅沢フルーツタルト編④』(22/29)

           季節は2月の終盤。今年度もいよいよ終わりに近づいてる。  大きな学校だったら学年が上がればクラスも変わるけれど、幸い苺飴中学校は小さな学校だから、まだ2年はこがれと一緒に過ごせる。とはいえ、あっという間だったな。  相変わらず通学に時間を取られて授業に着いていくのはかろうじて眠らないことに必死なままだったし。もっと勉強できるようになって、せめて1位上の成績のてぃーを追い抜かせたらなんて思ってたけど、あたしとてぃーの間には数字ひとつじゃわからないくらいどうやら溝があるらしか

          愛情≒パン・デピス~Pandepis d'amour~『第22話:贅沢フルーツタルト編④』(22/29)

          愛情≒パン・デピス~Pandepis d'amour~『第21話:黒い森のトルテ編④』(21/29)

           気持ちを自覚してからの日々は悪夢のようだった。トルテを求める欲求と、それから激しい自己嫌悪。忘れるために学級運営の仕事に励んでも、一時的に気を紛らわすだけに終わった。  病院に行くことも考えた。どうにかして僕の中にいる怪物を取り除けないかと。けれど、図鑑にも載っていないような得体の知れない怪物を食べさせられたなんて前例がないだろうし、主な症状が妹への恋慕や食欲だなんて、説明できるはずもなかった。それともむしろ、全て打ち明けてしまって、気がおかしくなったと思われた方が良いのだ

          愛情≒パン・デピス~Pandepis d'amour~『第21話:黒い森のトルテ編④』(21/29)

          愛情≒パン・デピス~Pandepis d'amour~『第20話:紅茶のシフォンケーキ編④』(20/29)

          「もえるくん、こんにちは。今日はアップルティーを持ってきたんだよ」 *    あの日──呪くんに襲われてからしばらく経って、今のウチは苺飴病院に入院しているもえるくんのお見舞いに通うのが日課になっていた。  一体何が起こったのか。ウチは何も知らない。呪くんの指示に従って意識を失ってから、気付いたらなにもかもが片付けられてた。もえるくんは出血多量で意識不明になっていて入院することになって──呪くんは、亡くなってた。  目を覚ましたとき、そこはこの病室で、ウチはもえるくんのおか

          愛情≒パン・デピス~Pandepis d'amour~『第20話:紅茶のシフォンケーキ編④』(20/29)

          愛情≒パン・デピス~Pandepis d'amour~『第19話:黒い森のトルテ編③』(19/29)

           1月になると、空から降ってくる粉砂糖が少しずつ多くなっていきます。3月31日のシュガー・スプリンクル・デイに向けて、気分が盛り上がっていく季節。毎年この頃になると、トルテはうきうきして、コットンキャンディの上を歩くみたいに軽い足取りになります。  でも、今年のクラスは重たい雰囲気です。第2学期長期休暇の間に呪さんが通り魔事件に巻き込まれて亡くなってしまったり、もえるさんも同じ事件で怪我をして入院されたりと、悪いことがたくさん起こったものですから。休み時間も以前よりしんとして

          愛情≒パン・デピス~Pandepis d'amour~『第19話:黒い森のトルテ編③』(19/29)

          愛情≒パン・デピス~Pandepis d'amour~『第18話:しっとりチーズケーキ編④』(18/29)

           ──ちづさんが好きだ。大好きだ。    初めて、おれだけの事情を、彼女にとってどうでもいいはずのそれを、見て、向き合ってくれたヒト。彼女はそこに自身個ジンのおれへの優しさなんてない、なんて言っていたけれど、そんなことは関係ない。もしも本心ではない嘘だったとしても、おれを気にかけてくれる仕草をしてくれるヒトがいる。ただそれだけのことが、どれだけ嬉しかったか。どれだけ、おれはそんな些細な愛情に飢えていたのか。自分の心が貧しかったのか。愚かさを抱えて生きてきたのか。理解したんです

          愛情≒パン・デピス~Pandepis d'amour~『第18話:しっとりチーズケーキ編④』(18/29)

          愛情≒パン・デピス~Pandepis d'amour~『第17話:贅沢フルーツタルト編③』(17/29)

           ──毎日、少しでも早く家から離れて、少しでも遅く家に帰宅することができるように、あたしはわざわざ自宅から遠く離れた苺飴中学校を受験した。  第1学期長期休暇明け。あたしはそれまでこがれにずっと嫌がらせをしていたのに、遠く離れたあたしの家に彼女は時間をかけて訪れてくれただけじゃなく、あたしのことを助けてくれた。あの日から、あたしはやっと彼女に対して素直になれた。あの日から、あたしたちはようやく、打ち解け始めたんだ。 * 「な、こがれ! 第2学期長期休暇さ、始まるだろ。あた

          愛情≒パン・デピス~Pandepis d'amour~『第17話:贅沢フルーツタルト編③』(17/29)

          愛情≒パン・デピス~Pandepis d'amour~『第16話:とろけるフォンダンショコラ編④』(16/29)

          「──……シュガー・スプリンクル・デイ当日、僕と過ごしてくれませんか?」 ******  彼女は以前より朗らかになって、以前よりも分からなくなった。  それでも俺のやることは変わらない。  目的は最初からひとつなんだから。 *  彼女が少々『おかし』くなってから、どうやって接していたかも思い出せない。それでもシュガー・スプリンクル・デイは彼女といる必要がある。そのため早々にカラシをつけてしまったわけだが。  コツコツと椅子の足を小突かれるような振動に思考の阻害をされ

          愛情≒パン・デピス~Pandepis d'amour~『第16話:とろけるフォンダンショコラ編④』(16/29)