朝活俳句アワード2022を読む 第5回 村蛙「日常から深化する余情」
友定さんの句は、いずれも身近な、ともすればあまりに身近すぎて句材になるかどうかの素材を扱いながらも、季語との取り合わせにより抒情の深い世界が広がっている。
しりとりに喇叭ふたたび石蕗の花 友定洸太
誰にでも覚えのあるような経験から、繰り返される「喇叭」という言葉に状況が少しずつわかってくる。おそらくは語彙の少ない幼児とのしりとり遊び。その二回目の喇叭が響く時、初冬の小さな黄色い花は呼応したようにふと顔を覗かせるのだ。
山茶花や雨の染みこむスニーカー 友定洸太
山茶花