不眠の中医学
中医学の不眠を大きく分けると、心と体を鎮静させるために必要な養分である「陰」や「血」が足りていない「虚証」の不眠と、興奮のもとになる「熱」や「火」が体内にある「実証」の不眠の二つのパターンがあり、さらにそれらは症状により細分化されます。
体内には陰と陽の両方のエネルギーがあります。陽があることで、我々は活動的になれ、陰があることで鎮静できます。陽が増えすぎると熱がこもり、過活動・過興奮状態となり、陰が増えすぎると、起き上がれない、動けないとなります。また、陽が足りないと冷えるし、立ち上がれず、活動的になれず、陰が足りないと、ソワソワして熱がこもり、乾燥します。すなわち陰が十分にあり作用していることで、よい睡眠が得られ、陽が十分にあり作用していることで、起きて活動できるわけです。このバランスが悪くなると起きられなくなったり、眠れなくなったりします。不眠とは、陽が強くなった状態です。それには陰が弱く陽を制御できない虚証と、陽自体が強まった実証があります。
虚証と実証がありますが、どちらも根本的には、熱があるから眠れないという状態です。熱とは体温計で計測できる発熱ではなく、熱感、のぼせ、イライラ、食欲の過剰、ニキビなどの肌トラブルなどがみられる、興奮状態や炎症状態を指します。
実証の熱は、脂っこい・辛い食事が多いことや怒りなどの精神的負荷がもとになります。対して虚証の熱は、冷却水が少ない状態と同じで、体内にある活動エネルギーを制御できないためこもる熱です。
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